記者会見
岸田外務大臣臨時会見記録
(平成28年2月7日(日曜日)11時45分 於:本省中央玄関)
冒頭発言
【岸田外務大臣】まず,今回の北朝鮮によるミサイル発射,これは累次の国連安保理決議,そして日朝平壌宣言,2005年の6者会合の共同声明にも反するものです。そして,1月6日の核実験に続く挑発行為であり,断じて容認することはできません。
まず,10時3分に北京の大使館ルートを通じまして,北朝鮮に対して厳重に抗議を行いました。その上で,先ほど外務省としまして緊急対策本部会合を開催いたしました。その中で私から指示を出しましたことは,先ずは外務省としまして,米韓等関係国としっかり連携しながら情報収集,分析にあたるということ,そして,国連の安保理の緊急会合を改めて要請をし,そして,安保理における強い決議採択に向けてしっかりと議論をリードしていくということ,因みに,緊急会合の要請は,日本時間9時54分に行っております。そして,米韓等関係各国のカウンターパートと電話会談などを調整し,緊密に連携することを確認することを指示しました。併せて,総理から指示が出され,既に官房長官からも表明していますが,我が国独自の制裁について速やかに決定できるよう準備をすること,こういった指示を行いました。是非日本としましても,G7の議長国,国連安保理の非常任理事国としての責任をしっかり果たしていきたいと考えています。
質疑応答
【記者】今おっしゃった独自の制裁ですが,これは,安保理を受けて並行してということですか。それとも安保理の前ということもありますか。
【岸田外務大臣】安保理の議論は引き続き採択に向けて積極的にリードしていかなければなりませんが,それと並行して我が国独自の対応についても検討するようにという総理の指示です。こちらもこうした議論を行い,しっかりとした結論を出していかなければなりません。前後関係については決まったものではありません。
【記者】今回の発射については成功という話と,失敗という話と両方あると思うんですが,分析については,今どのように・・・・
【岸田外務大臣】様々な情報については収集に全力で努めています。さらに分析も行っているところでありますが,現時点における詳細ですとか,評価について申し上げることは控えたいと思います。必要であれば然るべき形でそうした内容についても明らかにすることはあるかと思いますが,私の方からは少なくとも現時点においては明らかにするのは控えます。
【記者】一連の挑発行動を受けて日朝協議というのは中断という形になるのでしょうか。
【岸田外務大臣】日朝協議とおっしゃるのは拉致問題ということでしょうか(記者:然り)。拉致問題が安倍内閣の最重要課題の一つであるということは全く変わりはありません。拉致被害者の方々の全員の帰国をめざして全力で取り組んで行かなければなりません。少なくとも,我が国の方から拉致問題に対する協議,対話を閉ざすことは行いません。拉致,核,ミサイルなど諸懸案を包括的に解決するために何が最も効果的なのか,こういった観点からしっかり取り組んでいきたいと考えます。
【記者】先日の核実験についての安保理決議もまだ出ていない中でのこうしたミサイルの発射ですが,核実験に対する決議と今回のミサイルの決議はどういう関係になるのでしょうか。
【岸田外務大臣】国連安保理におきましては,先日の核実験の強行を受けて強い決議に向けての議論が行われています。そして今回ミサイルの発射が行われました。今後引き続き,ミサイル発射も行われたことも念頭に安保理として強い決議採択に向けて議論が行われる,こういったことになると考えます。
【記者】日本を含めてミサイル発射をしないよう再三呼びかけてきたわけですけど,結果的にこういう行動に出ました。結局どの国もグリップをきかせられないような実態があると思うんですが,この点についてどう評価されますか。
【岸田外務大臣】それは今評価するのではなくして,先ずは全力でこうした事態にどう対応していくのか,各国がしっかりと取り組むことが重要だと考えます。