記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年6月30日(火曜日)9時18分 於:本省会見室)

【岸田外務大臣】本日は,冒頭発言はございません。どうぞよろしくお願いします。

日韓首脳会談の見通し

【読売新聞 仲川記者】昨日,杉山晋輔外務審議官が上智大学での学生向けの講演で,日韓関係について秋口には首脳会談をやりたいというような考えを示されたようですけれども,大臣,このスケジュール感ですとか実現の可能性について,どのようにお考えになりますでしょうか。

【岸田外務大臣】日韓の首脳会談につきましては,先日の日韓外相会談でも一致したとおり,適切な時期に実施すべく,ともに努力していくということを確認しております。そして,この日韓の首脳会談については,今のところ何も決まったものはございません。是非引き続き,適切な時期に開催するべく努力をしていきたいと考えております。以上です。

岸田外相の訪露の可能性

【ロシア連邦政府新聞 アレクサンドル記者】大臣のモスクワ訪問に関連する質問があります。日本のマスコミによりますと,本年8月には岸田外務大臣がモスクワへ行くという可能性があるとの報道があります。これは本当ですか。

【岸田外務大臣】まず,日露首脳間においては,本年中にプーチン大統領の訪日を実現するということで一致をしております。そして,その準備の意味もあり,外務大臣がロシアを訪問する。こうしたことが考えられております。
 しかしながら,外相の訪露,あるいはプーチン大統領の訪日,ともに具体的な時期,いつ,それを実現するかということについては何も決まっていないというのが現状であります。引き続きまして,この様々な点を総合的に勘案して時期等を検討していくことになると考えています。
 私(大臣)の訪露につきましても,今の時点では,いつ訪露するのかなど,具体的なことは何も決まっていないというのが実状であります。

軍縮不拡散関連

【中国新聞 藤村記者】日本とオーストラリアが主導する軍縮不拡散イニシアティブについてお伺いします。先月のNPT再検討会議ではNPDIの提案が,最終文書は合意に至りませんでしたが,多くの我が国の主張が盛り込まれたということで一定の成果を見たと思うのですけれども,今後のNPDIの活動,この2015年のNPT再検討会議を目指してきたと思うのですけれども,今後はどういうような展開を考えていらっしゃるのかということをお聞かせください。

【岸田外務大臣】今年のNPT運用検討会議は終了いたしましたが,核兵器のない世界を目指すという,この大きな目標に向けての努力はこれからもしっかり続けていかなければなりません。我が国としても,唯一の戦争被爆国として国際世論をリードしていかなければならないと思いますが,その際に,我が国の取り組みにおいて,この基本になり中心になるのがNPDIの活動であると認識しております。
 そもそも,日本とオーストラリアが中心となり,非核兵器国が協力しながら,核兵器のない世界を目指すため努力していこうという、この枠組みは、大変重要な枠組みであると思いますし,今日までも存在感を示すことができてきたと思っています。是非,この大切なNPDIの枠組みを,これからも日本として重視しながら,関係国と協力をし,そして核兵器のない世界という大きな目標に向けて努力をしていきたいと考えています。

平和安全法制関連

【東京新聞 上野記者】平和安全法制の関連でお伺いします。明日,7月1日で憲法解釈の見直しをした閣議決定から丸1年になりますけれども,この間,政府は平和安全法制の審議等で国民への周知を進めてきたと思うのですが,世論調査等を見ると,まだ国民の理解が十分と言えない状況だと思うのですけれども,この1年を振り返ってのご所感と,それから,今後の取り組み方について大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,平和安全法制は国民の命と平和な暮らしを守るためのものです。国民の命,そして平和な暮らしを守るということは政府にとって,また政治にとって大変重要な課題であると認識をしております。
 こうした国民の命や暮らしを守る,この法制は大変重要であると思っておりますが,その際に何よりも国民の理解を得るということは大変重要なことであると認識をいたします。国会の会期も延長されており,是非,国会の審議を通じて国民の理解を得るよう努めていきたいと考えております。
 国会の議論,審議も今,まだ道半ばでありますので,引き続き丁寧な議論を心がけ,国民の理解を得るべく努力を続けていきたいと考えております。

拉致調査:調査開始からまもなく1年

【産経新聞 楠城記者】北朝鮮のことについてお聞きしたいのですけれど,明日から7月になりますけれど,7月を目処に再調査結果を報告するということで,両政府間で,ある程度の認識の共有があったと思いますけれど,1年経つ中で初回報告といった誠実な対応を見せていない北朝鮮に対して大臣として今のご所感をお願いします。

