記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成27年10月6日(火曜日)9時35分 於:官邸エントランスホール)
TPPの大筋合意
【テレビ朝日 千々岩記者】まずTPPについてお聞きします。巨大な経済圏が誕生することとなりますけれども,これによる日本外交への影響についてお願いします。
【岸田外務大臣】まずTPPに関しましては,大筋合意の成立を歓迎したいと思います。それによって,21世紀型の新しい通商ルールの礎を提供することになると思いますが,その外交という面を考えましても,TPPの合意が成立するということによってアジア太平洋地域の平和や繁栄にも寄与するという戦略的な意義を有していると考えています。
北朝鮮のミサイルに関する動向
【テレビ朝日 千々岩記者】続いて北朝鮮について伺います。10月10日に北朝鮮が示唆していますミサイル発射が今週末に迫っていますけれども,予定が遅れるのではないか,それからまたなくなるのではないかと,色々観測が出ていますけれども,大臣,現状では,弾道ミサイルの発射についてどう分析していますか。そしてまた今後の日本政府としてどのように対応されていくのでしょうか。
【岸田外務大臣】北朝鮮のミサイルに関する動向については,政府として大きな関心を持ち,情報収集と分析に努めております。ただ現時点では,それについて何か申し上げるのは控えたいと思っています。
いずれにせよ仮に人工衛星と称してロケットを打ち上げるとしたとしても,これは明白な安保理決議違反でありますし,このことについては,この間,日米韓三カ国の外相会議におきましても確認をしましたが,関係国と連携しながら北朝鮮に対して自制を求めていかなければならないと思いますし,国連安保理決議あるいは六者会合声明の遵守をしっかり働きかけていかなければならないと考えます。
内閣改造
【テレビ朝日 千々岩記者】明日,内閣改造ですけれども,大臣ここまで3年近く外務大臣を務めてこられました。その3年間どのような思いで日本外交を率いてこられたか,もうひとつ,今後の日本外交のあるべき姿がどういうなものであるかとお考かをお願いします。
【岸田外務大臣】まずこの2年と9ヶ月あまりですが,外務大臣として,延べで57か国,移動距離で地球を17.7周,様々な国々を訪問させて頂きましたし,その間,各国の外務大臣を始め,様々な友人との会談も積み重ねてきました。基本的には就任当初から掲げてきた外交の三本柱,日米同盟の強化,そして近隣諸国との関係推進,そして経済外交の推進,この三本柱を中心に国益を守り,追求することと併せて国際社会のグローバルな課題にも汗をかく。こうした取り組みを続けてきました。
こうしたことにより,国際社会における人脈を拡げ,そして日本の存在感を高める,こうしたことに資する外交を行うことが出来たのではないかと考えております。
これからの外交については,引き続き,国際社会,激しく動き,変化をしています。その中にあって,是非,日本外交というもの,まずは自らの国益を守り,増進させるとともに国際社会においてしっかり汗をかき,貢献をし,存在感を高める,こうした取り組みを引き続き続けていくことが大事だと考えます。
TPPの大筋合意
【日本経済新聞 黒沼記者】TPPのことなのですけれど,協定の締結に向けて今後どのような段取りで進んでいくのか現時点での見通しをお願いいたします。
【岸田外務大臣】まず次の段階としては,署名があります。署名によって協定の文言を確定をするということが次のステップとしてありますが,この署名についてはまだ今のところいつになるのか全く見通しが立ってはおりません。しかし出来るだけ早く署名を行い,条文を確定した上でその後,国会での審議ということになります。そして,おそらくTPP協定と併せて実施のための国内法も提出されるのはないかと想像をいたします。そうした審議を経ることになると思いますが,いずれにしましてもTPP締結に向けて,今申し上げたような作業を進めるべく努力を続けていかなければならないと考えます。
【日本経済新聞 黒沼記者】現時点で国内の担保法は何本ぐらい必要だと思われますか。
【岸田外務大臣】これは今関係省庁で詰めているところだと思います。私(大臣)は今現在何本と申し上げる訳にはいきません。
記憶遺産(中国案件)
【NHK 栗原記者】ユネスコの世界記憶遺産,南京事件や従軍慰安婦が,ついさっき審査というのが終わりまして,今日にも協議が行われるという見通しです,日本も関係してくる南京事件ですとか,従軍慰安婦とか,そういった話もあるのですが,そういったことが近隣の国々によって申請されていることについて受け止めとかお伺い出来ますでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘の点ですが,今現在,ユネスコからあるいは国際諮問委員会から審査状況,審査結果について,対外発表はされていないと承知をしております。こういった段階ですので,これについて何かコメントするのは控えたいと思います。ただ我が国の立場,考え方につきましては,これまでも様々な機会を捉えて,ユネスコに対して説明をしてきております。引き続き結果を注視していきたいと考えます。
内閣改造
【NHK 栗原記者】明日組閣ですけれども,大臣が会長をしております宏池会から入閣について,安倍総理に何かお話をされましたでしょうか。それともこれからされるおつもりはありますでしょうか。
【岸田外務大臣】人事に関しては安倍総理が判断されるものであると思っております。それについて私(大臣)の立場から何か申し上げるということは致しません。