記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年5月10日(火曜日)8時50分 於:官邸エントランスホール)
第7回朝鮮労働党大会
【記者】まず,北朝鮮からお聞きします。金第一書記がですね,新たに新設された党委員長というポストに就任するなど,新体制が発表されました。まず,政府としての受け止め,お願いします。
【岸田外務大臣】朝鮮労働党の第7回党大会,5月6日に開幕し,9日に閉幕したと承知をしています。ただ,この大会の全体の詳細については,まだ十分明らかになっておりません。引き続き関係国ともしっかり連携しながら,情報収集・分析に努めていきたいと考えています。
ただその中で,累次の安保理決議,あるいは六者会合声明,そして更には日朝平壌宣言,こうしたものを遵守することなく,核・ミサイル開発を継続する姿勢を示した,更には日本についても一方的な主張を行った,こういったことについては受け入れられません。引き続き,「対話と圧力」,「行動対行動」の原則に基づいて諸懸案を包括的に解決していく,こうしたことを関係国とも連携しながら求めていきたいと考えます。
【記者】大臣,今指摘された,核・ミサイル開発ですけれども,一方で世界の非核化ということについても,金第一書記は言及したようですけれども,これについてはどういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
【岸田外務大臣】その発言については承知をしていますが,自らは核保有国と言い,国際社会の非核化を言い,これはどういう趣旨なのか,この辺も,もっとよく分析しなければなりませんが,いずれにせよ,国際的なNPT体制を始めとする核軍縮・不拡散の取組と矛盾するのではないかと思われるような発言ではないかと考えます。
パナマ文書関連
【記者】パナマ文書についてお聞きします。税逃れという指摘もされていますけれども,今月末の伊勢志摩サミットでも議論されるということを聞いています。これについては,日本政府としてどのように対応していかれるでしょうか。
【岸田外務大臣】パナマ文書について,新たな情報が公開されたという報道を承知をしております。ただ,これを伊勢志摩サミットで取り上げるのかどうか,その扱いについては,まだ事務的に今調整をしている段階です。引き続き調整が行われます。
伊勢志摩サミット関連
【記者】サミットに関連してなんですけれども,今日,一部報道で,アウトリーチ会合において海洋安全保障を議題として扱うのではないかという報道がありましたが,その点についても調整状況いかがでしょうか。
【岸田外務大臣】伊勢志摩サミットのアウトリーチ会合においては,アジアの繁栄のために何が必要なのか,こういった議論が行われると承知をしています。その議論の中で具体的にどんな議論が行われるのか,これはまだ引き続き調整中であると承知をしています。
【記者】それは,政治・安全保障の分野も含まれ得るという…。
【岸田外務大臣】いずれにせよ,アウトリーチ会合については先ほど申し上げた,アジアの繁栄のために何が必要なのか,こうしたテーマで議論が行われるということだけは承知をしております。詳細は,引き続き事務的に調整中であると承知をしています。
台湾当局船舶の沖ノ鳥島排他的経済水域への入域
【記者】台湾の巡視船が,沖ノ鳥島の200海里に入った状況,今の状況と日本側の受け止め,対応を教えてください。
【岸田外務大臣】沖ノ鳥島周辺の我が国排他的経済水域において,台湾当局の船舶が航行していること,これは確認はしています。累次の申入れにもかかわらず,当局の船舶を入域させたこと,これは極めて遺憾だと思います。台湾側には直ちに船舶を出域させるよう申し入れております。
【記者】台湾の外交当局は,日本と協議をしたいというふうに申入れているようですが,日本側が協議に応じますか。
【岸田外務大臣】いいえ,日本としては先ほど申し上げた対応をしております。そこまでです。
フィリピン大統領選挙
【記者】フィリピンの大統領選挙でドゥテルテ氏が当選確実となりましたけれども,南シナ海の領有権問題に関するフィリピンの姿勢にも影響を及ぼすという可能性も指摘されていますけれども,どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。
【岸田外務大臣】ドゥテルテ候補が当選確実になったという報道は承知しています。ただ,フィリピン大統領選挙の選挙管理委員会の公式集計は公表されておりませんので,引き続き,推移を注視していきたいと考えています。
ただ,フィリピンは地域における重要な戦略的パートナーです。いずれの候補が当選しようとも,これまで同様,フィリピン新政権との間で戦略的パートナーシップをしっかり進めていきたい,このように思います。