記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年3月11日(火曜日)9時36分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)東日本大震災から3周年

【岸田外務大臣】本日,東日本大震災から3周年を迎えました。犠牲者の方々のご冥福をお祈り申し上げ,ご遺族及び今なお困難な状況にある方々にお見舞い申し上げたいと存じます。
 この機会に,米国による「トモダチ作戦」を始め,各国・地域からの温かい支援に対して改めて感謝を申し上げます。
 外務大臣として,復興のため引き続き尽力していく所存です。風評被害については,各国の輸入規制措置の緩和及び撤廃に向けた働きかけを継続しております。また,在外公館を通じて我が国の復興状況を発信し,風評被害の払拭に努めております。
 そして,明年3月に被災地の仙台市で開催する第3回国連防災世界会議等の機会に,災害を通じて得た貴重な経験等を国際社会と共有し,防災分野での国際的な貢献を積極的に行っていきたいと考えています。

(2)女性に関する国際シンポジウムについて

【岸田外務大臣】本年夏から秋を目途に,各国から女性リーダーの参加も得て,国際シンポジウムの日本開催を計画しております。
 加藤官房副長官を長とする準備チームを立ち上げます。日本を含む世界で女性の活躍を更に推進するものにしていきたいと考えています。

齋木外務次官の訪韓

【フジテレビ 山崎記者】明日から,齋木外務次官が韓国を訪問して,先方の外務次官と会談をするということが発表されましたけれども,今後の関係改善の見通しと,それから大臣の意気込みをお聞かせください。

【岸田外務大臣】12日から13日にかけて,齋木次官が訪韓をし,先方の第一外務次官と会談をする予定にしております。是非,幅広い意見交換が行われ,意思疎通が図られることを期待したいと考えています。
 このように,各レベル,各分野において両国間でしっかりと意思疎通をはかり,また,実務的な協力関係を積み上げながら,是非,政治の高いレベルでの意思疎通につなげていきたいと考えております。一つ,一つ努力を続けていきたいと考えます。

【NHK 渡辺記者】今の質問に関連しまして,局長が行かれて,今度は次官が行かれますけれども,大臣ご自身としましては,韓国の外相との,そういった会談等含めて 今後の見通しも含めて,今回の訪韓に期待することはありますでしょうか。

【岸田外務大臣】韓国は大切な隣国であり,現在難しい問題は存在いたしますが,大局的な見地から未来志向の両国関係を築いていかなければならないと強く感じています。私(大臣)自身,外相会談等,現状においては具体的なものは決まっていませんが,様々な意思疎通を積み重ねることによって高い政治のレベルでの意思疎通もしっかり図っていきたいと考えています。
 こうした意思疎通を通じまして,是非,大切な二国間関係を前進させていきたいと考えます。

原発事故による風評被害

【共同通信 高木記者】冒頭に原発事故からの風評被害の言及がございましたけれども,3年も経ちましたが,依然として40の国と地域がまだ日本の農林水産品の輸入規制をしておりますけれども,これに対する受け止めと今後どのような取り組みを具体的にされるのかお願いします。

【岸田外務大臣】今日まで風評被害につきましては,各国の輸入規制措置等の現状について関係省庁と連携しながら,まずは情報収集につとめ,そして,我が国の実情につきまして科学的な根拠に基づいて的確な情報発信を続けてきました。世界各国の在外公館等も活用する形で発信を続けてきました。その結果,今日まで13の国で輸入規制の撤廃が行われ,そしてEU等におきましては輸入規制の緩和が行われました。
是非,引き続き努力は続けていかなければならないと考えていますが,この問題につきましては,昨年12月,外務大臣,私(大臣)の下で日本企業支援推進本部という本部を外務省内で立ち上げました。この本部におきまして,風評被害問題についても,しっかりと取り上げ議論し,具体的な対策を進めていく,こういった体制で取り組んでいきたいと考えています。

集団的自衛権

【朝日新聞 菊地記者】集団的自衛権の行使容認を議論するための新しい組織が自民党内に設けられることになりましたけれども,行使容認を前提として議論が進んでいることに対しては参院を中心に慎重論も出ていますが,大臣としてはどのようにお考えになりますか。

【岸田外務大臣】集団的自衛権と憲法の関係につきましては,現在,安保法制懇,有識者会議において議論が続けられています。そして,この議論につきましては安保法制懇の報告書が出た後も丁寧に議論を進めていくと安倍総理も再三繰り返しておられます。今後,そうした総理の方針の従って議論は行われることになるのではないかと考えています。

【朝日新聞 菊地記者】閣僚からも,谷垣法務大臣が国民の理解を取り付ける必要があるとおっしゃられておりますけれども,大臣として,もう少し丁寧に議論を進めていった方がいいと思われますか。

【岸田外務大臣】議論自体は安保法制懇で議論の段階です。今後,報告書が出され,その後,どういった議論が行われるかということですが,総理自身,丁寧な議論を心がけると再三繰り返しておられます。

丁寧な議論を行わなければならないと,閣僚の一人としても思っています。

河野談話

【NHK 渡辺記者】6日,米国務省のサキ報道官が記者会見で,官房長官の発言として河野談話の見直しを行わない旨伝えたことを評価しておりましたけれども,こうした米側の受け止めについて,どう考えていらっしゃるでしょうか。
 大臣も見直さないという認識かもしれませんが。

【岸田外務大臣】もちろん,河野談話については見直さない,官房長官が明言しているわけですので,それが内閣の方針であると承知をしています。
 こうした我が国の歴史認識,あるいは外交姿勢につきましては,今後とも丁寧に,そして,しっかりと国際社会に説明していかなければならないと考えています。
 我が国の立場がしっかり理解されるように外務省としても努力をしていきたいと考えています。

日朝協議

【日本テレビ 中村記者】日朝協議ですけれども,3月3日の瀋陽で行われた課長級の非公式の意見交換で,日朝の局長級協議の再開を日本側が提案したという報道があるのですけれども,これは事実でしょうか。

【岸田外務大臣】赤十字会談の会談に合わせて行われた非公式協議ですが,その際には日本の問題意識について幅広く先方に伝えるということを行いました。 具体的なことについては申し上げるのは控えたいと思いますが,何か具体的な日程等が決まったというようには承知はしておりません。

ウクライナ情勢

【NHK 渡辺記者】ウクライナについてですけれども,各国制裁の動きが出ていますが,現時点日本政府としての露に対する制裁の検討状況というのはあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】ウクライナでの状況,あるいは各国の動向等も見ながら,我々としても適切に対応していきたいと考えています。

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