記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年3月24日(火曜日)8時36分 於:官邸エントランスホール)

リー・クァンユー・シンガポール元首相の逝去

【テレビ朝日 藤川記者】シンガポールのリー・クァンユー氏が亡くなった件につきまして,葬儀に日本政府としては特使の派遣を検討されているかと思うのですが,検討状況をお願いします。

【岸田外務大臣】しかるべき要人に弔問,参列して頂く方向で調整中です。

日中関係

【テレビ朝日 藤川記者】話題変わりまして,与党の谷垣幹事長らが中国を訪問されていまして,兪正声(ゆ・せいせい)氏との会談ではやはり歴史認識に関する話題,70年談話の話題になっているようですけれども,また,外務大臣ご自身の日中外相会談の中でも歴史の問題を長時間取り上げたということですけれども,こういった状況について,また日本としての立場等をお聞かせください。

【岸田外務大臣】23日に与党幹事長一行が中国共産党,政治局常務委員の兪正声中国人民政治協商会議主席と会談を行ったということ,承知をしております。我が国政府としましては,昨年11月に北京のAPECにおきまして首脳会談,そして外相会談が行われ,その後様々なレベル,分野を通じまして意思疎通を積み重ねております。こうした対話,意思疎通を積み重ねることによって大局的観点から日中関係を発展させていくこと,大変重要だと思っています。そういった意味から,今回の与党幹事長一行の訪中,そして兪正声中国人民政治協商会議主席と会談を行ったこと,大変有意義なことだと思っています。今後とも,日中間の様々な課題について,様々なレベル,機会を捉えて意思疎通,対話を積み重ねていき,大切な日中関係をしっかり発展させていきたいと考えています。

【テレビ朝日 藤川記者】戦後70年の総理談話について懸念が示されていることについては,どのようにお考えになりますでしょうか。

【岸田外務大臣】戦後70年という節目の年に当たって,我が国としては先の大戦の反省に基づき,そして戦後70年間,自由や民主主義,法の支配といった基本的な価値観を大事にしながら平和国家として国際社会に貢献をしてきました。
 そして,これからも一層貢献していきたいと考えています。こうした我が国の基本的な立場,そして考え方,是非しっかりと国際社会に発信していきたいと考えています。様々な機会を捉えて,発信をしていきたいと考えます。

沖縄県による辺野古工事停止指示

【テレビ朝日 藤川記者】沖縄県の辺野古への移設工事なんですけれども,県知事の方から工事停止の指示が出ている件について受け止めと,この件につきましてアメリカ側とどのようなやり取りをしていらっしゃるかということをお願いします。

【岸田外務大臣】まず,沖縄県知事から沖縄防衛局に対しましてアンカーの設置に関して,許可を得ずに岩礁破砕行為がなされた蓋然性が高いとして,キャンプ・シュワブ海域の工事に係る海底面の現状を変更する行為のすべてを停止するよう指示する文書が提出されたと承知をしています。
 この文書については,現在,防衛省等において内容の確認を行っているところでありますので,現時点で私(大臣)の方からコメントすることは控えたいと思いますが,いずれにしましても,このアンカーの設置については,防衛省と沖縄県の事前調整の段階で,沖縄県知事が定める沖縄県漁業調整規則等を踏まえて,十分調整を行った上で実施をしていると承知をしております。

【テレビ朝日 藤川記者】米側からは特に。

【岸田外務大臣】すみません,私(大臣)自身そういったことについては具体的なものは確認しておりません。

アジアインフラ投資銀行(AIIB)

【共同通信 蒔田記者】AIIBについてなのですが,米国の一部報道で米政府高官がAIIBと世界銀行やADBとの共同出資事業に前向きな見解を示しましたが,日本としましてもこの件については前向きに考えるかどうかというのと,AIIBへの日本の参加についての見解を改めてお願いします。

【岸田外務大臣】ご指摘のような報道については承知をしていますが,米国政府からは新たに設置される国際金融機関はガバナンス等において高い基準を満たす必要があるという米国政府の立場は変更がない,こういった説明を受けていますし,我々もそのように承知をしております。
 そして,我が国の立場についても現状全く変更はございません。従来から申し上げているとおり,公正なガバナンスの確立ができるか,あるいは債務の持続可能性を無視した貸付を行うことにより,他の債権者に損害を与えることにならないか,こういった点を含めて慎重な検討が必要だということであります。

日中韓外相会議関連

【TBS 深井記者】昨日,安倍総理に日中韓の報告をされたと思うのですけれども,安倍総理からの評価と,これから日中韓首脳会議に向けての何かご指示みたいなものはございますでしょうか。

【岸田外務大臣】日中韓外相会議,そしてそれに併せて行われました日中外相会談,日韓外相会談,また朴槿恵大統領の表敬等,この一連の会議について報告をさせて頂きました。
 この日中韓外相会議の共同文書の中にもありますように,首脳会議を行うべく努力するということで一致をしております。そもそも,こうした日中韓外相会議そのものが日中韓のサミットへ向けてのワンステップだと位置づけられていたはずですので,引き続きサミット実現へ向けて努力をしていきたいと考えております。そういった状況を説明,申し上げ,総理に了解を頂いたということであります。

沖縄県による辺野古工事停止指示

【NHK 栗原記者】辺野古の件なんですけれども,アメリカとの関係で政府と沖縄県との文書のやり取り等で埋め立て,ボーリング調査ができなくなってしまう可能性があるということについて,これから日米関係への影響についてどのようにお考えでしょうか。
 また,総理の訪米ですとか外務大臣の訪米等を控えている中でアメリカにどのように働きかけ,説明していくかお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】いずれにせよ,今知事から提出された文書について内容を確認している段階ですので具体的なことについて現時点で私から何かコメントするのは控えます。

日中韓外相会議関連

【読売新聞 仲川記者】日中韓外相会議の時の大臣ご自身の日中韓首脳会議,日韓バイ,日中バイ首脳会談の実現の見通しですとかスケジュールについて大臣ご自身はどのように見ておられますか。

【岸田外務大臣】今回3年ぶりに日中韓外相会議が行われ,日中韓の対話のプロセスが動き出したことは大変意義あることだと存じます。是非,こうした三国間の関係の発展に努力をしたいと思います。

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