記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年7月4日(金曜日)11時13分 於:本省会見室)

冒頭発言-外務省幹部人事

【岸田外務大臣】先ほどの閣議において,外務省幹部人事等が承認,決定されました。各人の能力とこれまでの経験に鑑み,十分に能力を発揮できるポストを選定し,適材適所の観点から異動を行った次第です。
 安倍内閣では,女性の幹部登用を図ることを重要な方針の1つとしておりますが,今回の人事においては,初の女性経済局長として齋木国際文化交流審議官を起用いたしました。また,初代のアイスランド大使に,志野在イタリア大使館公使を抜擢いたしました。これで,女性大使は4人になります。
 本省幹部の異動は次のとおりとなります。越川官房長の後任には上月欧州局長。上月欧州局長の後任には林内閣官房内閣審議官。片上経済局長の後任には齋木国際文化交流審議官。石井国際法局長の後任には秋葉北米局審議官。そして,松富国際情報統括官の後任には岡中東アフリカ局審議官。越川官房長はスペイン国駐箚特命全権大使。そして,松富国際情報統括官はイスラエル国駐箚特命全権大使となります。
 外務省幹部人事異動については,私(大臣)からは,以上であります。

外務省幹部人事

【共同通信 市ノ瀬記者】今の人事ですけれども,安倍内閣の方針で女性登用というお話もあったのですけれども,局長級以上は人事局に一元化ということではあると思うのですけれども,大臣も本日決定された閣議の一員でありますし,外務省としての方針もあると思いますので,まず初の女性経済局長,アイスランド大使で女性大使が4人になったということですが,改めて,このお二人を起用された理由,女性だというだけではないと思いますので,その辺を含めて大臣のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】安倍内閣としましては,女性の輝く世界を作る,こうした方針を国際的にも国の内外に向けて発信をし続けています。
 女性が活躍できる,こうした社会・環境を作るべく,様々な分野において努力をしていかなければならない,このように考えております。この外務省においても,女性の皆様方それぞれの能力をしっかりと発揮していただけるように,これまでの経験等を鑑みながら適材適所の人事を行わなければならない。こういった方針で人事に望んだ次第であります。
 人事ですので様々な要素が絡みます。いろいろな調整も必要でありますが,今,申し上げましたように基本方針の基に臨み,様々な調整の結果,お示ししたような人事になった次第です。
 現状において,外務省として大変良い体制を組むことができたと認識をしております。

日朝関係

【NHK 渡辺記者】日朝の関係でお伺いいたします。北朝鮮側の特別調査委員会の設置につきましては,もう通報はあったということでよろしいでしょうか。

【岸田外務大臣】特別調査委員会の設置について,日朝間での合意に基づいて我が国としましては,我が国が北朝鮮に対して行っている措置の一部を解除するということで,議論をし方針を決定いたしました。
 そして,おそらく,本日後ほど官房長官が記者会見で,そういった点,この措置三点について解除を行う,こういったことを発表することになると存じます。
 北朝鮮側においても,本日中に特別調査委員会立ち上げ等を明らかにするものと考えます。
 本日中に,日本と北朝鮮双方において対応がスタートすることになると認識をしております。

集団的自衛権

【フリーランス 上出氏】集団的自衛権の関連で質問させてください。
 7月1日の決定から3日たったのですが,その間,メディア・世論について,全国紙の半分は反対していて,北海道から沖縄までブロック紙や有力地方紙の多くが反対の見解・論調だと思います。それから,外国からも一部厳しい意見が出ている。
予想どおりだったのかもしれませんが,そういったメディア・世論,外国からの反応などについて,どのように捉えられて,今後の国民への理解に向けて,どのような考えでおられるのか,大臣としてのお考えを聞かせてください。

【岸田外務大臣】今回の閣議決定につきましては,我が国を取り巻く安全保障環境がますます厳しさを増す中にあって,我が国の国民の命,そして,平和な暮らしを守り抜くためにいかにするべきなのか。こういった観点から,この安全保障の法整備に関しまして基本方針を示したものであります。
 今,質問の中で全国的に厳しい声が上がっているというご指摘がありましたが,世論調査等を見る限り,国内において,厳しい声もありますが,一方でこうした方針に対して評価する声も十分あるというように認識しております。そして,国際的にも多くの国から我が国の立場や取り組みを歓迎するといった声も寄せられている,こういった現状にあります。
 ただ,今回の決定について批判の声があるのもまた事実でありますし,引き続きまして,こうした国民,そして国際世論に対しましては丁寧に説明を続けていかなければならないと思っています。
 平和国家としての我が国の歩みは全く変わらないこと等も含めて,我が国の立場,考え方,そして取り組みの意味等につきまして,引き続き丁寧に説明をしていきたいと考えております。

