記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年11月18日(火曜日)9時24分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-新たな南極海捕鯨調査計画案
【岸田外務大臣】西川農水大臣からも発表があると思いますが,本日閣議後,「南極海における新たな鯨類調査計画案」を総理に報告し,了承を得ました。計画案の内容は,本日,農水省事務方より説明があります。
この計画は,3月の国際司法裁判所(ICJ)の判決において示された基準を考慮して作成いたしました。本日,この新計画を国際捕鯨委員会(IWC)科学委員会に提出いたしますが,今後も,科学委員会の議論等を踏まえ,必要が認められた場合には修正することになります。また,今後は関係国に対し,新計画の説明を行い,理解を求めていきたいと考えます。
衆議院の解散
【フジテレビ 藤田記者】今日にも衆議院が解散されそうなんですけれども,外交を司る大臣として,この解散総選挙の大義は何かと思われますか。
【岸田外務大臣】解散については,先週来,解散風が強く吹いていると言われていますが,最終的に判断されるのは総理自身ですので総理からの正式な発言を待たなければならないと思っています。閣僚の立場からですね,その前に何か申し上げるのは控えたいと存じます。
【フジテレビ 藤田記者】派閥の長としての立場としても,それに対して何か今後のご自分の活動の方向性など教えていただけますか。
【岸田外務大臣】我々,衆議院議員はいつ解散があってもおかしくないわけですので常在戦場だと常々言われてきています。もし選挙が行われたならば,派閥の同志の間でもしっかり協力をしながら戦いに備えていかなければなりません。解散の動きについてはしっかり注視していきたいと思います。
小笠原諸島周辺海域等における中国サンゴ船問題
【フジテレビ 藤田記者】昨日,官房長官の方から赤サンゴの密漁船が大きく減ったというお話があったんですけれども,200隻前後から58隻になったということですが,これは中国側の取り締まりの強化が功を奏したということなのでしょうか。
【岸田外務大臣】中国のサンゴ船の違法操業につきましては,大変遺憾であると思っておりますし,中国側に対してこの取り締まり等の協力を求めてきました。先日の日中外相会談においても取り上げた次第ですが,中国側からは取り締まり等を強化している旨の説明を受けています。我が国としては,結果が重要であると,具体的な成果が大切であるということを中国側に強く申し入れています。
サンゴ船の数につきましては,ご指摘のように16日の数字で58隻という数字を承知しています。こうした状況にありますが,こうした船の数も含めて動向については引き続き注視していきたいと思っています。
【フジテレビ 藤田記者】外相会談・首脳会談が功を奏したのかもしれませんけれども,それ以前は逆に野放しにされていたということになるのでしょうか。トップ・中央側が取り締まりを強化したことによってこれだけ減るということであれば,今までは一体どういうことだったのかと思うのですが。
【岸田外務大臣】中国側においても,これまでもこの問題の重大さについては認識をする,そういった発言がありました。そして,我が国として具体的な成果が出るような対応を求めてきました。これが今後,具体的な成果につながるかどうか,引き続きしっかり注視していかなければならないと思います。
海上連絡メカニズム
【フジテレビ 藤田記者】日中海上連絡メカニズムなんですけれども,実務者による協議は1日も早く開催したいと大臣の方からもおっしゃられていたのですけれども,そういった最初の接触というか連絡はいつ頃始まって運営に活かされているのでしょうか。
【岸田外務大臣】海上連絡メカニズムについては,先日の日中高級事務レベル海洋協議においてスタートさせることが確認されていました。それに加えて,日中首脳会談においても事務レベルでしっかりと話を進める,こういったことが確認をされました。それに基づいて今作業が行われています。不測の事態を防止するという意味からは,こうしたメカニズムは1日も早い運用開始が求められると考えます。私の方からも事務的な作業を急ぐように指示を出しています。いつからということは,まだ確定はしていませんが,1日も早い運用開始が求められると考えています。
【フジテレビ 藤田記者】安全保障の問題でも非常に危険な問題だと思うのですけれども,年内ですとかそういったスパンとしてはどのようにお考えですか。
