記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年5月16日(金曜日)8時40分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)安保法制懇の報告書の提出
【岸田外務大臣】昨日,「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」第7回会合が開催され,報告書が提出されました。これを受け,四大臣会合で議論を行い,安倍総理が政府としての今後の検討の進め方についての基本的方向性をお示しいたしました。
今後,この基本的方向性に基づき,まずは与党と十分に協議していくとともに,内閣法制局の意見も踏まえつつ,政府としての対応を検討していくことになります。国会においても議論を進め,国民の皆様に対して丁寧に説明し,理解を得る努力を継続していきたいと考えます。
また,外務省として,近隣諸国を含む関係国に,透明性をもって丁寧に説明していきたいと考えております。
(2)ハシナ・バングラデシュ首相の訪日
【岸田外務大臣】先ほどの閣議で,バングラデシュのハシナ首相を公賓として,今月25日から28日までお招きすることが了解されました。今般の来日が,包括的なパートナーシップを構築する機会となることを期待しております。
(3)日米地位協定の環境補足協定交渉の第3回会合
【岸田外務大臣】米国時間の本日,米国防省において,日米地位協定の環境補足協定交渉の第3回会合,これは課長級ですが,開催する予定となっております。
集団的自衛権
【日本テレビ 中村記者】集団的自衛権のことですけれども,与党内で今後議論が始まるわけですが,一方で年末に日米のガイドラインの改定を控えておりまして,この整合性というか,関係性についてお伺いできればと思うのですが。つまり,期限が切られてないかと思うのですが,集団的自衛権の方の。
【岸田外務大臣】おっしゃるように集団的自衛権につきましては,これから政府与党で議論が行われます。ですから,憲法解釈の変更等も含めて,まだ現時点では何も決まっておりません。一方,この日米ガイドラインの見直しについては,昨年の日米2+2において本年末までに見直し作業を完了させる,こういった合意が行われています。ですから,現状においては,現在の憲法解釈に従って見直し作業を行っていくということになると考えております。
【日本テレビ 中村記者】日米ガイドラインに,この集団的自衛権の見直しに向けた議論をできる限り反映させていきたいというお考えはあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】議論の進み具合い等も見なければなりませんが,政府与党として集団的自衛権をはじめとする議論については期限ありきではなくして議論を行うということになっております。ですから,ガイドラインの見直し作業は本年末に完了させるということになっているわけですから,現状においては現行の憲法解釈を前提として議論をしていくことにならざるを得ないと思っています。
【日本テレビ 中村記者】議論にかなり時間がかかって,日米ガイドラインの改訂が年末を越えてしまうということはないという,そういう理解でよろしいでしょうか。
【岸田外務大臣】ガイドラインについては2+2において明らかにしているように本年末完了を目指して努力することになっています。
ベトナムにおける反中デモ
【NHK 渡辺記者】中国とベトナムの衝突がかなりエスカレートして,ベトナム国内で中国人の方が殺されたりしてとか,そういう事態になって発展しておりますが,この事態に対して日本としてはどう考えているのか,それから,関係国にどういうことを望んでいるのかお願いします。
【岸田外務大臣】ベトナム国内における反中デモの状況については,まずは今,実情,事実関係についてベトネム当局に確認中です。現時点では,在留邦人に人的被害が生じたという情報には接していません。
ただ,全体として死傷者が発生している等の報道があります。こうした事態が悪化している事については深く憂慮しておりますし,抗議活動というものは,あくまでも平和的に行われるべきであり暴力に訴えること,これはあってはならないと考えております。 ベトナム当局に対しましては,日本人,そして,日系企業の安全確保については,改めて申し入れを行った次第です。引き続きまして,事態の推移を注視しながら安全確保につきましては万全を期していきたいと考えています。
【NHK 渡辺記者】そうしますと,中国とベトナム当局に対しては衝突については何か日本から言うべきことはあるのでしょうか。
【岸田外務大臣】既に事態については,全ての当事者が一方的な行動を慎み,国際法に則って平和裏に解決されるべきであると対話を通じて解決されるべきであるという考え方につきましては,中越両国には伝えさせていただいております。
日韓局長級協議
【共同通信 鳥成記者】昨日,日韓の局長級の協議が行われて,従軍慰安婦問題についても引き続き協議をされているわけですが,日本側としては,日韓請求権協定に基づいて,この問題については解決済みという立場をとっていますけれども,今後,韓国側の求めに応じて,何かしら措置を講じる必要があるというお考えはおありでしょうか。
【岸田外務大臣】日韓の局長級協議につきましては,昨日二回目を行いました。慰安婦の問題,そして,我が国の関心事であります旧徴用工問題等,双方の関心事について協議を行いました。
慰安婦問題については,今ご指摘があったような我が国の基本的な立場があるわけですが,これにつきましても,しっかりと説明をさせていただきました。そして,局長級協議につきましては,6月中に次回開催するということで一致をしたと承知をしております。
引き続きまして,諸課題について議論を継続していくということになっております。現時点では,引き続き協議をするということになっておりますので,何ら決まったこと結論として出たことはないと承知をしております。