記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年7月11日(金曜日)10時23分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-岸田大臣のキルギス・ウクライナ訪問
【岸田外務大臣】諸般の事情が許せば,7月15日(火曜日)から18日(金曜日)の日程でキルギス及びウクライナを訪問いたします。
キルギスにおいては,本年で10周年を迎える「中央アジア+日本」対話の第5回外相会合に出席し,中央アジアの安定と発展にとって重要な地域協力の推進について協議を行う予定にしております。また,各国との二国間会談も行いたいと考えます。
ウクライナにおいては,G7の一員としてウクライナ危機の早期解決に向けて日本が積極的に関与していく,こうした姿勢を示したいと考えます。そのため,新政権に対して必要な政治・経済改革の実施,そして,ロシア及び分離派との対話を働きかけるとともに,国際社会と協調しつつ必要な支援を行う姿勢を示したいと考えます。
キルギス・ウクライナ訪問
【テレビ朝日 藤川記者】今,発表がありました大臣の出張に関してお尋ねしたいのですが,ウクライナを巡っては4者協議などもありましたけれども,このタイミングでウクライナを訪問される狙いと特に日本として発信したいメッセージについて教えてください。
【岸田外務大臣】まず,ウクライナを巡っては,クリミアの編入ですとか,ウクライナ東部における親ロ派武装勢力の動きはウクライナの主権ですとか領土の一体性を侵害するものであり,我が国としては,こうした力を背景とする現状変更の試み,これは断じて許すことができない,こういった姿勢はこれまでも再三強調してきたところです。そして,こうした姿勢の下にG7をはじめとする関係国と連携を図りながら,一方でロシアとの意思疎通も図りながらウクライナの問題を外交的に平和的に解決していく,こういった努力を続けて行きたいと考えています。
今回のウクライナ訪問は,こうした我が国の姿勢を示す機会になると考えております。
是非,ウクライナに対しましては,政治・経済改革を行うということを働きかける,そして,ロシア,あるいは分離派との対話,こうしたものをしっかりと働きかける,こういった機会にしたいと考えています。
日露関係
【テレビ朝日 藤川記者】今,お話しのあったロシアとの関係についてですけれども,日本とロシアの関係につきましては,大臣ご自身の外相会談,ロシア訪問が春から延期になった形が続いておりますけれども,実現に向けて現段階では,どのようになっているかということ,見通しについてお願いします。
【岸田外務大臣】ロシアについては,ウクライナの問題に関しましても,是非,平和的に外交的に解決することが重要だと考えておりますので,ロシアとは,そういった点でも意思疎通を図ることを続けていかなければならないと思っています。そして,更にアジア太平洋地域の安全保障環境を考えますと,日露関係の重要性,これは変わらないと考えています。
是非,引き続き,政治的な対話は,ロシアとの間で続けていきたいと考えております。我が国の国益にかなう日露関係全体を進めていく考えであります。そして,私(大臣)の訪露については,現時点では,何か具体的な日程が決まったということはありません。
【テレビ朝日 藤川記者】秋のプーチン大統領来日ということについては,変更はないと伺っていますが,それまでに外相会談を実現したいというお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】プーチン大統領の訪日につては,2月に日露首脳会談が行われ,その時点で日露間で一致をして合意をしているわけですが,現時点では何も日程は決まっていません。そして,その前提としての外務大臣の訪露でございますが,これについては,昨年の段階で春とされていたものを日露間で合意の上延期をする,先延ばしをする,こういった取り扱いになっていたと思います。それ以上の具体的な日程調整等は何も行われておりません。
生存者リスト報道
【テレビ朝日 藤川記者】日朝協議に関してなのですが,一部報道で北朝鮮側から生存者のリストというものが示されたという報道が続いていますが,それについての大臣のお考え,事実関係について改めてお聞かせください。
【岸田外務大臣】そういった報道がなされている,それも何度かなされているということについては承知をしています,しかしながらそういった事実は全くありません。よってそうした報道,何に基づいた報道なのか理解に苦しむところです。
政府としましても,昨日,文書でこうした報道に対しては抗議を行ったということです。
在韓国日本大使館主催自衛隊記念日レセプション
【産経新聞 山本記者】ソウルのロッテホテルで開催予定だった自衛隊の創設記念日のレセプションが中止になりました。なかなか反日感情が強まっているような気がするのですが,この事実関係と大臣のご見解をお願いします。
【岸田外務大臣】ご指摘的の点ですが11日予定していました,在韓国大使館主催の自衛隊記念日レセプションを巡りまして,10日夜,会場となる予定であったホテル側から会場を提供することができなくなったとして一方的にキャンセルの連絡がありました。
いかなる理由があるにせよ,ホテル側が開催の前日になってこのような措置をとったことにつきましたは極めて遺憾であると考えております。他方,レセプションは会場を変更し大使公邸で予定通り開催される予定になっております。
【産経新聞 山本記者】ホテルに開催について反対する声が寄せられて,それでホテルが中止したのではないかと言われていますが,理由については大臣何か聞いてますでしょうか。
【岸田外務大臣】そういったキャンセルの連絡があったことは承知しております,理由については報道等でいろいろ言われておりますが,その背景等についてもよく確認をしたいと思っています。
【テレビ朝日 藤川記者】韓国側に対して,何らかの問い合わせですとか抗議ですとか,何か申し入れをされたのでしょうか。
【岸田外務大臣】まずホテル側に対しましては,我が方大使館を通じまして強く抗議をいたしました。
【テレビ朝日 藤川記者】政府に対しては,何かお話されたのでしょうか。
【岸田外務大臣】一義的には,我が方大使館とホテルとの間の問題であると認識をしております。
外務省職員の東京都への派遣
【NHK 渡辺記者】外務省の職員を東京都に派遣するという話がでていますけれども,オリンピックとかそういうことがあって外国とのやり取りも増えてくるのだろうと,そういう趣旨だと思うのですが,その狙いを改めてお話し頂けますでしょうか,事実関係も含めてお願いします。
【岸田外務大臣】地方自治体にとって,こうした海外の地方自治体をはじめとする関係者との交流を行うこと,これは基本的に大変重要なことであると認識をしています。
そして,今ご指摘の点については,東京都,地方自治体の人事の話ですので私(大臣)が具体的にその人事について何か申し上げるのは控えなければならないとは思いますが,東京都においては,2020年東京オリンピック・パラリンピックが予定をされています,東京都にとって必要とされる有能な人事について,東京都と意思疎通を図っている,協議をしている,これは事実であります。現状は,そういう状況にあります。