記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年5月27日(火曜日)8時42分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-ウクライナ大統領選挙について
【岸田外務大臣】5月25日,ウクライナにおいて大統領選挙が,ウクライナ東部の一部を除き,自由,公正かつ平穏に行われ,ポロシェンコ候補が当選を確実なものとしたことに祝意を表明します。
我が国としては,ウクライナの平和と安定のためには,経済状況の改善,民主主義の回復,国内の対話と統合の促進の三つが重要と考え,これまで最大15億ドルの経済支援を含め,我が国の貢献につき表明をしてきたところです。
今回の大統領選挙を通じて,民主的に選出された新政権が成立することは,ウクライナの平和と安定の実現に向けた大きな一歩です。
日本政府として,新政権の下で,経済改革や国内の対話と統合の促進を含め,喫緊の課題について改革が進むことを期待いたします。我が国としてもこうした改革の促進において,引き続き,新政権を支援していきたいと考えています。
ウクライナ大統領選挙
【NHK 渡辺記者】今のウクライナ大統領選挙に関しまして,一方で東部のルガンスクとか,そちらの方では空港への爆撃というか攻撃が続いていて死傷者が出ていますが,こうした大統領選の当選が確実になった後も,戦闘行動が続いていることについて,この現状をどう受け止めて,どのように日本として働きかけていきたいと思っているのでしょうか。
【岸田外務大臣】親ロシア派の武装勢力が,今回の大統領選挙を妨害したのみならず,ドネツク国際空港を含めた,更なる公的施設の占拠の動きをみせていること,このことについては非難をいたします。同時に,ウクライナ政府においても,治安維持のための活動が,引き続き自制と責任をもって慎重に行われることを求めていきたいと考えています。
ウクライナにおきましては,3回の円卓会議が開催されるなど,国内の対話と統合のための努力も続けられてきたところですが,我が国としましては,平和裡にこうした対話が促進されていくこと,これを期待したいと考えています。
こうした対話の促進につきましては,引き続き我が国としましても支援をしていきたいと考えます。
【NHK 渡辺記者】一方で,大統領選挙に対するロシアの対応,いろいろ親ロシア派の背後にロシアの動きがあるのではないかとか,あるいはロシアはロシアで今回の選挙に対しても一定の評価を出しておりますけれども,そういったロシアの対応についてはどういうように考えていらっしゃるのでしょうか。
【岸田外務大臣】今回の大統領選挙についても,例えば,ロシアのラヴロフ外相がウクライナ国民の意思を尊重しホロシェンコ氏と対話する用意がある,こういった発言もされておられます,こういった発言については注目をしたいと思います。
今回の大統領選挙を契機として,ロシアとウクライナ両国間の対話が進むなど,外交的な対話が進み,そして,ウクライナが正常化していくことを期待したいと思います。
日朝政府間協議
【NHK 渡辺記者】現在行われている日朝協議のことをお伺いいたします。時差の関係がございますけれども,この後,二日目の協議となると思いますが,これまでのところ初日の協議を含めて,どういった話が具体的に今行われているのか,そういった報告はあったのかどうか,あるいは,それと共に,今後の協議にどういったことを望むのか,その辺りをお願いします。
【岸田外務大臣】26日の協議においては,約4時間余りにわたって,双方が関心を有する事項について幅広い意見交換が行われた,そして,その内容も真摯且つ率直な議論であった,こういった報告を受けております。
協議は三日間予定されており,まだ初日ではありますが,是非,この三日間の協議を通じまして,北朝鮮から前向きな姿勢が示されるなど,成果を期待したいと考えています。
2016年主要国首脳サミット
【中国新聞 藤村記者】2016年に日本で開催が予定されている主要国首脳サミットで,昨日,広島市の松井市長が誘致の検討を始めたと記者会見で表明したのですけれども,大臣の受け止めをお願いします。
【岸田外務大臣】2016年のサミットについては,日本で開催されることとされています。そして,この開催について,広島市が関心を示してくださったことは有難いことだと思っております。ただ,日本の中,どの都市で開催するか等,検討のプロセスはまだこれから始まります。そういった広島市の意向等も踏まえながら,これから開催都市の決定等の作業が始まることになると考えています。
【中国新聞 藤村記者】大臣が議長を務めた4月のNPDIの広島宣言では,世界に政治的指導者に被爆の実相を知ってほしいと呼びかけましたけれども,もし広島サミットが実現したら,核兵器のない世界に向けた動きというのが加速するというように思いますか。
【岸田外務大臣】まず,核兵器のない世界を目指すにあたって,世界の政治の指導者の皆様方に被爆の実相に触れていただくこと,これは大変意義の大きいことで,意義深いことであると認識をしています。ただ,このサミットの開催都市については,先ほど申し上げましたように,まだこれから,今の時点では検討作業も始まっていません,これから作業が始まるという段階です。様々な観点を総合的に検討した上で決められるものだと認識をしております。
日朝政府間協議
【産経新聞 山本記者】日朝協議の件ですが,先ほど大臣がおっしゃった,今回の協議には成果,具体的にはどのようなものが成果とお考えなのでしょうか。
【岸田外務大臣】これは協議であり,相手がある話ですから予断することはなかなか難しいですが,是非,我が国としましては,北朝鮮との間にある諸懸案を包括的に解決するべく努力をしています。こうした諸懸案解決に向けて北朝鮮から前向きな態度を引き出すことができれば,それは成果であると認識をしています。