記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成27年3月10日(火曜日)7時47分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-ヨルダン,ギニア,リベリア及びシエラレオネに対する無償資金協力
【岸田外務大臣】本10日,ヨルダンに対し合計20億円の無償資金協力を実施することを決定いたしました。
また,ギニア,リベリア及びシエラレオネに対し,合計17億5,000万円の無償資金協力を実施することを決定いたしました。
ヨルダンに対する支援は,1月に総理が表明した中東への人道支援の拡充を具体化するものです。そして本支援は,多数のシリア難民の受入れに伴い,増大しているヨルダン政府の負担を軽減するため,日本製の医療機材等を調達するためのものです。
ギニア,リベリア及びシエラレオネへの支援は,昨年来のエボラ出血熱の流行により,経済・財政状況の悪化が深刻になっている3か国が経済社会開発の取組を進めるために必要な資機材を調達するためのものです。
メルケル独首相の共同記者会見での発言,ウクライナ情勢
【日本テレビ 有田記者】安倍総理とメルケル首相の会談の中で,メルケル首相が戦後の周辺国との和解の例について述べられたということなんですけれども,日本の戦後の周辺国との和解について大臣はどのように認識されて,評価されているかお伺いしたいと思います。
それから,もう一点,ウクライナ情勢について日独の外務当局間で定期協議を開催することで合意したということですけれども,この協議というのは例えばどういったクラスで,どういった頻度でやっていくのか具体的なイメージをお聞かせ頂けますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,昨日の記者会見で,メルケル首相は日本に対して何かヒントを与えるものではないとしつつ,ドイツの経験を説明する文脈で自分たち自身の過去を乗り越えることは和解の一部であるとの考えを述べられたと承知をしています。
同時に隣国の歩み寄りの姿勢の重要性も強調され,「フランスは第二次世界大戦後,ドイツに歩み寄ってくれました。」こうした発言をされたと承知をしています。日本とドイツでは先の大戦中に何が起こったか,そして戦後どういう状況下で戦後処理に取り組んだか,どの国が隣国なのかといった経緯が異なり,両国を単純に比較することは適当ではないと思います。その上で,欧州ではドイツ自身の努力に加え,欧州全体が欧州統合という壮大な政治目標の下,共同体作りを進め,和解を進めてきました。これに対しましては,我が国としまして敬意を表し申し上げたいと思います。
そして,我が国自身の対応についてのご質問ですが,我が国が比較的多くの国々,とりわけアジアの諸国の人々に対し,多大な損害と苦痛を与えたという認識においては安倍内閣,そして歴代内閣,これは同じであると考えております。安倍内閣としましては,歴史認識に関する歴代内閣の立場,全体を引き継いでいくということ,繰り返し表明をさせて頂いております。
そしてウクライナですが,具体的な枠組み,取り組みについては是非これからしっかり調整をしたいと思っています。いずれにしましても,日本とドイツ,このEUの中における,あるいは国際社会におけるドイツの存在を考えます時に日本とドイツのこの両国における意思疎通は大変重要であると認識をいたします。是非,この日本とドイツの関係にふさわしい意思疎通の枠組みを考えていかなければならないと思っております。
鳩山元首相のクリミア訪問計画
【日本テレビ 有田記者】鳩山元首相がロシアに行かれて,クリミア訪問を改めて表明されたようなのですが,受け止めと日本政府として今の段階で出来ることは何でしょうか。
【岸田外務大臣】仮に鳩山元総理がクリミアを訪問するということになりましたならば,ロシアによる一方的なクリミア併合は決して認められないとする我が国の政府の立場と相容れず,遺憾であると考えております。引き続き,鳩山元総理に対する働きかけは続けていきたいと考えています。
【日本テレビ 有田記者】事実関係だけは把握されていますか。
【岸田外務大臣】鳩山元総理がロシアへは出発されたということは承知をしております。引き続き,働きかけは続けます。