記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成28年3月20日(日曜日)21時10分 於:フランス・パリ)
冒頭発言
【岸田外務大臣】先ほど,フランスのエロー外務大臣と夕食をとりつつ,約1時間40分間にわたりまして会談を行いました。4月のG7外相会談に向けて,テロ・暴力的過激主義,軍縮・不拡散,更には海洋の安全保障,こういった課題,更には地域情勢を含む幅広い分野について,じっくりと議論を行い,G7外相会談に向けて協力をしていくということにおいて一致を致しました。そして,それとともに,安全保障分野を含め,二国間関係についても意見交換を行いました。エロー大臣は,今回初めてお会いしたわけですが,大変な親日家であり,個人的な信頼関係を築く上でも,今回の会合は有意義であったと感じています。
そして,G7外相会談において最も重要な課題の一つが,テロ,そして暴力的過激主義であるということで一致を致しました。そして,その点に関しまして,先ほどエロー大臣に対しまして,我が国は,シリアにおける包囲地域,包囲された地域の非人道的な状況に鑑みて,500万ドルの緊急人道支援を実施することを決定したことを伝えました。これに対して,エロー大臣から評価を頂きました。
そして,さらに,軍縮・不拡散の分野ですが,核兵器国と非核兵器国が協力し,そして現実的,実践的な取り組みを積み上げていくことが重要であるということを確認し,核兵器のない世界に向けて力強いメッセージを発出することが重要であるということにおいて一致を致しました。このように,今回の会合は,G7外相会談の準備として,大変有意義な会合であったと受け止めています。
質疑応答
(記者)今回,かなり急ぎ足でハードなスケジュールでの滞在となりました。最大の目的の一つであるエロー外相との信頼関係について,手応えとしてはどういった受け止めをされているのでしょうか。
(岸田外務大臣)今申し上げたような,さまざまな成果が上がったと受け止めています。そして,その成果をお互い確認する中において,個人的な信頼関係も感じることができています。
今申し上げた成果以外にも,たとえば日本とフランスのアフリカにおける協力ですとか,更には,PKOをはじめとする平和構築を含む安全保障協力ですとか,安保理改革においてもフランスがG4を支援しているということについて感謝をしながら,引き続き連携を確認するなど,様々な課題について議論を行いました。そういった議論の中において,先ほど申し上げました個人的な信頼関係も深まったと感じているところです。
(記者)シリアの包囲地域に対して500万ドルの人道支援を伝えられたということですが,今後,こういった,日本政府としてどういうメッセージを,中東とか,こういった難民の発生元である地域,暴力的過激主義の元となっている地域に発信していきたいとお考えでしょうか。
(岸田外務大臣)こうした中東に於ける状況に対し,更には,テロ・暴力的過激主義に対する対策においても,やはりG7各国が,それぞれの強みを活かした対応を行っていくことが重要であると考えます。各国がそれぞれ強みを活かした対策を行い,それがお互いに補完的な関係を作り,更には,相乗的な効果も発揮する,そういった体制を作ってG7としてメッセージを発するということが重要であると考えます。そして,こうしたそれぞれの強みを活かした対応の中で,我が国,日本としては,やはり非軍事分野における支援,貢献が大変重要だと考えます。G7全体としては,今言ったようにそれぞれの強みを活かし,補完的,相乗効果を発揮する体制をしっかりとアピールする,その中において,日本の役割としては非軍事的な分野であるということをしっかりアピールしていく,こういったことが重要であると考えます。
(記者)先ほど,軍縮・不拡散に関しても力強いメッセージを発出することが重要と一致したということですが,今回,エロー外相との会談の中で,平和記念公園の訪問,献花や資料館の訪問などについて呼びかけられたのかということと,エロー外相の方から何らかの答えがあったのかどうか。
(岸田外務大臣)世界の政治のリーダーに,被爆地を訪問してもらい,被爆の実相に触れてもらい,核兵器のない世界に向けての機運を盛り上げていく,これは大変重要な取り組みであるという考え方,そして,我が国はこういった考え方に基づいてG7外相会談の関連行事を検討していくということ,こういった日本の立場,考え方については,今日の会合において説明をさせていただきました。そして,こういった考え方について,エロー大臣からご理解いただけたと受け止めています。
(記者)昨日,ジェンティローニ外相からも前向きな回答があって,ディオン外相からも前向きな回答があったかと思いますが,ケリー国務長官を始め,他の外相にも今後直接働きかけていくというお考えはあるのでしょうか。
(岸田外務大臣)もう,さまざまなレベルで,日本の考え方は伝えています。理解は進んでいると感じていますが,引き続き調整は続けていきたいと考えます。
(記者)エロー大臣からは,直接,行きます,行きたいというような言及はなかったのでしょうか。
(岸田外務大臣)今申し上げたように受け止めております。