記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年3月14日(金曜日)8時40分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-NPDI広島外相会合

【岸田外務大臣】4月11日,12日に広島で開催する軍縮不拡散イニシアティブ(NPDI)外相会合について,「核兵器のない世界」実現に向けたビジョンを世代と国境を超えて広げるため,以下二点を実施することを発表いたします。
 第一に,今回はゲストとして,CTBT発効促進会議議長国のインドネシアのマルティ外務大臣,そして2015年NPT運用検討会議準備委員会のモレイ議長に加えて,「核兵器のない世界」を目標とするオバマ大統領の米国から初めてゴッテメラー米国国務次官が参加をいたします。オバマ大統領訪日を目前に控え,米国が被爆地広島で開催されるNPDI外相会合にゲスト参加することは有益であると考えております。
 また,核兵器の非人道性を世代を超えて世界に広げるため,NPDIメンバー国出身の若者による「ユース非核交流プログラム」,仮称ですが,これを実施することとします。NPDI参加各国外相にも「核兵器のない世界」への思いを直接訴える予定です。

日朝赤十字会談

【TBS 井本記者】日朝赤十字会談が来週開催されることが発表されましたけれども,二回目となりますけれども,それに臨むに当たって大臣のお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】3月3日に日朝赤十字会談が開催されました。3月19日,そして20日に開催が発表されました次回の日朝赤十字会談は,前回の会談をフォローアップするということで,戦後,北朝鮮に残された日本人遺骨,あるいは墓参等の人道的な課題について協議を行う,こういった趣旨だと承知をしております。  こういった人道的な観点からの会議がしっかりフォローアップされ,成果が上がることは期待したいと考えております。

【TBS 井本記者】前回,外務省からも課長が出席してミサイルや拉致等,日本が懸案に思っている問題意識は全て伝えたというようにありましたが,今度,回答がやってくるかと思うのですが,どのような回答があれば政府間協議の再開につながるとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】前回の日朝赤十字会談の際に政府関係者が同行し,結果として1年4ヶ月ぶりに非公式の政府間協議,接触が行われた次第ですが,次回以降,政府間の協議については今現在,何も決まっていません。ですから,今後につきましても,予定見通しは決まっておりません。我が国としましては,対話と圧力の下,日朝平壌宣言に基づいて,核,ミサイル,拉致,諸懸案を包括的に解決していく,是非,北朝鮮に具体的な真摯な対応を求めていく,こういった方針は変わっておりませんので,あらゆる機会を通じて北朝鮮側に,こうした強いメッセージを伝えていかなければならないと考えています。

齋木次官の訪韓

【TBS 井本記者】一方で,今週,齋木事務次官が訪韓して,日米韓首脳会談を核セキュリティ・サミットで模索したのではないかといわれているのですけれども,訪韓の内容についてどのような報告があって,今後もそういった首脳会談の可能性について探っていくおつもりでしょうか。

【岸田外務大臣】今回,齋木次官は訪韓し趙太庸外交部第一次官との間で会談を行った次第ですが,その中で日韓間の二国間における様々な課題について意見交換を行うと同時に北朝鮮問題等,こういった課題についても意見を交換し日韓の連携が重要であることを確認した会談であったと承知をしています。
 この核セキュリティ・サミットにおける日程については,今現在,安倍総理の出席もまだ確定をしておりませんので,今の段階では何も決まってはおりません。

【TBS 井本記者】できればやってほしいですか。

【岸田外務大臣】従来から我が国は難しい局面であるからこそ,対話が重要であるということを言い続けております。対話のドアは常にオープンだと言い続けております。様々な機会において,こうした対話が実現することは歓迎したいと思っていますが,今現在,具体的なものは決まっていないということです。

NPDI広島外相会合

【中国新聞 藤村記者】NPDIの外相会合ですけれども,大臣が議長を務めるわけですが,改めて会合の意義と意気込みについてお聞かせください。

【岸田外務大臣】NPDIの外相会談,被爆地広島で今回開催されることとなります。まず,世界各国の外相をはじめ,政府関係者に被爆の実相に触れていただく,その上で議論をしていただく,こうした意味があると考えています。そして,タイミングとしましても2015年のNPT運用検討会議の最後の準備委員会が,第三回目の準備委員会が,この直後に開催される予定になっています。その準備委員会の議長にも,先ほど申し上げましたようにNPDI外相会談に出席していただくこととなりました。
 是非,この準備委員会,さらにはNPT運用検討会議に資する成果を上げたいと考えております。
 そうした核兵器のない世界を目指すという国際的な大きな議論にも資する会議になると期待をしております。

ウクライナ情勢

【北海道新聞 橋本記者】ウクライナ情勢ですが,クリミアの住民投票が16日に行われますけれども,その後のロシアの対応によっては,日本政府もあらたな対応をしなければいけないと思いますけれども,どのような基本方針での臨むのでしょうか。

【岸田外務大臣】ウクライナ情勢につては,3月3日に続いて3月12日にもG7共同声明を発出しております。我が国も参加しておりますので,ウクライナ情勢に対する認識,そして,クリミアの住民投票に対する考え方はG7の共同声明の中にあるとおりであります。そして,住民投票につきましては,推移を注視しております。そして,あわせて,ウクライナ国内の情勢ですとか,あるいは各国の動向ですとか,こういったものをしっかり確認をしながら,我が国としての対応,適切に対応をしていきたいと考えています。

日朝赤十字会談

【共同通信 岡村記者】日朝ですけれども,これまでの政府間協議はミサイルの発射予告で停止されていた状態ですけれども,北朝鮮側からミサイルについて,何らかに譲歩がなくても政府間協議に踏み切るという判断は。

【岸田外務大臣】今,決まっているのは日朝赤十字会談を行うということだけです。戦後,残された重要な人道的な課題について話し合うということが,次回3月19日,20日開催されるということが決まっているだけですので,政府間の接触については次回以降まだ何も決まっておりません。我が国の基本的な方針はしっかり堅持し,それを損なうことのないように,政府間の協議については考えていかなければならないと思います。
 そのためにも,まず北朝鮮側から,核,ミサイル,あるいは拉致,こういった課題に対する真摯な前向きな具体的な態度が求められると我々は考えています。

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