記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成28年2月16日(火曜日)9時08分 於:官邸エントランスホール)
総理へのカナダ訪問の報告
【TBS 深井記者】今,執務室に大臣入られていましたけれども,どういったご案件でしょうか。
【岸田外務大臣】帰朝報告です。カナダ訪問について総理に報告をして参りました。
【TBS 深井記者】総理から何かございましたか。
【岸田外務大臣】カナダは昨年11月に,トルドー新政権がスタートしました。新しい政権がスタートした時期にカナダを,日本の外務大臣としては20年ぶりの二国間訪問をさせていただき,我が国の立場,あるいはアジアの情勢等についてインプットさせていただいたということを,報告させていただきました。
総理の方からは,新政権について様々な質問もあり,意見交換をさせていただいた,そんなやり取りがありました。
北朝鮮関連
【TBS 深井記者】北朝鮮についてですけれども,国連での制裁決議,まだまとまってませんけれども,現在の進捗状況について教えてください。
【岸田外務大臣】引き続き,現地から様々な報告を受けています。そして関係各国の間で激しいやり取りが続いています。まだ結論は出てはおりませんが,先日も安保理の緊急会合におきまして,議長のプレース・ステートメントが発出されました。迅速に採決するということを確認しておりますので,できるだけ早い時期を目指して,努力は続くものだと思っています。
【TBS 深井記者】採決に向けてもだいぶ近づいているという認識をお持ちですか。
【岸田外務大臣】これは,何とも今の段階では申し上げられません。急がなければならないという意識は,関係者,持っています。ただ,引き続き具体的な激しいやり取りが続いていると,報告を受けています。
【TBS 深井記者】北朝鮮がですね,特別調査委員会を解体するという表明がありましたけれども,今後日本政府としてはですね,拉致問題の解決に向けて,特別調査委員会の再開を求めるのか,それとも別の枠組みのようなものをお考えなのか,どういったようなお考えで臨まれますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,北朝鮮側が一方的にストックホルム合意の破棄を公言したこと,そして調査を中止する,さらには特別調査委員会を解体する,こうしたことを表明したことは,誠に遺憾なことであり,我が国としては受け入れることはできないと考えます。そして北朝鮮側に対して抗議を行い,我が国としてストックホルム合意を破棄する考えがないこと,さらには全ての拉致被害者の帰国を実現するべく,強く要求をする,こういった考え方を,北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側には伝えました。
しかしながらそれに対する反応は,まだ返ってきていません。この北朝鮮側の反応も見極めながら,具体的に我が国として,どう対応していくかを考えていかなければなりません。いずれにせよ,北朝鮮側から建設的な対応を引き出すためには,何が有効かを引き続きしっかり検討していかなければならないと考えます。
【NHK 栗原記者】安保理でですね,議論が停滞しているというお話がありましたけれども,この議論がなかなか進んでいかない原因は,つまり停滞している理由というのは・・・。
【岸田外務大臣】停滞というか,激しくやり取りは続いています。動きは続いています。ただ,結果にはたどり着いていないということであります。議論が止まっているということではないと思います。それぞれ関係国の立場,考え方があるようです。しかし,迅速な採決に向けて努力をしなければならない,こういったことについては各国とも強く意識はしているようです。そういった状況が,結果としてまだ結論につながっていない,そういったことであると受け止めています。
G7の外相で任期最長,広島外相会合
【日経新聞 酒井記者】G7の関連になるんですけれども,フランスのファビウス外務大臣が退任されてですね,これでG7の外務大臣では岸田大臣が最も在任期間が長い,一番ベテランの立場になられるということですが,こうした観点からも4月の外相会談,会合ですね,どういった議論を引っ張っていきたいか,改めて,抱負をお願いできますでしょうか。
【岸田外務大臣】4月の外相会談があり,そして伊勢志摩サミットが控えています。伊勢志摩サミットまで今日で100日,今日からちょうど100日目が伊勢志摩サミットだと聞いています。外相会談はもう二ヶ月を切りました。こういった状況ですので,是非,準備を加速化させなければなりません。サミットにおいては,特に,最近不透明感を強めている世界経済の問題を筆頭に,中東,テロといった外交・政治問題,こういった問題,あるいは気候・エネルギーといったグローバルな課題など,幅広い分野において,しっかりとしたメッセージを出さなければならないと思います。その準備を加速化しなければならないと思いますし,テロ対策を始め,様々な受け入れ準備も加速させなければならなりません。
そして外相会談の方は,それに先だって外交・政治問題を中心に議論をしていかなければなりません。様々な地域情勢はもちろんですが,併せて広島で開催いたしますので,軍縮・不拡散などのグローバルな課題についてもしっかりとしたメッセージを発出していかなければならないと思います。是非,そういった点を念頭に準備を加速化させたいと思います。
【日経新聞 酒井記者】G7の外相の中で,最も長く在任期間がなられたという点ではどうですか。
【岸田外務大臣】やはり,国際会議で議論をする,特にG7は7か国プラスEUの上級代表が来ますので,8人,限られた人間同士で議論をする会議ですので,やはりより充実した議論を行うためには,お互いの信頼関係,人間関係は重要であると考えています。
議長を私(大臣)自身務めなければならないわけですから,外相を務めてきた経験を踏まえて,その間に培ってきた人間関係,信頼関係を踏まえて,しっかりとした議長としての役割を果たしていきたいと考えます。
日中関係
【朝日新聞 安倍記者】今,人間関係のお話がありましたけれども,ロシアとの外相会談の日程が見えてきましたけれども,中国とは電話会談できない状態が続いていますが,やはり春頃の訪中を目指していくという考えは,お変わりないのでしょうか。
【岸田外務大臣】日中関係,大切な隣国関係の一つであり,首脳会談等が積み重なる中にあって,全体として改善の方向にあると思ってはいますが,一方で様々な課題も山積しています。是非,その中でやはり対話というのは大事だと考えます。私(大臣)のレベルとしても,対話は大切だと思っております。具体的なものは何も決まってはいませんが,引き続き様々なレベルにおける対話は,大切にしていきたいと考えます。
北朝鮮関連
【産経新聞 坂本記者】確認一点なんですが,北朝鮮に北京の外交ルートを通じてストックホルム合意を破棄しない考えを伝えたというのは,何日でしょうか。
【岸田外務大臣】伝えてはいますが,具体的なやり取りについては控えております。