記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年3月7日(金曜日)8時28分 於:官邸エントランスホール)

ウクライナ情勢

【日本テレビ 中村記者】ウクライナですけれども,クリミアで露に編入されるかどうかの是非を問う住民投票が行われることになりましたけれども,こうした動きに対する日本政府の立場を教えていただけますでしょうか。

【岸田外務大臣】ウクライナ情勢に関しましては,大臣談話でも申し上げたように,平和裡に解決されることを望み,そして,当事者には是非,自制と責任を持って対応してもらいたいということ,そして,法の支配とウクライナの主権,そして,領土の一体性,こうしたものが尊重されるべきだ,こうしたことを申し上げてきましたが,ご質問の住民投票につきましては,領土の一体性という観点から懸念や憂慮を持ちながら注視をしているところです。

【日本テレビ 中村記者】日本政府として編入されるべきではないと,そういう理解でよろしいでしょうか。

【岸田外務大臣】領土の一体性という観点から見て,この事態については深い憂慮と懸念を持ちながら注視しているということです。

【日本テレビ 中村記者】こうした動きに関して,露側に対してEUですとか,米国ですとか制裁をするといような方針を決めていますけれども,日本政府の制裁に関する立場を教えていただけますか。

【岸田外務大臣】それにつきましては,今後のウクライナ情勢そのものの推移ですとか,各国の動き等も勘案しながら,我が国として適切に対応していくというのが現状の方針です。

【日本テレビ 中村記者】大臣ご自身,昨日,英,独の外相との電話会談をされましたけれども,米や露の外相との電話会談というのは,今後されるのでしょうか。

【岸田外務大臣】もちろん,調整中です。関係各国と連携をする,意思疎通を図る,これは大変重要な視点だと思っております。その中にあって,露,米こういった国との意思疎通も重要だと考えております。外相電話会談については,まだ調整中ということです。

【NHK 渡辺記者】最初の質問に関連するのですけれども,クリミア自治共和国の議会が露への編入を望むということを全会一致で議決しましたが,そういうある種,地元のそういった声,民意と言いましょうか,そういった声をどう評価するのでしょうか。領土の一体性はもちろん大事かもしれませんが,一方で自治共和国の議会が編入を望む決議をしていると,そういった状況を日本としてはどう評価するのでしょうか。

【岸田外務大臣】これはウクライナの主権の問題と領土の一体性の問題と絡んでくる問題ではないかと思っています。こうしたことは,主権や領土の一体性は尊重されなければなりません。そういった視点から今後,様々な動きが予定されていますので注視をしていきたいと思っています。

【産経新聞 水内記者】昨日,米のオバマ大統領が制裁を発動するという話になりましたけれども,そのことの受け止めと,あと日本政府として,そういう動きに連動していくのかということが一つ。もう一つは,大臣自身4月にラヴロフ外相とモスクワで会談するという約束になっていると思うのですが,それは現時点では変わりはないのか,改めてお伺いします。

【岸田外務大臣】米の制裁の動きについてですが,我が国方針は,そうした動き,そして,ウクライナ現地における動き,こうしたものを注視しながら適切に対応していく,現状ではそういう方針にあります。そして,私(大臣)の訪露をはじめとする予定については,現状では変更はありません。ただ,今後の推移については注意深く見ていきたいと思っています。

【共同通信 鳥成記者】昨夜,今後ウクライナへの支援を検討していくというお考えを示されましたけれども,どのような分野でどのくらいの規模の支援を現在検討されているか教えてください。

 

【岸田外務大臣】ウクライナの現状については,様々な課題がありますが,やはり一番大きな課題は,大変厳しい財政状況ではないかと思います。この財政につきましてはIMFの調査団が現地に入り調査を行うということを聞いております。IMFとウクライナとの協議に基づいて財政的な支援の具体的な額等もこれから明らかになってくると思います。  こうした動きを見ながら,我が国として具体的にどういった支援を行っていくのか,どういった規模の支援を行っていくのか,これが決まってくると考えています。いずれにしましても,こうした財政支援については,前向きに考えていきたいと思っています。
 こうした支援と合わせて,政治的な話し合いが行われることを期待しています。

【NHK 渡辺記者】今のウクライナの暫定政権のことですけれども,露側の主張だと暫定政権というのは憲法の根拠がないと,憲法に基づいてないと言っていますが,日本としては現時点での暫定政権というのはどう見ているのでしょうか。

【岸田外務大臣】暫定政権はウクライナの国内の動きによって成立した政権であると考えています。暫定政権,現状におけるウクライナの手続きにしたがって成立した政権だと承知をしております。

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