【岸田外務大臣】北朝鮮との間においては,昨年5月,ストックホルムにおいて,日朝政府間協議を行い,合意を致しました。その結果として,この7月に拉致被害者を含む全ての日本人に関する調査を行う特別調査委員会を立ち上げて,調査を開始致しました。
 調査の期間については,昨年9月北朝鮮側から特別委員会の調査を進めるに当たって,調査は全体で1年程度を目標としている,こうした説明がありました。  北朝鮮側から全体で1年程度を目標にという説明があったのは事実ですが,そういった説明にとどまっており,調査について日朝間で合意された具体的な期限があるとは考えてはおりません。
 拉致問題は,言うまでもなく安倍内閣にとって最重要課題です。調査につきましても北朝鮮に対して迅速に調査を行い,そして速やかに,正直に結果を日本に通報するよう,引き続き強く求めていかなければなりません。行動対行動,あるいは対話と圧力,こうした原則を貫きながら全ての拉致被害者の帰国を実現するべく全力で取り組んでいきたいと考えております。

【NHK 栗原記者】今の質問に関連してなのですが,先日自民党から間もなく1年を迎えるに当たって制裁の一部再開とか,あるいは強化とかについて行うべきだという提言がありました。今の大臣の方から行動対行動,対話と圧力で対応していくということですけれども,これについてはどういう対応していくとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】ご指摘のように,先日,自民党から要請書を受け取りました。対北朝鮮措置につきましては,従来から諸懸案解決に向けた前向きな,そして具体的な行動を北朝鮮側から引き出すために,何が最も効果的であるかと言った観点から,不断の検討を行ってきたところでありますが,こうした要請書も受け,こうした要請書も参考にしながら,引き続きこうした検討を続けていきたいと考えております。
 こうした姿勢をこれからも大事にしながら,全ての拉致被害者の帰国にむけて取組を続けていきたいと考えております。

【TBSテレビ 深井記者】大臣,先ほど北朝鮮の具体的な期限があるとは考えていないとおっしゃっていましたけれども,こうして北朝鮮から通報がない状況が続く中,具体的にいついつまでに通報しろということを改めてまた北朝鮮側に通告するとか,そういったお考えというのはございますでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど申し上げたのは,北朝鮮側から全体で1年程度を目標にという説明があったということを紹介させていただいた上で,具体的な期限があるわけではないということを申し上げさせていただきました。しかし,いずれにしましても特別委員会の調査につきましては,これは速やかに,正直に通報してもらわなければならないと強く考えております。
 北朝鮮側に対しましては,北京の大使館ルート等を通じまして,意思疎通は図り続けているわけですが,そういったルート等を通じまして,引き続きしっかりとこうした我が国の考え方,要請は伝えていかなければならないと考えております。

日印原子力協定

【東京新聞 上野記者】大臣,話題変わりまして,先週の閣議後会見で,インドとの原子力協定の交渉に関して質問させていただき,再処理の包括的事前同意を政府が与えるという報道について,全く聞いてないというようにお答いただきましたけれども,そうしますとインドはNPTに加盟していないのですけれども,インドがプルトニウムを軍事転用しない歯止めが担保されなければ日本政府として協定は締結しないという方針なのかどうか,お伺いできますでしょうか。

【岸田外務大臣】インドとの間においては,原子力協定等を巡りまして,以前から様々な場で意見交換,そして意思疎通を図っているところです。引き続き,こうした協議は続いていくものであると思っておりますが,今,ご指摘の点等において,具体的なものが何か示された,決まった,こういったことは全くないと承知をしております。ご指摘のインドはNPT体制の大きな枠組みの中に入っていないわけですが,大きな軍縮不拡散のこうした思いについては,前向きに協力をしてもらわなければなりません。是非,そうした思いで引き続き,協議を続けていきたいと考えております。

拉致調査:調査開始からまもなく1年

【テレビ朝日 藤川記者】北朝鮮の関連でお尋ね致します。先ほど,大臣,北京の大使館ルート等を通じて意思疎通を図り続けているという風におっしゃっていましたけれども,日本からの要請に対して北朝鮮側から何らかの反応は返ってきているのでしょうか。無反応の中で日本が要請を重ねているという状況なのでしょうか。

【岸田外務大臣】色々なやり取りは行っております。ただ具体的な反応については,今時点では紹介するのは控えたいと存じます。是非,具体的な調査の結果,通報を求めていきたいと考えています。

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