記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成27年10月20日(火曜日)10時35分 於:本省会見室)
核兵器廃絶の決議案
【中国新聞 藤村記者】日本が22年連続の採択を目指している核兵器廃絶決議案ですけれども,本日20日が国連の提出期限となっていると思うのですが,これはどういう内容になったかについて,まず説明していただければと思います。
【岸田外務大臣】内容につきましては,我が国としての今日の立場を基本に調整をし,そして提出をしたいと思います。本日20日,ニューヨーク時間での10月20日が国連総会第一委員会への提出期限となっていますので,ぎりぎりまで詳細を調整した上で提出することになっております。現時点では,詳細について明らかにするのは控えたいと思います。いずれにせよ,間もなく提出期限がまいります。
【中国新聞 藤村記者】そうすると,提出した後にまたお聞きしますけれども,もう一つ,オーストリアなどが国連に提出した核兵器の法的禁止に関する決議案について,日本政府としてどういう対応をするというようにお考えなのか,教えてください。
【岸田外務大臣】各国とも,様々な取り組みを行っています。いずれにしましても,ニューヨーク時間の10月20日が提出期限であり,これは提出が行われるまでは各国の決議案も文言等の詳細は確定しておりません。ですので,それについて何かコメントを申し上げるのは,いずれにせよ提出が行われた後でなければ難しいと思いますし,提出された後,聞いておりますところによりますと,11月2日の週から採択が行われるという日程とのことです。ですから,この提出が行われ,それをしっかり吟味し,そして11月2日の週以降,採択が行われるという手順で物事が進められていきます。
日本としての判断は,全て最終的には期限ぎりぎりになるのではないかと想像はしております。
【朝日新聞 武田記者】今の質問に関連してなのですが,先ほどニューヨークの特派員から連絡があって,オーストリアの決議案は提出されたようです。
このオーストリアの決議案というのは本年の2月ですか。オーストリア政府が各国に賛同を募ったオーストリアの誓約という,それとほぼ同じ内容で,その当時は日本政府というのは賛同も反対も,そういう態度表明をしないという方針で,結局,不賛同という趣旨の対応をしたのですが,今度は決議になると日本政府の対応は変わるということがあり得るのでしょうか。
【岸田外務大臣】オーストリアの決議案の文言についても,ご指摘の文書と同じなのかどうかも含めて,いろいろな情報が今まで飛び交っておりました。そして,提出されたかどうか,私(大臣)はまだ確認しておりませんが,提出されたとしても,それは提出された後,その内容を確認しなければなりません。現時点で確認してはおりませんので,何か申し上げるのは控えたいと思います。
提出されたというのであるならば,その文言をぜひ確認したいと思います。その上で,日本政府としてどう判断するのか,いずれにせよ,しっかりと検討した上での判断になると思います。
産経新聞前ソウル支局長の在宅起訴
【産経新聞 田北記者】昨日,弊社の前ソウル支局長に対して,名誉棄損などとか,そういうことを言いながら懲役1年6か月という求刑がありました。一部の有識者によると実刑の見通しもあるということが示されているのですけれども,これに対するコメントをお願いします。
また,検察側が昨日,加藤前支局長に対して,被害者は強い処罰を求めているというように言及したそうです。つまり,被害者というのは朴槿恵大統領に当たるのですけれども,今,日韓首脳会談が開催されるという見通しで調整が行われると聞いておりますが,やはり当事者が朴槿恵大統領ということであれば,安倍総理のほうから直接,これに対する賢明な判断というものを求めるべきであると思うのですけれども,大臣の見解はいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘の点につきましては,韓国政府に対しまして,報道の自由,表現の自由,更には日韓関係,こうした観点から様々な形で累次にわたり,我が方の懸念を伝達し,そして適切な対応を求めてきました。
しかし,事態が改善されないまま裁判が結審し,ご指摘のような求刑がなされたこと、このことについては極めて遺憾だと思います。政府としましては,種々の機会,レベルを通じて,引き続き韓国側に適切な対応を求めていきたいと思います。
そして近々開催されるのではないかといわれている日韓首脳会談においての取り扱いですが,日韓首脳会談については、日中韓三国のサミットに合わせて開催するということで,今,検討・調整が行われています。ただ現時点では開催すること自体も含めて調整中であります。日程等は調整中ということですので,まだ具体的にその中身,議題について何か論じる段階ではないかと思います。今,まだ日韓首脳会談についてはそういった状況でありますのでコメントすることは控えたいと思います。
【NHK 渡辺記者】今のことに関連なのですけれども,日本政府の対応としまして,日中韓を含めて,日韓の首脳会談を開かれるかどうか分からないということですけれども,大臣ご自身としまして,こういったことに対して首脳会談,あるいは大臣がソウルにもし行かれた場合に日韓の外相会談などあるかと思いますけれども,そうした機会を通じて,大臣として何か対応として韓国側に対して伝えていきたいということはおありなのでしょうか。
【岸田外務大臣】日韓外相会談についても,開催は何も決まってはおりませんが,今の件につきましては,引き続き様々な機会,レベルを通じて韓国側に対して適切な対応を求めていかなければなりません。しっかりと韓国側に対しては対応を求めるべく努力はしていきたいと思います。
ユネスコ記憶遺産
【時事通信 石井記者】ユネスコの世界記憶遺産に登録されたシベリア抑留に関する資料について,ロシア側がモスクワで先週日本大使館の関係者を呼んで申請撤回を求めたと伝えられています。今後日本政府としてどのように対応をして行くのかお聞かせ下さい。
【岸田外務大臣】ご指摘の点ですが,16日にロシア外務省から我が方,在ロシア大使館に対しまして本件申請取り下げの要請があったと承知をしています。
本申請は,舞鶴市の姉妹都市であるナホトカ市の理解と協力があるなど,広い観点から世界的な重要性があること等により,日本ユネスコ国内委員会から推薦されたものであり,本件について政治利用ではないかという指摘があると承知をしていますが,そうした指摘には当たらないと考えております。
また本件については,申請に先立って舞鶴市関係者から在大阪ロシア総領事を通じて申請の経緯と趣旨をロシア側に説明済みであったと承知をしております。ロシア側の申し入れについては,以上申し上げたような日本側の基本的な立場を伝達しつつ,ロシア側の指摘は当たらないという旨回答をしております。引き続き理解を求めていきます。
安倍総理大臣の米原子力空母視察
【朝日新聞 安倍記者】先日,安倍総理ですけれども,アメリカ海軍の原子力空母を視察されました。現職の総理が空母をこのような形で乗艦するというのは初めてということですけれども,これをどのように評価されるのかという点と,艦載機のスーパーホーネットに乗り込んで写真撮影に応じたということについて対外的な誤解を招きかねないという指摘がありますけれども,どのように考えていらっしゃいますでしょうか。
【岸田外務大臣】ご質問の趣旨が,対外的な誤解を招きかねないという趣旨が理解しかねますが,いずれにしましても,日米関係は,我が国外交に取りましても,安全保障にとっても基軸であると思っています。日米の協力関係をしっかり確認をするということ,これは当然あるべきことではないかと思います。そういった考え方を示すというようなことでの対応の一環ではなかったのかと想像いたします。