記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年4月3日(金曜日)10時36分 於:官邸エントランスホール)

ケニア・ガリッサ大学での銃撃テロ事件及びイラン核協議の枠組み合意

【岸田外務大臣】こちらから2件あります。まず,ケニアにおける大学襲撃事件について。昨日,ケニア北東部のガリッサ郡において,アル・シャバーブ民兵がガリッサ大学を襲撃し,死者だけで100名を超える状況にあると聞いております。我が国は,亡くなられた方々の冥福をお祈りするとともに,御遺族に対し哀悼の意を表します。また,負傷者の方々に心からお見舞いを申し上げます。今回のテロ行為は,無辜の人々を狙う許し難い行為であり,これを断固として非難をいたします。我が国は,あらゆる形態・目的のテロを非難し,いかなるテロ行為も正当化し得ないことをあらためて強調いたします。我が国は,国際社会と協力しつつ,テロに立ち向かうケニア政府の努力を支援していく考えです。
 2件目ですが,EU3+3とイランが最終合意に向けた「共同包括的作業計画の主要な要素」に合意したことを歓迎いたします。これまでの交渉当事者の努力を評価します。日本は,現在の機運が活かされ,6月末までに最終合意に達することを強く期待いたします。国際不拡散体制強化の観点から,また,イランが地域の諸課題に対して一層建設的に関与するためにも,最終合意の達成は重要です。日本は今後とも,国際社会と連携しつつ,最終合意の形成とその着実な履行に向けて独自の立場から役割を果たしてまいります。以上2点です。

日朝関係

【日本テレビ 有田記者】昨日,北朝鮮の方からこのような状態では日朝の政府間対話はできないというような話を伝えてきたというような話の中で,今朝,安倍総理と話をされていましたけれども,その中で何か指示等ありましたでしょうか。

【岸田外務大臣】今朝,安倍総理と話をさせて頂きましたが,それは今後,安倍総理の訪米と様々な外交案件が予定されています。様々な外交案件につきまして,相談を申し上げた,ご指示を受けた,そういったことでありました。その中で北朝鮮の問題についても,話題としては挙がりました。

【日本テレビ 有田記者】何か総理の方から指示は。

【岸田外務大臣】意見交換です。何も決まったものはありません。

【日本テレビ 有田記者】2点目なのですけれども,日本政府の立場というものは従来と変わらないということなのですが,そういう立場を既に何らかのルートを通じて北朝鮮側の方には伝えられたのでしょうか。

【岸田外務大臣】本日,速やかに,適切な形で北朝鮮側に抗議を伝えたいと思っております。

【日本テレビ 有田記者】まだされていないのでしょうか。

【岸田外務大臣】これからです。可及的速やかに行いたいと思っています。

【日本テレビ 有田記者】抗議とおっしゃいましたけれども,抗議というのはどういう趣旨の抗議でしょうか。

【岸田外務大臣】今回,北朝鮮の発表があったわけですが,我が国は昨年5月の日朝合意に基づいて誠実に対応し,誠実に合意を履行しております。今回の北朝鮮の発表は全く受け入れることができません。極めて遺憾だと思っております。
 そして,北朝鮮は特別調査委員会の調査を進めているわけですが,迅速に調査を行い,そして速やかに,正直にその結果を通報していくべきであると思っておりますし,それを強く求めていきたいと思っております。

【日本テレビ 有田記者】朝鮮中央通信が報じたところによりますと,2国間で交渉していくべき拉致問題を国連の場で取り上げたということに対して北朝鮮側は怒っているようなのですけれども,それに対しての大臣の受けとめをお願いいたします。

【岸田外務大臣】拉致問題を含めた北朝鮮の人権問題は,我が国のみならず国際社会全体の大きな問題であると受けとめられています。よって,国連の人権理事会等において取り上げられているわけです。この問題は我が国だけではなくして,国際社会全体として取り組むべき課題だと受けとめています。

【日本テレビ 有田記者】最後に,日本政府の立場も含めて,北朝鮮側と政府間協議などを開催して,その場で伝えていくということは現状,考えられますでしょうか。

【岸田外務大臣】今現在,政府間協議については何も具体的に決まったものはありません。いずれにせよ,我が国の立場はさまざまな機会にしっかり伝えていかなければならないと思います。

【共同通信 蒔田記者】大臣,今,おっしゃられた抗議の意思を北朝鮮側に伝えるというのは,北京の「大使館」ルートを通じてということでしょうか。

【岸田外務大臣】はい。北京の「大使館」ルートになると思っています。

【TBSテレビ 深井記者】北朝鮮は,朝鮮総連の捜索についても今回抗議をしてきているわけですけれども,日本側から北朝鮮に抗議を申し入れる中で,その説明とかというものはどういう形でされるのでしょうか。

【岸田外務大臣】いずれにせよ,この強制捜査の件につきましては警察によって法と証拠に基づいて進めているものと承知しています。こうした警察の対応については,北朝鮮側にも理解してもらわなければなりません。

【時事通信 松本記者】再調査の報告の時期ですけれども,1年めどということで,7月がめどだと思うのですが,そこまでに報告を求めていくという日本政府の立場は変わらないのか。また,初回報告といいますか,北朝鮮の再調査の報告の今後の見通しを大臣はどうご覧になっていますか。

【岸田外務大臣】初回報告につきましては,そもそも去年の夏から秋の初めという話がありました。しかし9月の段階で,まだその段階ではないという説明が北朝鮮側からありました。そして,更に9月の段階であったと思いますが,調査自体,調査が開始されてから1年めどという発言が北朝鮮側からあったと記憶しています。
 そういった時期については,発言があったのは事実ですが,我が国の立場としては,引き続き通報を速やかに,そして正直に行うべくしっかり働きかけていく。こういった立場は変わらないと思っております。

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