記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成28年4月28日(木曜日)8時41分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

岸田大臣の中国,タイ,ミャンマー,ラオス,ベトナム訪問

 4月29日から5月6日にかけて,中国及び東南アジア4カ国,すなわちタイ,ミャンマー,ラオス,ベトナムを訪問いたします。
 中国については,約4年半ぶりの日本の外務大臣による二国間訪問となります。先日は訪中に先立ち講演を行って,共に努力して新しい時代にふさわしい日中関係を構築したいとの私の考えを申し上げました。今回の訪中では,王毅(おう・き)外交部長など中国側要人との間で,日中関係改善をより確かなものとするための道筋について率直に意見交換を行いたいと思います。
 中国に続いて,タイ,ミャンマー,ラオス,ベトナムを訪問いたします。ASEAN統合の鍵を握るメコン諸国への訪問を通じて,昨年末に発足したASEAN共同体の強化を後押ししたいと思います。また,バンコクでは政策スピーチを行い,日本の対ASEAN外交につき包括的なメッセージを発信したいと思います。
 特に,ミャンマー,ラオス,ベトナムは新指導部の発足直後であり,早期に信頼関係を構築することで,二国間のみならず地域及び国際場裏における関係強化を図りたいと思います。

岸田大臣の中国訪問

【記者】大臣の外遊,特に中国についてですけれども,王毅外相の他に楊潔篪(よう・けつち)国務委員との会談等も予定されていると聞いております。どういった成果を挙げたいかということとですね,それから李克強(り・こくきょう)首相との面会については何か今,ご検討中でございますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,今回の中国訪問については,先ほど申し上げましたように,日本の外務大臣にとって4年半ぶりの二国間訪問です。日中関係,改善基調にあるとは感じていますが,是非,新しい時代に相応しい二国間関係を構築していくために,二国間関係を前進させる,この一歩になるような訪問にしたいと思っています。是非,率直な意見交換を行いたいと思っています。
 そして,王毅外交部長,楊潔篪国務委員と会談を行う予定にしております。それ以外の要人については,今現在調整中であります。

北朝鮮関連

【記者】北朝鮮についてですけれども,来月6日に党大会を開くというふうに発表しました。その前に,核実験やミサイル発射などを行うのではないかという見通しもあり,大臣,総理もご不在にされますけれども,対応というのはどのようになりますでしょうか。

【岸田外務大臣】5月6日に第7回党大会を開催するということが発表されたと承知をしています。北朝鮮につきましては,従来から情報収集・分析にしっかり取り組んでいるわけですが,あらゆる事態に対応できるよう,引き続き各国とも連携しながら情報収集・分析にあたるとともに,あらゆる事態に対応できるように,我が国政府としましても体制,しっかり確認をしていきたいと思います。ゴールデンウィークにおいて,閣僚等とも様々な日程が入っていますが,政府全体として,しっかり対応できるよう,しっかり準備をしていく,これは当然のことであります。

日露関係

【記者】日露関係についてですけれども,総理外遊の中で日露の首脳会談が行われる見通しだと聞いておりますけれども,共同会見等まだ設定されていないというふうに聞いてますけれども,日露外交,どのような今回成果を日本政府としてあげたいというふうにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】安倍総理,ロシアを訪問して首脳会談を行ったならば,是非,日露関係全般,そしてウクライナを始めとする様々な国際的な課題について率直な意見交換が行われるものであると想像いたします。これは首脳会談ですので,私の立場からどんな議論をするのか,何か確定的に申し上げるのは控えなければならないと思いますが,今,申し上げた議論の中には,北方領土問題,平和条約締結問題,こういったものについての議論も含まれると考えています。こうした問題については首脳間の率直な議論・対話,これがどうしても必要です。是非,率直な対話が行われることを期待したいと思っています。

岸田大臣の中国訪問

【記者】今回4年半ぶりの訪中ということで,首脳会談やサミットがあり,そして改善の軌道にあるということなんですが,本格的に日中関係が改善されるのに,どのようなことが必要でしょうか。

【岸田外務大臣】日中関係については先日,私も講演をさせていただき,考え方を申し上げさせていただきました。その中で,新しい時代に相応しい日中関係を構築するためには,三つ重要な取組があるということを申し上げました。
 一つ目は,協力を拡大していく,二つ目として,その課題や懸念に対処すること,そして国民の間の相互理解,そして信頼関係を育むということ,この3点が重要だということを申し上げさせていただきました。
 こうした3点を通じて新しい時代,すなわち日本と中国が世界第3位と第2位の経済大国になり,国際社会や地域の平和や繁栄にも大きな責任を負っている,こういった時代に相応しい二国間関係を築いていきたいと思いますが,ただ,こうした関係を築いていく際に,一方の国だけが努力しても,こうした関係は築くことはできません。是非,双方が努力・協力することが重要だと思います。我が国はしっかり,そうした思いで努力をしたいと思いますが,今回中国を訪問させていただく際に,中国側にも是非,協力を呼び掛けていきたいと,そう思います。

【記者】大臣,特に東シナ海や南シナ海については,日本の従来の立場を中国に伝えるということになるのでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど申し上げました,3点のうちの二つ目,課題や懸念に対処するということです。この点については,それぞれの立場,率直に意見交換をすることが重要だと思います。その上で,こうした問題をどのように二国間でコントロールしていくか,マネージしていくのか,こういったことを議論するべきだと思います。

オバマ大統領の広島訪問

【記者】オバマ大統領の広島訪問に期待が高まってますけれども,アメリカ側からの打診というのはこれまでどうでしょうか。また,仮に訪問が実現した場合の準備状況というのはどうなっていますか。

【岸田外務大臣】少なくとも,私の立場からオバマ大統領の具体的な日程について申し上げることは控えたいと思います。アメリカ政府が判断されることであると考えます。

台湾漁船の拿捕

【記者】台湾に関連してなんですけれども,先日,沖ノ鳥島沖で台湾漁船が無許可操業で拿捕されているんですけれども,馬英九(ば・えいきゅう)総統がですね,沖ノ鳥島に関して,島ではなくて岩礁であるという主張をされました。日本政府として外交当局間のやりとりが始まっているのか,また今回の馬英九総統の発言についての受け止めを教えていただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,発表については承知をしております。そして,沖ノ鳥島については,国連海洋法条約上,島としての地位が確立しているものと考えています。よって,その周辺には排他的経済水域が存在いたします。台湾の発表における台湾側の独自の主張は受け入れることはできません。我が国としまして,交流協会を通じまして,抗議をいたしました。

【記者】抗議は昨日ですか。

【岸田外務大臣】ちょっとすみません。日時は今手元にありません。

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