記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年3月28日(金曜日)9時12分 於:官邸エントランスホール)

北朝鮮による弾道ミサイル発射(安保理非公式協議)

【テレビ東京 山口記者】先ほど,北朝鮮のノドンの発射に伴う国連の安保理の緊急会合で北朝鮮を非難する談話が出たそうですが,決議や声明には至らなかったそうですけれども,今回の結果について大臣の受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】28日未明というのは日本時間だと思いますが,国連安保理の非公式の協議が行われたと聞いております。そして,その後,理事会の議長が発言をして,理事会の中で非難する発言があった。更には,今後とも協議を行う,こういった発言があったという報告を聞いています。
 いずれにせよ,我が国としては,今後とも関係国と連携しながら,北朝鮮に対して強いメッセージを発していかなければいけないと思っていますし,国連の安保理におきましても,適切に対応されることを期待したいと思っています。

日朝局長級協議

【テレビ東京 山口記者】北朝鮮を巡っては,明後日30日から日朝局長級の協議が行われますけれども,直近のミサイルについても米国や韓国などから関心を寄せられているような,そういった二国間協議だと思うのですが,日本としても拉致問題の解決に重要なステップだと思うのですけれども,大臣として,今度の局長級協議どのような姿勢で臨むのか,期待する成果についてお願いします。

【岸田外務大臣】日朝の局長級協議が再開されるわけですが,おそらく,双方とも自分の関心のある課題を取り上げて,そして,議論をするということになると思います。我が国も拉致,核,ミサイル,こうした諸懸案を取りあげて,是非,解決に向けて前進を図っていきたいと考えています。
 ただ,協議自体,1年半振りに協議が行われるということですので,今の段階で予断は許されませんが,粘り強く対応していくことが求められるのではないかと考えています。

日本政府関係者の元慰安婦施設(ナヌムの家)関係者との面談

【テレビ東京 山口記者】韓国ですけれども,今月17日にアジア大洋州局の山本地域政策課長が韓国で,元慰安婦の施設で関係者と意見交換をしたということですけれども,その事実関係と狙いについて,大臣の方からお願いします。

【岸田外務大臣】17日に元慰安婦の方々の支援施設であるナヌムの家の関係者の方と外務省の担当課長が意見交換を行った,会ったということですが,これは,アジア女性基金のフォローアップの関係で,こうした元慰安婦の方々の支援されている関係者の方々にお会いしたという会談であったと報告を受けています。

【テレビ東京 山口記者】日韓では,局長級の協議も多分検討されていると思うのですけれども,韓国側としては,この慰安婦問題に特化した協議をしたいという姿勢を示していますが,この辺,日本とは少し姿勢の差があるような,隔たりがあるような感じがするのですけれども,この辺についての大臣のお考えと局長級協議の調整状況についてお願いします。

【岸田外務大臣】韓国との間においては,慰安婦をはじめ,様々な課題について様々なレベルで意思疎通を図っていますが,今の段階で局長級協議,あるいは,慰安婦の問題を議論する局長協議というようなもの,具体的なものや日程について,何ら決まったものはないと承知をしております。

【テレビ東京 山口記者】調整もされていないということでしょうか。

【岸田外務大臣】意思疎通は従来からずっと行っております。ただ,具体的なものが決まったという報告はまだもらっていません。

オバマ大統領の国賓訪日

【テレビ東京 山口記者】オバマ大統領の訪日ですけれども,2泊3日の国賓待遇というような報道がありますけれども,今の調整状況,おそらく,一ヶ月もないような状況ですが,いかがでしょうか。

【岸田外務大臣】確かにオバマ大統領は,4月下旬にも我が国,韓国,マレーシア,フィリピン。こういった諸国を訪問されるということですので,日程は迫ってきています。ただ,今申し上げたところまでは確認されていますが,具体的な日にち日程等については,今現在,まだ正式には確認されていないというのが実情です。

日朝局長級協議

【共同通信 鳥成記者】日朝の局長級協議に関連して,一点お伺いしたいのですが,古屋大臣は先日の記者会見の中で,被害者が戻らなければ,制裁解除はおろか1円の支援もしないというように発言をされているのですが,2008年の日朝協議の段階では,拉致の再調査,それから,よど号犯の引き渡しへの協力,それと制裁の一部解除,バーターのような形になったのですけれども,この発言は拉致の再調査だけでは不十分で,被害者が帰国しなければ制裁の解除はしない,そういう意味にもとられるのですけれども,政府の方針としてはどのような方針なのでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,今回は1年半ぶりに局長協議を再開するということですので,過去様々な議論がありました,そして,その上で今回再開するということになったわけですが,ただ,相手のあることでありますし,1年半ぶりということもあります。今の段階で予断を持って何か議論の中身まで申し上げるのは難しいですし,適切でもないと思います。 いずれにせよ,我が国としては,拉致,核,ミサイル,この諸懸案を当然取りあげることになると思いますが,粘り強く交渉に臨んでいく覚悟であります。

日露関係

【朝日新聞 菊地記者】課題があるからこそ対話をするというのが大臣の基本姿勢かと思うのですけれども,クリミアやウクライナ情勢を巡る露との対話について,大臣はどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】露との間には,我が国は昨年来,様々に積み上げてきた二国間関係が存在いたします。ウクライナ情勢を巡りまして,大変国際情勢は緊迫しておりますし,我が国もそのことについては危惧していますが,このウクライナ情勢等も含めて,二国間関係に基づいて露に対してものを言う,働きかける,あるいは日本の立場を説明する,こういったことは大切なことではないかと考えています。
 アジア太平洋地域の厳しい安全保障環境を考えましても,日露関係が安定するということは重要なことでもあります,等々考えますときに政治対話は行うべきであるとは思っています。

【朝日新聞 菊地記者】4月に訪露されないと,対話の機会を失うということにはならないのでしょうか。

【岸田外務大臣】4月の私(大臣)の訪露につきましては,今の段階では何も決まっておりません。こうした具体的な日程等につきましては,ウクライナの情勢ですとか,露の今後の行動ですとか,あるいはG7をはじめとする関係各国の対応とか,こういったものを注視した上で適切に判断すべきものであると考えています。

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