記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年3月8日(火曜日)8時18分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
G7広島外相会合プレイベント:ユース非核特使OB・OG広島フォーラム
【岸田外務大臣】あと1か月に迫りましたG7広島外相会合に先立ち,今月27日にプレイベントとして,広島県・広島市との共催により,広島平和記念資料館において,「ユース非核特使OB・OG広島フォーラム」を開催いたします。
被爆者の高齢化が進む中,世代を超えた被爆体験の継承のために,私(大臣)が3年前に設立したユース非核特使制度は,特使経験者が100名を超えました。この3年間のユース非核特使経験者の若い皆さんから「核兵器のない世界」の実現に向けた率直な意見を頂いて,G7広島外相会合の議論に生かしていきたいと考えています。
米韓合同軍事演習への北朝鮮の反発
【TBS 深井記者】米韓の軍事合同演習が開始されました。これに対して北朝鮮が総攻勢を仕掛けるなどというふうな形で,威嚇していますけれども,日本政府としての対応,備えというのは,今どのようになっていますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,北朝鮮が米韓合同軍事演習に反発をして,挑発的な言動を行っていることは,断じて容認はできません。我が国は北朝鮮に対しまして,この国際社会が繰り返し示している強い警告と非難を真摯に受け止めて,今次,採択された決議を始めとする一連の国連安保理決議,誠実に履行するべきであるということ,さらなる挑発行動は決して行わないよう,強く求めております。そして我が国としましては,あらゆる事態に備えることができるよう,対応ができるよう,情報収集ですとか,様々な対応に万全を期していきたいと考えます。
女子差別撤廃条約対日審査の最終見解
【TBS 深井記者】国連の女性差別撤廃委員会ですけれども,従軍慰安婦問題について,十分な措置を実施するようにという勧告を行いました。この勧告に基づいて今後の審議が行われることともあるというふうに伺っておりますけれども,これに対する日本政府の見解についてお聞かせいただけますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,今回の女子差別撤廃委員会の最終見解ですが,日本政府の説明内容については,十分踏まえておらず,遺憾であると受け止めています。その中にあって,慰安婦問題ですが,日韓合意は慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることにつき,日韓外相間で合意をし,そして日韓両政府首脳が確認したものです。これに対しましては潘基文(パン・ギムン)国連事務総長を始め,米国,英国など多くの国が,これを歓迎しています。最終見解案の内容は,こうした国際社会の受け止めとはかけ離れており,批判は当たらないと我々は受け止めています。
【TBS 深井記者】そうすると,昨年末の日韓合意に,今回の勧告が何らかの影響を与えるということはないということですか。
【岸田外務大臣】はい,いずれにしましても日韓合意につきましては,日韓両政府が誠実に合意の内容を実施することが重要であると考えています。日韓両政府で引き続き努力を続けていきたいと考えます。
【産経新聞 田北記者】女子差別撤廃委員会の関係でですね,今回,杉山外審を派遣して日本政府の立場を説明したのですけども,これは効果があったというか,意義はあったと思われますか。
【岸田外務大臣】先ほど申し上げましたように,基本的には日本政府の説明内容を十分踏まえていないと受け止めていますが,ただその中で,慰安婦問題については,例えば今回の最終見解の中では,姓奴隷という表現はなく,英語で「comfort women」との用語に統一をされています。これは2月16日の対日審査において日本政府より事実関係や政府の取り組みについて,杉山外務審議官からしっかり説明を行った結果であるとも受け止めております。