【岸田外務大臣】重要なメカニズムであるということは当然です。まだ具体的な日時については決まっておりませんが,1日も早い運用開始が求められます。
日中韓外相会談
【フジテレビ 藤田記者】日中韓外相会談なんですけれども,こちらも韓国側からは年内にも開催が必要だという話が出たと思うのですけれども,その目処,それから議題に関しては話が煮詰まっている頃なのでしょうか。
【岸田外務大臣】日中韓外相会談については,日中外相会談において私(大臣)の方から王毅外交部長に提案をいたしました。そして先日のASEAN+3の会議におきましても,安倍総理から開催の提案をし,そして韓国・朴槿恵大統領からも前向きな発言があったと承知をしております。そして,韓国側からは,今議長国が韓国ですので,韓国からは年内開催に向けて努力をしたい,そういった発言があったことも承知をしています。是非,議長国の韓国を中心に開催に向けて前向きな努力が行われることを期待したいと思います。我が国としましては,従来から対話は重要であるという観点から日中韓首脳会談,そして外相会談の重要性は指摘してきました。そういった立場からは,こうした前向きな努力が行われることは歓迎したいと思っています。
【フジテレビ 藤田記者】今のところ具体的な日程というのはまだ決まっていないのでしょうか。
【岸田外務大臣】そうですね。今申し上げたところまでです。
【フジテレビ 藤田記者】それは日本の国内事情というか解散選挙,そういったものが影響してくるということなのでしょうか。
【岸田外務大臣】まだ解散については正式に公にはなっておりません。外交ルートでこの会議の重要性を認識しながら,努力をしているところです。
日韓局長級協議
【読売新聞 仲川記者】日韓間の懸案について話し合う日韓外務省局長級協議なんですけれども,調整の状況はどうなっておりますでしょうか。
【岸田外務大臣】局長級協議につきましては,先日,安倍総理と朴槿恵大統領との会話の中においても局長級協議を進めるということにおいて一致をしたと承知をしています。局長級協議は進めていくべきであると考えています。具体的な日時についてはまだ確定したとは聞いておりません。
【読売新聞 仲川記者】月内を目処にという感じでしょうか。
【岸田外務大臣】開催をする方向で調整は行われていると承知をしています。まだ具体的な日時については報告を受けておりません。
沖縄県知事選
【琉球新報 問山記者】16日に沖縄県知事選が行われまして,辺野古移設に反対する翁長氏が初当選を果たしました。今回この選挙結果を受けてですね,沖縄関係閣僚が集まったりして選挙分析や今後の対応について話し合われたりということはあったのでしょうか。
【岸田外務大臣】沖縄での選挙については,政府としてはその結果しっかり受け止めさせていただいておりますが,今おっしゃるようにその選挙を受けて何か閣僚間で集まったというようなことは今のところありません。今後については,もしそういった動きがあるとすれば,官邸中心にそういったことを検討するのではないかと想像いたしますが,今のところ何も聞いておりません。
【琉球新報 問山記者】翁長氏なんですが,上京して政府に辺野古移設について反対を訴えたいという意向はあるんですけれども,それについて大臣受け止めはいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】政府としましては,沖縄の負担軽減そして普天間飛行場の危険,1日も早い危険の除去,この方針については全く変わっておりません。新しい知事さんのお考えについては,今後適切な形でお話を伺うことになるのではないかと想像いたしますが,具体的なものは何も聞いておりません。
日韓局長級協議
【共同通信 蒔田記者】日韓局長級会議のところで確認なんですけれども,月内に開催する方向なのでしょうか。
【岸田外務大臣】具体的な日時については決まっていない。開催については日韓で前向きに検討するものであると考えていますが,具体的な日時は決まっていない,よって月内云々も決まっていない,そういうことです。
慰安婦問題(米国の教科書出版社に是正要請との報道)
【朝日新聞 松井記者】慰安婦問題でアメリカ・ロサンゼルスで使われている教科書についてアメリカの出版社にアメリカの大使館から働きかけを行っているとの報道がなされていますが,現状はいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】申し入れは行ったと聞いております。
【朝日新聞 松井記者】いつ。
【岸田外務大臣】詳細は今手元にありませんが。