日朝関係

【共同通信 斎藤記者】もう一度,北朝鮮関連に話を戻したいのですが,ご案内のとおり,核問題をめぐる六者会合は久しく開かれていません。我が国として,核問題解決のためにこの六者会合の早期再開を求める考えがあるのかどうか。そして,その六者会合再開に向けて,日本としてこれまで何か取り組みを行ってきたのか。また,今後取り組む考えがあるのか。この点について,大臣のご所見をお願いします。

【岸田外務大臣】まず六者会合ですが,この六者会合というものは諸懸案を解決する,こういったことのためには有効な枠組みではあるとは認識はしております。しかしながら,まずは北朝鮮側が非核化を含め,問題解決に向けた真摯な姿勢を示すことが重要であると認識しております。
 そして,特に昨今,ミサイル発射等,こうした挑発的な行動が北朝鮮から行われております。我が国としましては,今回の日朝政府間協議の場を含めまして,北朝鮮側に対して厳重に抗議を行っているところでありますが,こうした状況を考えますときに,六者会合は引き続き諸懸案を解決するために有効な枠組みではありますが,現時点で六者会合を再開するということについてはまだ時期尚早ではないかと考えます。

【共同通信 斎藤記者】今の関連でお伺いします。安倍総理は,これまで記者会見あるいは国会答弁等で,諸懸案があるからこそ対話を通じてよい関係をつくるべきであるという趣旨の話をこれまで繰り返しおっしゃられています。おそらく中国や韓国を念頭に置いた発言であると思いますが,このような発言を,懸案があるからこそ対話をすべきであると総理はおっしゃってきました。
 そうした総理の発言の趣旨に照らしますと,六者会合についても,いわゆる環境とか,あるいは条件とか,そうしたものを設けないで対話をしていくというスタンスもあるかなと思うのですが,大臣,この点についてはいかがお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】北朝鮮問題に関しましては,従来から我が国は対話と圧力,この方針に基づいて臨んできました。そして今回,日朝政府間協議を再開し,そして,この特別調査委員会の立ち上げ等について合意をした次第です。
 対話ということも,従来から対話と圧力と申し上げているわけですから,対話ということも重要なことではありますが,六者会合につきましては,我が国以外に多くの当事者が存在いたします。そういった点を考えますときに,現状においてはまだ時期尚早ではないか,このように考えます。

中韓首脳会談

【産経新聞 山本記者】昨日,習近平国家主席と朴槿恵大統領の首脳会談,中韓の首脳会談が行われまして,共同声明の附属文書に慰安婦の研究というものが盛り込まれました。これについてのご所見と受けとめをお願いします。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の点につきましては,この共同声明にそのような記述があることは承知をしております。
 慰安婦問題を初めとする過去の問題につきましては,政府としてもこれまで最大限取り組んできたところです。いずれにしろ,こうした問題は政治問題,あるいは外交問題化させるべきではないと我が国としては考えております。

中国の公文書館における日本人戦犯の供述書公開

【AFP通信 長谷川記者】関連なのですけれども,きのう中国は45人の日本人の,第二次世界大戦中に,これは中国の軍事裁判で戦犯とされた人たちについての告白文をオンラインで発表を始めたとしています。
 その中には,117部隊の司令官で鈴木さんという方が1,000人の中国人を殺すよう命じ,本人も200人以上を殺した。それから,コレラ菌を3~4の村にばらまくよう命じたということも記されていまして,至るところに帝国主義という言葉を使って,そういった手書きの告白文がオンラインで公開されているということなのです。
 これについてのご所見とご見解,それから,何か対応が決まっていたら教えていただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,ご指摘の点,中国の公文書館がご指摘のような文書をインターネットで公開を開始する旨,発表したことは承知しております。
 ただ一般的に,この歴史的な事象に関する評価については専門家等により議論されるべきであると我が国は考えております。ですから,この点につきまして,日本政府としてコメントすることは差し控えたいと思います。

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