記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年6月13日(金曜日)9時39分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-ナイジェリアにおける女子生徒集団拉致事案に対応するための緊急無償資金協力
【岸田外務大臣】本日の閣議において,ナイジェリアにおいて発生したイスラム過激派組織ボコ・ハラムによる女子生徒集団拉致事案により被害を被った方々に対し,国際機関を通じ,心理,社会的ケアを中心とした,85万5000ドルの支援を決定しました。
我が国として,教育を求める女子生徒を暴力により恐怖に陥れる行為を改めて強く非難いたします。
国際社会と連携して取り組んでいきたいと考えます。
ナイジェリアにおける女子生徒集団拉致事案に対応するための緊急無償資金協力
【NHK 渡辺記者】今のお話に関連してですけれども,この被害にあわれた女性の方々というのは,今誘拐されている人たちのことを対象にしているという理解でよろしいのでしょうか。
【岸田外務大臣】誘拐されている方々,そして,誘拐の難を免れた方々も心理的に大変なダメージを受けておられると承知しております。こうした方々も含めて,社会心理的なケアを行う,こういった趣旨でユニセフをはじめとする4つの国際機関を通じて支援を行うことを決定いたしました。
【NHK 渡辺記者】決定した日本政府としての一番の狙いというのはあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】我が国としても,女性の輝く社会を目指す,こうした方針で国内の様々な政策,あるいは国際社会に対しましても様々な貢献を行っているところです。
こうした方針である我が国政府としまして,女性に対する暴力に対して,しっかり対応していく,こうした国際社会の取り組みに対してもしっかりと貢献していかなければいけない,協力していかなければいけない,こういった趣旨で支援を決定いたしました。
日朝政府間協議
【NHK 渡辺記者】北朝鮮の関係でお伺いいたします。ストックホルムでの合意から来週で3週間になります,それと,あと,官房長官が昨日の会見で,特別調査委員会が設置されて調査が始まったと,その段階で日本が独自に行っている制裁3つについて同時に解除する用意があるということをおっしゃっていましたけれども,こういった発言等を聞いていると,かなり日朝の両政府間で段取りを含めて,かなりすり合わせが進んでいるのではないかという印象を受けるのですけれども,実際のところどういう形で進んでいるのでしょうか。
【岸田外務大臣】この度の日朝政府間協議においては,北朝鮮側が全ての日本人の問題に関しまして特別調査委員会を立ち上げ,そして,それに対して我が国としては北朝鮮に対して行っている制裁措置の一部を解除するということで合意をしているわけですが,こうした対応,措置の一部解除等,こうした対応につきまして今現在,関係省庁の間で調整を行っている段階です。そして,この調査が開始するまでに,北朝鮮側から特別調査委員会の組織ですとか,構成,あるいは責任者,こういったものを明らかにする,連絡をしてくる,こういった取り決めになっております。
そういった特別委員会の状況,連絡につきましても,しっかり確認した上で我が国として措置の解除等の対応を考えていきたいと思っています。
【NHK 渡辺記者】そうしますと,北朝鮮側が特別調査委員会の人員の発表するときに備えて日本政府としては,関係省庁間含めて詰めの準備というか,かなり進めているとうことでよろしいでしょうか。
【岸田外務大臣】関係省庁間の調整は行っています。
中国軍機による異常接近事案
【フジテレビ 山崎記者】昨日,程永華大使が外務省に来られて事務次官が抗議したところ,程永華大使は戦闘機が近づいたのはむしろ日本の方だというようなことを主張されていて,その後,国防省も証拠とするようなVTRもホームページ上で流していますけれども,これについての受け止めと今後の政府の対応についてどのようなお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,中国側が流している映像につきましては私(大臣)も報道等で度々拝見いたしました。この映像につきましては,防衛大臣が我が国のF15であることはわかると,ただ,いつ撮られたものであるか,これはわからない。ただ,映像を見る限り,国際法に従った安定的なスクランブル対応の姿が映っていると思っている,そして,中国側がこれに対して何か接近したとか危険だというのであれば,それは全く当たらない。こういった判断をしているということを承知しております。
我が国としては,そういった受け止め方をしています。
【フジテレビ 山崎記者】今後の日本政府の対応は。
【岸田外務大臣】今回の中国軍用機の異常接近事案,これは偶発的な事故にもつながりかねない大変危険な行為であると認識しております。
そういったことから,当日すぐに抗議もいたしましたし,昨日レベルを上げて抗議をしております。中国側の反論については,先ほど申し上げたとおりですが,是非我が国としての考え方,受け止め方をしっかりと中国に伝えていかなければならないと思っています。
【NHK 渡辺記者】動画の公開をすかさず行ってくる状況とか,こういうのを見ていますと,中国側としてもかなり準備をして臨んでいる感じが印象を受けるのですけれども,こうした情報戦のあり方みたいなことについてはどう感じられますでしょうか。
【岸田外務大臣】中国側の意図とか準備については,何も私の方から申し上げる材料もありませんし立場ではないと思っていますが,いずれにせよ今回の事態は,大変危険な行為であり偶発的事故にもつながりかねない危険な行為だということは間違いないところです。是非,こうした点については,しっかり指摘し抗議していかなければならないと思いますし,偶発的な事故につながらないように両国間の対話,海上連絡メカニズムをはじめとして,既に合意しているメカニズム等を通じて意思疎通を図ることは重要なのではないか,これは従来から我々は再三繰り返しています。中国側にも,是非こうした考え方を受け入れてもらいたいと強く願っています。
【テレビ朝日 藤川記者】いつ撮られた映像かわからないということですれども,日本が中国に抗議している接近の事案とは関係ない映像ということでよろしいでしょうか。
【岸田外務大臣】わかりません。もちろん,防衛省でしっかり映像は見た上での発言だとは思いますが,その上で防衛大臣がそう発言しているわけですので,私(大臣)がそれ以上のことを申し上げる材料はありません。