記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成27年2月20日(金曜日)8時35分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-緑の気候基金法案の閣議決定

【岸田外務大臣】本日の閣議において「緑の気候基金への拠出及びこれに伴う措置に関する法律案」を閣議決定いたしました。
 緑の気候基金については,安倍総理が昨年11月,日本としては国会の承認が得られれば最大15億ドルの拠出を行う旨,表明致しました。
 この基金は,気候変動に関する国際交渉において,途上国に対する支援を行う基金として位置づけられており,気候変動交渉を推進していく上で極めて重要な役割を担っております。
 本年は,気候変動に関する2020年以降の新しい枠組みが決まる,重要な年です。本法案を今国会で御承認いただき,拠出を速やかに実現することで,我が国が気候変動交渉で主導的な役割を果たしていく考えです。

邦人殺害テロ事件発生から1か月

【日本テレビ 有田記者】本日,1月20日に人質の殺害予告の動画がアップロードされて1ヶ月になります。その間の対応含めて大変残念な結果になったのですけれども受け止めをお願いいたします。
 また,外務省の中で検討チームが立ち上がったと思うのですけれども,現在の検討状況,また何か新しい対応策等ありましたらお願いします。

【岸田外務大臣】おっしゃるように,1月20日お二人の映像が公開されてから1ヶ月が経過いたしました。政府としまして,全力で解放に向けて努力をいたしましたが,こうした結果になったことにつきましては痛恨の極みであります。今回の事件を受けて,17日ですが私(大臣)の方からテロに対する我が国の基本的な方針3本柱を発表させて頂きました。テロ対処能力向上への支援,さらには中東の安定のために人道支援等を拡充するということ,そして3本目としてこの穏健な,過激主義を生み出さない社会を構築するために支援を行う,この3本柱を発表したわけでありますが,19日に米国で行われました閣僚級会合におきましても,中山副大臣の方からこの方針につきまして表明をさせていただきました。
 そして,ご指摘の邦人安全に関する検討チームですが,まず3日に立ち上げをし,6日に直ちに講ずべき対策としまして,一つはショートメールシステムを通じた情報の一斉送信の開始,さらには日本人学校の警備強化,こういった内容を公表させて頂きました。これらはすぐ実施に移したいと思います。そして今後も検討チームにおいて議論を続け,出来るところから具体的な対策を実施していくという方針で作業を進めていきたいと考えています。

日朝協議

【日本テレビ 有田記者】日朝協議なんですけれども,現在のところ北朝鮮側との間で例えば次回の協議の日程等,また何か通告,報告等について話はありますでしょうか。

【岸田外務大臣】日朝の間においては引き続き,特別調査委員会の報告を速やかに正直に行うよう強く日本側から働きかけております。大使館ルート等を通じて働きかけを行っているところです。是非,北朝鮮側から前向きな態度が得られるよう引き続き努力をしていきたいと思っていますし,北朝鮮に対しましては国際的な枠組み,日米韓ですとか,あるいは六者会合,こういった枠組み等を使いまして働きかけを続けていきたいと考えています。

韓国における慰安婦問題

【NHK 栗原記者】いわゆる従軍慰安婦問題について,日韓双方の事実に基づいて冷静な議論を行うよう呼びかける『帝国の慰安婦』という本が韓国で発売されました。この本は日本側にも建設的な議論を行うよう呼びかけておりますけれども,韓国初でのこうした動きについて,岸田大臣どう評価されますでしょうか。

【岸田外務大臣】ご指摘のような動きについては,承知をしています。ただ,具体的な書籍1つ1つについて日本政府としてコメントすることは控えなければならないと思います。
 ただ,その上でまずは日本に対する評価というのは事実に基づいてしっかり行われるべきであると思いますし,この慰安婦問題につきましても,これまで日本として様々な取り組みを行ってきました。そうした取り組みについてもしっかり評価して頂き,そして我が国としましても引き続き粘り強く議論を続けていきたいと思っています。日韓関係については我が国に取りまして最も重要な隣国であり,今年は日韓国交正常化50年という節目の年であります。是非,大局的観点から未来志向で友好関係を進めるべく努力をしていきたいと考えています。

日韓関係

【読売新聞 仲川記者】2月22日,竹島の日ですね。政務官派遣,3年連続ということですけれども,我が国としては大切な日韓関係に影響を与えてはいけないと,影響を及ぼすべきではないという立場だと思うのですけれども,韓国からはある程度の反発が予想される,このような状況について50周年にてらしてどのようにお考えですか。

【岸田外務大臣】今申し上げましたように,韓国は我が国にとりまして最も大切な隣国です。今ご指摘の点につきましても,我が国としまして,韓国との関係,日韓関係を悪化させようなどという意図は全くありません。我が国としましては諸般の様々な事情をふまえて検討した結果,総合的な判断として大臣政務官を竹島の日の式典に出席させるということ,昨年に続きまして出席させるということを判断した次第であります。我が国としましても,竹島に関して我が国の立場を発信するということ,これは政府として当然の責務であると思っています。

南ア・アパルトヘイトに言及する曾野綾子氏のコラム

【朝日新聞 村松記者】作家の曾野綾子さんが新聞に掲載したコラムについて,南アフリカ大使館が人種差別的であるといったような抗議文を発出しているんですけれども,それについて外務省として何らかの説明等,大使館に対して対応を検討されていますか。

【岸田外務大臣】ご指摘の点については,私(大臣)自身もう一度確認をさせてください。その上でコメントするかしないかも含めて判断いたします。

第3回核兵器の人道的影響に関する会議で発出された「オーストリアの誓約」への対応ぶり

【中国新聞 藤村記者】オーストリアが賛同を求めている核兵器の禁止に関する文書なんですけれども,被爆地から是非賛同してほしいという声が上がっておりますが,どういうように受け止めていらっしゃいますか。

【岸田外務大臣】今年は5年に一度のNPT運用検討会議が開催されます。それに対しまして各国がこの会議を成功させるために様々な取り組みを行っています。ご指摘のオーストリアの文書についてもその1つであると認識をしています。
 そして,我が国はNPDIの枠組みを通じて,このNPT運用検討会議に貢献するべく努力を続けています。是非,こうした各国の取り組みが行われ,NPT運用検討会議が成功するようにオーストリアをはじめ各国とも我が国としまして引き続き協力をしていきたいと考えています。

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