記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年11月10日(月曜日)18時56分 於:飯倉公館エントランス)
冒頭
【岸田外務大臣】私(大臣)は就任以来,近隣諸国との関係強化を外交の三本柱の一つに掲げ,先般の外務大臣留任に当たっても,近隣諸国との関係改善を私として特に重視する課題に位置づけておりました。そうした観点からも今般北京APECの機会に,正式な日中首脳会談,そして外相会談が実現できたことを,中国との関係改善に向けた重要な一歩であり,大きな成果と受け止めております。世界第2位と第3位の経済大国が対話を積み重ね,関係を安定化させることは,日中両国のみならず,地域,国際社会の利益だと考えます。北京でケリー長官をはじめ,各国外相と多くの会談を行いましたが,各国とも日中関係改善に大きな期待を抱いており,今回の会談を前向きの動きとして評価していただきました。首脳会談はもちろんスタートであって,ゴールではありません。一回の会談で全ての問題は解決いたしません。しかし,両国首脳が握手をして,会談を行うことは,関係改善に向けた重要なシグナルになると考えます。今回の首脳,外相会談の成果を踏まえ,日中間の様々なレベルで対話と協力を積み重ね,安定した日中関係を築いていきたいと思います。
以上です。
質疑応答
【TBS 法亢記者】これがスタートだと言われましたが,次のステップをどのように位置づけられていますか。また,本日首脳会談の映像を見る限り,習近平国家主席かなり厳しい表情であったように思え,他の首脳会談と比べて違和感を感じましたが,そこについて大臣はどのようにお考えですか。
【岸田外務大臣】まず,今回の首脳会談,外相会談をスタートとして様々な分野で対話・協力を積み重ねていきたいと思っています。例えば,有識者による日中友好21世紀委員会が年内に開催されるということですでに一致をしていたと記憶しています。こうした意思疎通の場等を着実に積み重ねていくことが重要であると思っています。そして,表情が硬いというご指摘がありました。表情については,自分(大臣)はどういう評価をしたらいいのか,いろいろな評価があるかもしれませんが,いずれにせよ,カメラの前で日中両国の首脳が握手をする,この姿を見ていただく,世界中から見ていただく,このことが両国国民,地域,国際社会全体に対する大きなシグナルになるのではないか,このように思いますし,また何よりも,この会談の中身が重要です。戦略的互恵関係の原点に基づいてしっかりと協力していこうという点で両国の首脳が一致した,これは大変重要なことではないかと思います。
【TBS 法亢記者】中身についてですが,海上連絡メカニズムについては,双方とも割と前向きな言及があったと聞きますが,実際に運用開始というのはいつ頃を目処にしたいとお考えですか。
【岸田外務大臣】海上連絡メカニズムの開始については両国で一致をしています。したがって,事務レベルでしっかり議論をすることが首脳会談でも確認をされていますので,早急に事務レベルで詰めていかなければなりません。不測の事態を防ぐためにも大変重要なメカニズムだと思いますので,一日も早い運用開始が重要だと思いますので,事務方にもしっかり急ぐように指示を出していくべきだと思っています。