記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年12月9日(火曜日)8時38分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)国連エボラ緊急対応ミッションへの人員派遣
【岸田外務大臣】本日の閣議において,エボラ出血熱感染拡大を防止するため,世界保健機関(WHO)及び国連世界食糧計画(WFP)に対し,個人防護具の輸送及び配布,感染予防に関する技術支援等を内容とする約8.2億円の緊急無償を決定いたしました。
また,今般,医師免許を有する外務省小沼士郎企画官(前国際保健政策室長)を国連エボラ緊急対応ミッション(UNMEER)に派遣することといたしました。さらに,WHOミッションにも11人目となる日本人医療専門家1名を近日中に派遣する予定にしております。
(2)第3回核兵器の人道的影響に関する会議
【岸田外務大臣】昨日(8日)からウィーンで行われている核兵器の人道的影響に関する会議については,我が国は,これまで広島,長崎の惨禍を国境と世代を超えて継承することを重視し,そのための努力を積み重ねてきました。そのような立場から,今次会議に米国,英国という核兵器国も参加し,核兵器の非人道的影響について,活発な議論が行われていることを歓迎します。
今次会議におきましては,私(大臣)から指示を出させて頂き,これまでより出席レベルを上げ,佐野軍縮代表部大使を団長とし,専門家や被爆者の方々が参加するオールジャパンの体制で会議に貢献しております。政府としては,国際社会が核兵器の非人道的影響についての認識を共有し,そして「核兵器のない世界」に向けて,現実的かつ実践的な取組を進めることの重要性を訴えていく考えでおります。
衆議院総選挙
【フジテレビ 藤田記者】選挙の話ですけれども,単独自民党で300議席を超えるのではないかという見立ても出ているのですけれども,派閥の長としてそれについてどうお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】全体の議席については,やはり個々の選挙区なり,比例投票の積み重ねの結果だと認識をしております。やはり一つ一つの選挙区等における対応が重要だと考えています。実際,各地を歩いていますと選挙区事情は様々であり,まだ大変激しい選挙を行っている選挙区も沢山あると認識をしています。投票日まで,まだ日にちもあります。また,投票行動をまだ決めていない国民の方々も大勢おられると認識をしております。最期まで気を緩めることは出来ないと考えていますし,それぞれの選挙区においてそれぞれの関係者,引き続きしっかり奮闘していくことが求められていくと認識をしています。
日露局長協議
【フジテレビ 藤田記者】日露局長協議が昨日,外務省の方で行われたのですけれども,その中でプーチン大統領の訪日についても話が及んだということですが大統領の訪日の前に,まずは外務大臣の訪露ということもあるのではないかという,外務大臣のお考えもあるのではないかと思うのですが,一方でロシアのメディアで2月に次官級の協議が行われるという報道も出ておりますけれども,今後の日露の展開,受け入れの進展を教えてください。
【岸田外務大臣】3つご質問を頂きましたが,まず後ろの方から,日露次官級協議,これにつきましては2月を目処に調整していく方向について一致をいたしました。具体的な日程は今後外交ルートで調整していくことになります。
そして,日露外相会談についてですが,外相会談について言及はありました。しかしながら,具体的な日程については議論はしていないと報告を受けております。そして,プーチン大統領の訪日ですが,これについても議論が行われたと報告を受けていますが,具体的な日程については議論はしていないとのことでありました。
ですから,外相訪露,そして大統領訪日については今後準備状況等,様々な要素を勘案し,総合的に判断していくことになると認識をしています。
日朝関係
【フジテレビ 藤田記者】明日から伊原アジア大洋州局長がモンゴルに訪問して,向こうで会談するかと思うのですけれども,モンゴルの外務省と色々協議をするのですけれども,その中で安全保障問題,地域問題について話しますが,そこには北朝鮮問題等も入ってくると思うのですけれども,官房長官の方が年内に北朝鮮側から回答が来るのが常識的だということもお話されていたのですけれども,今のところはあまり進展は見られませんが,そういったところは何か進展,お考え等はありますか。
