記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年12月16日(火曜日)10時32分 於:官邸エントランスホール)
衆議院議員選挙
【TBS 久保田記者】まずは選挙後,初(会見)ですので選挙戦を振り返られて感想等お願いします。
【岸田外務大臣】今回の第47回衆議院選挙,選挙に至るまでの過程,大変急な展開の中で選挙戦に突入した,こういったことでありましたが,選挙において,経済をはじめ,この2年間の政府あるいは与党の取り組みを問われた選挙になったと受け止めています。そうした訴えを行い,全国回らせて頂く中においては大きな反応も頂いたと感じております。
そして結果,大きな議席を与党として頂いたことについては,多くの有権者の皆様方に訴えた事柄が前向きに捉えられたものだと受け止めています。
普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画
【TBS 久保田記者】一方で沖縄では自民党完敗だったわけですけれども,辺野古移設反対の民意の表れともとれると思いますが,今後の基地への取り組みについては,どのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】沖縄の選挙区における結果においては,大変残念であります。ただ,選挙の結果についてはこれは厳粛に受け止めなくてはならないと思っています。
しかし,政府としましては,普天間飛行場の危険を除去する,1日も早く除去しなければならない,こういった認識については地元の皆様方と認識を共有していると考えております。そして現実において,普天間飛行場の危険を1日も早く除去するためには,辺野古への移設が唯一の道であるという従来の認識については変わりは無いと考えております。今後とも沖縄の負担軽減について丁寧に,そしてしっかり説明を行いながら進めて行かなければならないと考えています。
日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直し
【TBS 久保田記者】選挙があったわけですけれども,年内に向けて外交課題もいくつかありました。確認させていただきたいのですが,まずは日米ガイドラインについてですけれども,年内に見直しを目指していたと思うのですが,これは正式に先送りと考えて良いのでしょうか。
【岸田外務大臣】いえ,ガイドラインの見直しについて先送りしたという事実は全くありません。現在も作業は進んでいると認識をしています。
日中韓外相会談
【TBS 久保田記者】日中韓の外相会談も,韓国を調整役として年内の開催を目指していたと思うのですが,その後の調整の状況いかがでしょうか。
【岸田外務大臣】日中韓の外相会談については,現状まだ何も決まっていないと聞いております。我が国としましては,従来から日中韓の枠組みの重要性,あるいは対話の重要性を指摘する立場からこの日中韓の枠組み,日中韓の外相会談については重視をしてきました。是非引き続き,前向きな対応を期待したいと思っております。
拉致問題
【TBS 久保田記者】拉致問題についてですけれども,北朝鮮からの回答は常識的には年内,と官房長官も言っておられましたけれども,その後の調整状況いかがでしょうか。
【岸田外務大臣】北朝鮮に対しましては,引き続き調査について迅速に,そして正直にしっかりと通報するよう求めてきております。現状決まったことは何もありませんが,引き続きこうした通報についてはしっかり求めていきたいと考えております。引き続き我が国政府としましては,拉致問題を最重要課題として取り組んでいきたいと考えます。
【TBS 久保田記者】では,今質問した3つにおきまして,年内はありえるということでしょうか。
【岸田外務大臣】引き続き,働きかけなり作業は進んでいると考えています。
シドニー人質立てこもり事件
【TBS 久保田記者】シドニーで立てこもりの事件が起きました。邦人が巻き込まれたという情報はないですが,それについて外務省の立場,受け止め等お願いします。
【岸田外務大臣】まず,事件自体につきましては無垢の人々を巻き込む大変許しがたい行為であると考えております。そして,断固として非難しなければならないと考えます。そして犠牲になられた方々には深い哀悼の意を表し申し上げますし,また負傷された方々の1日も早い回復をお祈りしたいと考えております。オーストラリア政府,この平和で寛大な社会に向けて努力をされているわけですが,こうしたオーストラリアとの連帯を強化していきたいと我が国の政府としては考えております。
そして,おっしゃるように人質全員の身元確認は終了したと聞いておりますが,人質に日本人は含まれていないこと,これは確認しております。
核兵器の人道的影響に関する会議における佐野軍縮会議代表部大使の発言
【中国新聞 藤村記者】先週あった,ウイーンでの核兵器の人道的影響に関する会議なんですけれども,この会議の中の議論で核兵器の爆発が「対応できないほど悲惨な影響を招く」という意見に対して,政府代表の佐野大使が「少し悲観的すぎる」という発言をしました。これは政府と同一の見解なのかということと,これについて核被爆国がこういう発言をしたことで,核軍縮に水を差すとか,核被害を過小評価しているという被爆者からの反発もあるのですけれども,この受け止めについてもお願いします。
【岸田外務大臣】ご指摘の点につきましては,まず我が国の立場,我が国は人類に多大な惨禍をもたらしうる核兵器には将来二度と使用されることがあってはならない,これが我が国の考えであり,立場であります。ご指摘のこの発言につきましては,結果的に誤解が生じたことについて遺憾に思っております。そして,私(大臣)から佐野大使に対して,発言には万全を期するよう注意を行いました。
我が国としては,今後も核兵器のない世界に向けて引き続き現実的かつ実践的な取り組み,積極的に進めていきたいと考えております。