記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年2月19日(金曜日)8時40分 於:官邸エントランスホール)
南シナ海情勢
【テレビ朝日 千々岩記者】まず,南シナ海情勢についてお聞きします。中国がいわゆる人工島に地対空ミサイルを配備しています。まず,この受けとめからお願いいたします。
【岸田外務大臣】報道については承知しております。そして,一方的な現状変更,これは国際社会共通の懸念事項であり,そして,我が国としまして既成事実化は認められない,こうしたことは再三申し上げてきました。是非,引き続き,国際社会と連携していきたいと考えます。
【テレビ朝日 千々岩記者】中国は,習近平主席初め,南シナ海は軍事化しないと表明してきました。こうした言動に,昨今のこの情勢は矛盾するとも言えると思います。また,自国の主権の範囲内であるから構わないという趣旨の主張も最近始めているようですけれども,これについてはどうお考えになりますでしょうか。
【岸田外務大臣】我が国自体は従来から,今,申し上げたように,力による一方的な現状変更は認められない,既成事実化は認められない,こういうところを申し上げてきました。そして,今回の動きについては,米国ケリー国務長官も大変厳しい批判をしている,そうした報道も承知をしております。是非,国際社会との連携を強化していきたいと考えます。
北朝鮮関連
【テレビ朝日 千々岩記者】もう一つ,北朝鮮情勢についてお聞きしますが,米国が,日本時間の未明になるかと思いますが,オバマ大統領が独自の制裁に署名しました。また,日本もきょう臨時閣議を開いて閣議決定をするという方向だと思いますけれども,改めてこうした独自制裁の効果,それから,狙いについてお願いします。
【岸田外務大臣】我が国も独自制裁について,まず閣議決定を必要としないものについては順次,手続を進めております。そして,閣議決定を必要とするものについても,今,調整を行っております。できるだけ速やかに閣議決定を行いたいとは思っています。
そして,我が国の独自制裁,そして,韓国も独自制裁を発表しています。そして,米国の独自制裁関連法案についても成立をしたと聞いております。こうした各国の独自制裁が北朝鮮に対して強いメッセージになること,これを期待いたします。あわせて,こうしたそれぞれの取り組みが,国連安保理における強い決議の迅速な採択につながることを期待したいと思います。そういった意味で,我が国の独自制裁,意味があると考えています。
南シナ海情勢
【朝日新聞 安倍記者】先ほどの南シナ海の話題ですが,米国国内では今回のミサイル配備に対して,特に共和党などから,米国が中国に配慮し過ぎたことが今回の結果を招いたのではないかという批判が出ていますが,米国のオバマ政権の対中政策についてのお考えはいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】米国の対中政策について,私(大臣)から何か評価する立場にはないとは思います。いずれにせよ,この力による現状変更は認められないと,一方的な現状変更は認められないということを国際社会と連携して訴えていくことは重要であると考えます。米国始め関係国とも,こうした思いはしっかり伝えていくことは重要であるとは考えます。
【時事通信 石垣記者】連携を強化していきたいということですけれども,日本として,航行の自由作戦に参加するとか,そういう具体的な行動を考えていますか。
【岸田外務大臣】今,おっしゃったようなことを考えているものではありませんが,連携しながら,どういった発信の仕方,対応が効果的なのかは,また検討していきたいとは思います。
伊勢志摩サミット関連
【読売新聞 森藤記者】伊勢志摩サミットまで100日を切り,広島の外相会談までももう一カ月半に迫っているのですけれども,今後どのように議論をリードしていきたいかということと,先週カナダを訪問されて,きのうはフランスの新しい外相と電話会談されたのだと思いますけれども,どのように地ならしを進めていきたいか,G7のほかの国の訪問を考えていらっしゃるかも含めてお願いします。
【岸田外務大臣】昨日のフランスの外務大臣との電話会談は,新しく就任した外務大臣への祝意を伝えるという趣旨でさせていただきましたが,いずれにしましてもG7の議長国として我が国は大きな責任を担っておりますし,サミットあるいは外相会談,こうした一連の会議を成功させなければならないと考えます。よって,準備には万全を期したいと考えています。
そして,今後のヨーロッパを始め各国訪問については,今,国会開会中でもあり,何も今,決まってはおりません。ただ,できるだけ,この日程もにらみながら,その中で準備に万全を期するためにどうしたらいいかは,引き続き検討していきたいと存じます。
いずれにしましても,各国との意思疎通は重要です。様々なレベルでG7関係国との意思疎通,連携は十分図っていきたいと考えます。