記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成28年4月10日(日曜日)23時06分 於:グランドプリンスホテル広島)
冒頭発言
【岸田外務大臣】それでは冒頭私から発言をさせて頂きます。本日,G7広島外相会合が開幕をいたしました。ワーキングディナーを始め,3つのセッションに於いて,価値を共有するG7の間で,率直で,予定の時間を大幅に超える白熱した議論が行われました。冒頭私から国際社会が一体となって取り組むべき最優先課題として,テロ・暴力的過激主義,難民問題を議論したい,こうした問題提起を行いました。さらに,シリア,イラク,アフガニスタン,イラン,中東和平,リビアなど,中東情勢について議論を行いました。シリアでの政治的解決を含む,この地域の安定が国際社会にとって重要であるとの認識で一致をしたと考えております。そしてワーキングディナーにおきましては,国際秩序の安定を損なう行動が見られるアジアの情勢や,海洋の安全保障について議論をし,G7の連帯を確認いたしました。その他,イタリア,英国,ドイツの外相と二国間会談を行い,G7として緊密に連携していくことと,二国間関係をさらに進展させていく,こういったことにつきまして,それぞれ一致を見た次第です。
本日は充実した議論を行い,良いスタートを切ることができたと感じています。明日も引き続き国際社会の喫緊の課題について議論をし,様々な地域情勢についても,しっかりと意見交換を行いたい,と考えています。そしてあわせて広島から,世界の平和へ,しっかりとしたメッセージを発信したいと考えます。議長としてしっかり議論を取りまとめて行きたいと考えます。以上です。
質疑応答
【記者】NHKの栗原です。宜しくお願いします。初日の今日はだいぶ充実した議論をされたということですが,二日目,明日はいよいよ,ケリー国務長官始め,核保有国の皆さんを含むG7各国外相が揃って,平和公園の原爆資料館や原爆慰霊碑などに献花することになるということなんですが,そこで改めてですね,G7としてどんなメッセージを国際社会に発信したいかということと,また明日午前中はおそらく軍縮や不拡散についての議論もされるのではないかと思いますが,議長として岸田大臣,どのように議論をリードしていきたいお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】まず明日,G7外相揃って平和公園,そして資料館を訪問いたします。是非,それぞれの外相には自分の目で,自分の心で,しっかりと被爆の実相に触れて頂きたいと思っています。2年前,やはり広島で行われましたNPDIの外相会談がありました。その際に,平和公園,資料館を各国外相と訪問した際には,各国の外相,NPDIですから,当時は非保有国の外相ではありましたが,各国の外相からも口々に,一生忘れられない経験であったという強い印象を受けた思いが語られました。是非このたびも,各国外相に,それぞれの目と心で実相に触れていただきたいと思います。そして,そういった思いを踏まえて,広島宣言を発出させていただきたいと思います。今,国際社会において,核兵器国と非核兵器国の対立が深まる中にあって,核兵器国の主要国と非核兵器国の主要国がともに参加するG7の枠組みにおいて一致した点を確認し,それを世界に発出することができれば,こうした核兵器国と非核兵器国の対立が深刻化している「核兵器のない世界」に向けての取組に新たな刺激を与え,再び「核兵器のない世界」に向けての機運を高めていくきっかけにできるのではないか,こんな期待を持っています。そうしたよい機会になるべく,明日,しっかりとした議論していきたいと考えます。
【記者】アジア情勢については議論の中で,南シナ海情勢としてですね,中国の動きですとか,そうしたことについても議論が及んだのでしょうか。
【岸田外務大臣】アジア情勢については,海洋の安全保障,北朝鮮が大きな議論になりました。海洋の安全保障については,緊張を高める一方的な現状変更が見られる東シナ海,あるいは南シナ海における状況に対して懸念を共有し,国際法の原則に基づく秩序を維持することが重要である,こういったことについては再確認ができました。そしてもうひとつ,北朝鮮についての議論ですが,北朝鮮の最近の度重なる挑発的な発言,行動,特に核実験と弾道ミサイルの発射ですが,こうした挑発行動に加え,拉致問題を含む人権侵害についても議論を行い,各国ともこれらを非難して速やかに対処していく,そして北朝鮮側にしっかりとした対応を要求していく,こういった点について一致をいたしました。特に印象的でありましたのは,この北朝鮮問題,想像以上に各国の関心が高まっておりました。議論が白熱し,予定時間を大幅にオーバーした,こうした白熱した議論が行われたことは大変印象的でありました。