記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年3月31日(火曜日)8時46分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-対北朝鮮措置の延長

【岸田外務大臣】後ほど菅内閣官房長官から発表があると思いますが,我が国の対北朝鮮措置に関し,本日の閣議において,4月13日で期限が到来する北朝鮮籍船舶の入港禁止措置,そして北朝鮮との輸出入禁止措置について,人道的観点から特別の事情がある場合に入港を認める例外措置を含め,期限を2年間延長することが決定されました。
 外務省としては,関係省庁とも緊密に連携しつつ,これらの措置を着実に実施していくとともに,「対話と圧力」の方針の下,拉致問題をはじめとする北朝鮮をめぐる諸懸案の解決に向けて全力を尽くしていきます。

対北朝鮮措置の延長

【TBS 深井記者】まだ2週間ほどありますけれども,この時期に閣議決定された理由と,北朝鮮から未だ拉致被害者等の報告がないことについて今の大臣のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】この時期,4月13日の期限を前にして各省庁との連携,手続き等,そしてこの問題をめぐる様々な課題,様々な状況を総合的に判断してこの時期になったと理解をしています。
 そして,未だ北朝鮮側から通報がないということについては,おっしゃるように今現在本日まで何か具体的な動きについては聞いておりません。政府としましては引き続き,北朝鮮に対しまして迅速に調査を行い,速やかに正直に通報を行うよう求めていきたいと考えています。

【TBS 深井記者】昨年一部緩和されている措置等あったと思うのですけれども,朝鮮総連幹部の往来等,そういったものについて今後また北朝鮮が報告をなかなか行わない場合,さらに制裁を行う等のお考えはありますか。

【岸田外務大臣】こうした措置につきましては,全ての拉致被害者の帰国に向けて何が最も効果的なのか,こういった観点から不断の見直しを行っていかなければならないと思います。これからもそういった観点で,この問題について取り組んでいきたいと考えています。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)

【TBS 深井記者】AIIBですけれども,今日創設メンバーの締め切り期限ということですが,今後の日本政府としての参加に関する検討状況,今後どのような対応をとっていかれるのかについて現時点のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】AIIBに対する我が国の立場ですが,従来から申し上げておりますように公正なガバナンスを確立できるのか,また債務の持続可能性を無視した貸付を行うことによって他の債権者に損害を与えることにならないのか等,検討すべき点があると考えています。
 こうした問題意識,問題提起につきましてはこれまでも中国側に伝えていますが,今のところ明確な説明は得られておりません。よって我が国としましては,特定の期限にとらわれることなく引き続き関係各国と連携をしながら働きかけを続けていきたいと考えております。

【ブルームバーグ 高橋記者】AIIBについてお伺いします。昨日,フィナンシャル・タイムズが配信しましたインタビューで北京の木寺大使が日本も6月までにAIIBに参加するだろうというように話したという記事を配信したのですが,この発言は外務省として確認されているのでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,その報道は承知をしています。ただ木寺大使が日本のAIIB参加の見通しについて発言したという事実はありません。政府としてはAIIBが我が国の提起している問題意識や基準を満たすかどうか,こういった点に着目しております。
 先ほど申し上げましたが,特定の期限等を念頭に置いていることはございません。

【香港フェニックスTV 李記者】関連です。AIIBですが,今日が期限ということなのですが日本政府は期限にとらわれないということに関しては,まだ今の時点で不参加という決定はしていないということでしょうか。

【岸田外務大臣】先ほど申し上げました問題意識を持ち,問題提起を中国側に伝えています。今日まで何の返事もありません。そういった状況が続いています。
 そういう状況が続いている中で,今日創設メンバーの期限が来ると聞いていますが,こうした期限には全くとらわれることはなく,こうした意識はしっかりぶつけ,しかるべき適切な対応を求めていきたいと考えています。

サウジアラビア等によるイエメンでの軍事行動

【NHK 栗原記者】中東のイエメンの状況についてお伺いいたします。中東イエメンで,隣国のサウジアラビア等による空爆が続いていまして国内の避難民等,多数の被害者,犠牲者が出ておりますけれども,こうした状況の受け止めと日本政府として今後どのような対応をとられるかお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】イエメンの状況ですが,イエメンにおきましてはホーシー派の武装勢力が首都サヌアを武力によって制圧した後,3月25日以降サヌアから逃れていたハーディー大統領を追って同国南部に進出していきました。このような中,サウジアラビア等がイエメン政府からの要請を受けホーシー派の本拠地を空爆した。このように承知をしております。
 サウジアラビア政府からは説明を受けておりまして,今回のサウジアラビア等による軍事行動はイエメン政府がホーシー派武装勢力の活動を取り締まることが出来ない状況の中で,これ以上の暴力を食い止めるため,正当にイエメン政府を代表するハーディー大統領の要請を受けて行われた措置であった,こういった説明を我が国としましてはサウジアラビア政府から説明を受けております。
 いずれにしましても我が国としましては,事態の沈静化に繋がることを期待しております。そして,イエメンの全ての勢力が武力に訴えることなく国連主導による政権移行プロセスが再開されるよう国際社会と連携していきたいと考えています。我が国の立場は以上でございます。

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