【岸田外務大臣】北朝鮮との関係につきましては,先般,伊原局長を代表とする代表団を平壌に送り,我が国の立場をしっかり伝え,そして調査について正直に,そして速やかに報告をすることを求めました。そしてその後,大使館ルート等を通じましてこういった考え方を伝えながら意思疎通を図っていく,こういった状況です。引き続きまして我が国の立場をしっかり伝え,そして北朝鮮の前向きな対応をしっかり求めていきたいと考えています。
特定秘密保護法
【朝日新聞 松井記者】明日,特定秘密保護法が施行されます。それに関連してですが,外務省の所管する範囲内で特定秘密の件数や取扱者の数を把握していたら教えて頂けますでしょうか。
【岸田外務大臣】外務省としましては,この法律の施行後,速やかに特定秘密の指定を行うべく今作業を行っている最中です。特定秘密に該当する情報を指定するための作業を行っているところであり,ご質問の件数等,数字につきましては作業の最中ですので,まだ現状において確定したと報告は受けておりません。引き続き,施行後速やかに指定が行えるよう作業を急ぎたいと考えています。
【朝日新聞 松井記者】関連で,内部通報の窓口の整理が鍵となってくると思いますがその整備状況と,国民の理解は得られているとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】様々な準備作業を進めています。ご指摘の点についても,準備を進めているところです。国民の理解については,これまでも法律について国会の審議等を通じて丁寧な説明を続けてきたところですが,引き続き,こうした作業を進めながら様々な場を通じて,この法律の施行あるいは,この準備の状況について丁寧な説明を続けなければならないとは認識をしています。
日中韓外相会談
【NHK 小嶋記者】日中韓の外相会談について韓国側が調整していると思いますが,現状韓国から何か伝えられてきてはいるのでしょうか。
【岸田外務大臣】現状まだ具体的な通報なり提案なりは受けてはおりません。我が国としましては,従来からこの対話を重視する立場から日中韓の外相会議,首脳会議,こうした会議を重視してきたところです。11月のASEAN+3首脳会議において,安倍総理の方から日中韓外相会議の早期の開催,そしてそれを首脳会議につなげていきたい,こういった発言をしているところですし,また,11月,私(大臣)自身,日中外相会談の場におきまして王毅外交部長に対しまして日中韓外相会議の早期開催を提案したところです。是非こうした取り組み,現状では具体的な日程は何も決まっていませんが,前向きに進むことを強く期待したいと思っています。
第3回核兵器の人道的影響に関する会議
【中国新聞 坂田記者】ウイーンの核兵器の人道会議ですが,アメリカが参加したということになっていますが,核軍縮についての議論には加わることに消極的だという意見があります。それについてはどのように受け止めておられますか。
【岸田外務大臣】会議については,まだ引き続き議論が行われていると認識をしております。そして今回,米国,英国,核保有国が参加したということは,核軍縮を進める上で,やはり核保有国の理解・協力,これは欠かせませんので,この参加ということについては前進であると受け止めています。引き続き,議論の行方をしっかり注視していきたいと考えています。
沖縄県新知事の就任
【琉球新報 池田記者】9日で沖縄県の仲井眞知事が退任されて,10日から新しい扇長知事になるのですけれども,負担軽減策など今後進めていくと思いますが沖縄県側に新しい県知事への要望などをお聞かせ頂ければと思います。
【岸田外務大臣】米軍再編,そして沖縄の負担軽減につきましては,政府としましてこれまで通りの方針でしっかり取り組んでいきたいと考えています。その間,地元の皆様の理解は重要であり,今後とも丁寧な説明,意思疎通を図っていくこと,これは重要であると認識をしております。こうした基本的な考え方を大事にしながら取り組んでいきたいと考えています。具体的なことについては,今選挙中ということもあり,何か決まったということは聞いておりませんが,今申し上げました基本的な方針は大事にしていきたいと考えています。
日露局長協議
【共同通信 久下記者】昨日のロシアとの協議で追加制裁の話というのはあったのでしょうか。
【岸田外務大臣】追加制裁,追加措置の話については先ほどNSCの4大臣会合におきましてウクライナ問題を取り上げ,追加措置も含めて議論をいたしました。これについては,後ほど官房長官会見で内容を明らかにすることになっております。それを聞いて頂ければと存じます。