記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年2月24日(火曜日)8時47分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)寒波により影響を受けたシリア難民及び国内避難民等に対する緊急無償資金協力

【岸田外務大臣】本24日,政府は,国連世界食糧計画(WFP)等を通じて,シリア難民及び国内避難民等に対する600万ドルの緊急無償資金協力を実施することを決定いたしました。
 1月の大寒波の影響により,シリア,ヨルダン,トルコ及びレバノンにおいて防寒に必要な物資が不足していることから,社会的に脆弱なシリア難民及び国内避難民等に防寒物資や食料等を配布するものです。
 本件は,先般,総理が表明した中東への人道支援の拡充を具体化するものであり,先日,私(大臣)が発表しました「邦人殺害テロ事件を受けた今後の日本外交(3本柱)」における2本目の柱,すなわち中東外交強化の一環として実施するものです。

(2)CTBT発効促進会議共同議長国への指名

【岸田外務大臣】2月23日,ウィーンにおいて,我が国は,カザフスタンと共に,第9回包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進会議の共同議長国として指名を受けました。
 被爆70年の本年8月24日から25日には広島でCTBT賢人グループ会合を開催するなど,我が国は,共同議長国として,「核兵器のない世界」に向け,CTBTの早期発効を始めとする現実的かつ実践的な取組を主導していく考えです。

CTBT発効促進会議共同議長国への指名

【TBS 深井記者】CTBTですけれども,大臣は広島選出ということもあり,議長としてどのような意気込みで臨まれますか。

【岸田外務大臣】今年は被曝70年でもあり,NPT運用検討会議も開催され,そうした中で今回CTBT発効促進会議の共同議長国にカザフスタンと共に我が国が指名をされたわけですので,是非こうした重要な節目の年にあたりまして,核兵器のない世界に向けての国際世論をしっかりリードしていく,様々な議論をリードしていくという役割を果たさなければならないと考えます。
 我が国としましても,今日までNPDIを始め,様々な枠組みでこの議論を積み重ねてきました。こうした成果を下に,議長としての役割をしっかり果たしていきたいと思います。

西川農水大臣の辞任

【TBS 深井記者】昨日,西川農水大臣が辞任されまして,第二次安倍政権,政治とカネの問題で3人目の閣僚の辞任となりました。政権運営に与える影響と,こうした問題が相次ぐことについて大臣のお考えをお聞かせ頂けますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,西川農相の辞任については大変残念なことだと思っています。しかし,我が国は今国会開会中でもあり,また農協改革をはじめ多くの課題を目の前に持っています。こうした様々な課題に向けて,政府一丸となってしっかり取り組んでいかなければならない。気持ちを引き締めて,こうした政策課題に臨んでいきたいと考えています。

【TBS 深井記者】後任の林農水大臣は,大臣の派閥からの登用ですけれども,これで5人の閣僚が大臣の派閥から,ということですけれども,宏池会の存在感といいますか,どういったように捉えていらっしゃいますか。

【岸田外務大臣】いずれにせよ,今回の林芳正農水大臣の指名についても西川大臣の辞任ということを受けての指名ですので,政府としましては林新大臣をしっかり支えながら政府全体で様々な政策課題に取り組んでいかなければならないと考えています。
 こうした事態を受け,是非政府としましても心を引き締めて国会に臨んでいきたいと思います。

日韓関係

【TBS 深井記者】続いて日韓関係ですけれども,「竹島の日」に政務官を派遣されたことについて,韓国側が嘆かわしい等と反発しておりますけれども,今年は国交正常化50周年の節目の年でもあり,首脳会談が望まれるところかと思いますが現在の進捗状況,調整状況はいかがでしょうか。

【岸田外務大臣】まず23日,島根県の「竹島の日」の式典が開催をされました。松本内閣府大臣政務官の出席に対して,韓国側から抗議がありました。我が方からは,我が国の竹島に対する立場に鑑み,韓国側の抗議は受け入れられない,こういった旨を回答致しました。いずれにしましても,我が国の竹島に関する立場はこれまで再三表明してきた通りであり,引き続き冷静かつ平和的に解決に向けて努力をしていきたいと考えています。
 そういった中で,日中韓3ヵ国の外相会談に向けての動きですが,現在のところ具体的な日程等は何も決まってはおりません。ただ,我が国としましては日中韓3ヶ国の関係を未来志向で進めていくためにこうした3ヶ国の枠組み,外相会談ですとか首脳会談,今日までも重視をしてきました。引き続き,議長国韓国を中心に開催に向けて努力が続けられることを強く期待をいたします。

西川農水大臣の辞任

【時事通信 松本記者】西川大臣が昨夜,辞任にあたって「私がいくら説明しても分からない人には分からない」というようにおっしゃいました。西川さんがこれまで国会答弁等でこの問題について十分説明を尽くしたとお考えでしょうか。
 また,西川さんの献金の問題について,この辞任をもって幕引きとなるのでしょうか。それとも,引き続き西川さんに説明責任が求められるというようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】西川大臣,今日までも予算委員会等で説明努力を続けてきました。ただ内容についてどうか,尽くしているかどうかということについては私(大臣)から何か申し上げることは難しいかと思います。一般論として,政治家たる者こうした説明責任はしっかりと尽くしていかなければならないとは思います。

日朝関係

【TBS 深井記者】日朝関係ですけれども,現在の進展状況といいますか,協議等はどのようになっておりますでしょうか。

【岸田外務大臣】日朝間ですが,特別調査委員会の報告につきましては引き続き,できるだけ迅速に,そして正直に通報するよう求め続けております。この日朝間においても,大使館ルートを通じて働きかけを行っているわけですが,年末から年明けにかけて日米韓,こうした枠組みでの会議が行われました。
 また,六者会合の中国やロシアの代表とも我が国の代表は会議を持ちました。こうした日米韓の枠組み,さらには六者会合こうした枠組み,さらには国連の取り組み等,様々な取り組みを通じて北朝鮮側から前向きな行動を促していきたいと思っております。

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