記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成27年2月1日(日曜日)8時35分 於:本省中央玄関ホール)

シリアにおける邦人拘束事案

【岸田外務大臣】まず,冒頭発言させていただきます。後藤健二さんが殺害されたとみられる動画がインターネット上に配信されました。誠に痛恨の極みです。このような行為は到底人間が行うとは思えない残酷な行為です。何の罪もない人々を拘束し,かけがえのない命をもてあそび,挙げ句の果てにそれを奪う,これは決して許されるものではなく,心から憤りを覚えます。政府は,人命第一を方針の下,あらゆるルートを通じて邦人が解放されるよう懸命に取り組んできました。ヨルダンを始め,多くの国から連帯と支援をいただきました。このことについては心から感謝を申し上げたいと思っております。我々はテロに屈することなく国際社会と連携して,中東地域の平和と安定のために日本としての責任を引き続きしっかりと果たしてまいります。そして,全在外公館に対し,今般の事態を踏まえて改めて在留邦人の安全確保に万全を期するよう指示を出します。外務省は2011年4月からシリア全土に対し,退避勧告を発出しております。国民のみなさまにおかれましては,シリアを始め,退避勧告が出ている周辺地域への渡航は厳に控えていただきますよう改めて申し上げます。

【記者】今回ネット上に公開された,後藤健二さんを殺害したと見られる動画ですが,政府としては,殺害されたのは後藤健二さんご本人だと見ているのでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,映像につきましては,現時点において,殺害を否定する根拠は見いだせない次第ですが,引き続きまして,画像の分析,確認は続けています。

【記者】後藤健二さんが殺害されたという知らせは,映像が出る前に政府は把握していたのでしょうか。

【岸田外務大臣】映像については5時頃,外務省として確認し,そして,私は直ちに秘書官を通じて連絡を受けました。

【記者】それ以前に情報として,現地対策本部からの連絡とか,様々な情報が飛び交っていて確認すると大臣は仰っていましたが,その情報の中に殺害されたという情報はあったのでしょうか。

【岸田外務大臣】我々は動画を確認し,連絡を受けました。

【記者】日本政府及び外務省として,その間の対応,交渉,働きかけ等は万全,十分なものだったとお考えですか。

【岸田外務大臣】このような事態に至ったことについては誠に遺憾に感じています。政府としましては,人命第一の方針で,ヨルダンを始め各国と連携しながら,あらゆるルート,チャンネルを駆使して,全力で努力をしてきました。今後とも,テロに屈することなく,国際社会そして中東地域の平和と安定に努力していきたいと考えています。

【記者】こうした事態を受けて,各国との電話会談等を含め,連携についてどういった予定があるのでしょうか。

【岸田外務大臣】今後は,今回の件につきましては,ヨルダンを始め,多くの国々から連帯を示していただき,そして,支援をいただきました。このことについては,心から感謝していますし,こうした我が国の思いは,また各国に伝えていかなければならないと思っています。具体的どの国と何時に何をするかといったところまで,まだ至っておりませんが,是非,こうした我が国の思いは伝えていきたいと思います。

【記者】映像の中では,「イスラム国」側とみられる人物が,これから日本人・日本を標的にするという趣旨の発言もしておりますが,このことについてどのようにお考えですか。

【岸田外務大臣】全在外公館を通じまして,邦人の安全確保については万全を期するよう在外公館に対して指示を出したところですが,是非今回の事態を受けて,万全を期すようしっかりと徹底したいと思います。

【記者】今回の件ですね,公開された画像の中に安倍総理の決断によってこういう事態を引き起こされたと,安倍総理を名指しする表現が含まれていることについてはどのようにお考えですか。

【岸田外務大臣】我が国がこの中東の平和と安定のために進めてきた中東政策は,国際社会,特に中東地域の国々から高く支持をされてきました。そして,この総理が中東訪問した際に発表した中東への支援策も一千万人以上の避難民の命をつなぐために我が国は支援をすると表明した次第です。こうした我が国の取り組みについては,しっかりとこれからも進めていかなければならないと思っています。リスクを恐れることによって,こうした方針を変えるということになったならば,これこそテロリストの論理に,はまってしまうことになるのではないかとこのように考えております。

【記者】高く評価されている一方で,安倍総理が中東で演説したタイミングでこのような事件が起こったことをどのようにお考えですか。

【岸田外務大臣】我が国の政策は評価されていますし,その我が国の取り組みを示す上で,総理の訪問やこの演説が行われた訳です。こうした我が国の取り組みについては,これからも変えてはならないと,しっかりとこれからも中東の平和や安定に貢献していかなければならない,このように改めて思っています。

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