記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年2月28日(金曜日)8時08分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1) CEAPAD第2回閣僚会合

【岸田外務大臣】明1日にジャカルタで開催される「パレスチナ開発のための東アジア協力促進会合」のCEAPAD第2回閣僚会合に共同議長として出席をいたします。
中東和平交渉は大詰めです。「積極的平和主義」の下,日本主導でアジア諸国をパレスチナ支援に動員するCEAPADなどを通じ,中東和平の実現を後押ししてまいります。会合では新規支援を発表する予定にしています。
また,この機会に,ハムダッラー・パレスチナ自治政府首相やマルティ・インドネシア外相等と会談を行う予定にしております。

(2 )ザリーフ・イラン外相の来日

【岸田外務大臣】3月5日,イランからザリーフ外相が訪日し,日・イラン外相会談を実施いたします。
日本は,EU3+3とも協議を行いつつ,核問題についてイランに対して働きかけを実施しております。私もイランを訪問して働きかけを行いました。これからが交渉の本番だと考えています。イランへ働きかけを継続し,最終合意の形成・履行について役割を果たし,貢献していきたいと考えています。

日朝赤十字会談

【フジテレビ 山崎記者】昨日,日本と北朝鮮の赤十字による会談が3日瀋陽で行われるということが発表されましたけれども,これには日本の政府の方も同席されるということで,率直な受け止めと期待,見通しについてうかがえますか。

【岸田外務大臣】ご指摘の日朝赤十字会談につきましては,朝鮮赤十字側からの働きかけによりまして,戦後,北朝鮮に残された日本人の遺骨の問題,更には墓参の問題,こうした人道的な課題について話し合うということで,開催されるということになったと承知をしております。
 日本人の遺骨の問題,そして墓参の問題,こうした問題は戦後,残された重大な人権に関わる問題だと認識をしておりますので,こうした会談については,前向きにとらえたいと考えています。

【フジテレビ 山崎記者】過去の赤十字の会談では,政府間交渉につながったというケースもありますけれども,政府間交渉に向けた期待とか,見通しについてはどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】今回の会談では北朝鮮側からも政府の担当者が出席するということですので,日本側も外務省の担当課長が出席することになっています。ただ,それ以上のことは現時点では何も決まっておりません。

北朝鮮によるミサイル発射

【フジテレビ 山崎記者】その北朝鮮ですが,昨日,短距離ミサイルを4発発射したと韓国側が発表しましたけれども,これについて受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】こうした北朝鮮の動向については,従来からも情報収集につとめ,しっかりと動向について注視をしております。個別の案件については,インテリジェンスとの関係もありますので,説明することは控えたいとは存じますが,現時点で我が国の安全保障に直接影響が生じる,こういった事態には至っていないと認識をしています。そういった事態に至ったならば,即,国民の皆様方に説明をする努力はしたいと考えています。

日朝赤十字会談

【産経新聞 水内記者】北ですけれども,正式な日朝の政府間対話というのは,2012年の11月以来途絶えた形になっていますけれども,日本としても拉致事件を抱えている中で,それを再開することへの期待感というのは,大臣としてどのようなご認識でしょうか。

【岸田外務大臣】我が国の方針は従来と全く変わっておりません。核,ミサイル,拉致,こうした諸懸案を包括的に解決するべく,対話と圧力の方針の下に北朝鮮に働きかけを行っていくという方針,これは全く変わっておりません,是非,北朝鮮側に非核化を含め,具体的な前向きな対応を期待いたしますし,引き続きしっかりと働きかけを行っていかなければならないと考えています。

【NHK 渡辺記者】北朝鮮で張成澤氏が粛清されてから,各国が北朝鮮の動向を注目してきていると思うのですが,そういった意味で今回両外務省当局が接点を持つということは,何らかに意義があると思うのですが,情報が入りにくい状況で人が会うということについては,どう評価をされますか。

【岸田外務大臣】今回の会談について,外務省の担当課長が同席するということについては,先ほど説明させていただいたとおりです。あくまでも今回,日朝赤十字会談が行われる,人道的な課題について話し合うために行われることになった。北朝鮮側の担当者が出席するということであるから,我が方も外務省の担当者が出席するということであります。  現状,決まっているのはそれだけでありますので,その後はどのような会談が行われるのか等については,注視をしていきたいと思います。

【NHK 渡辺記者】なかなか行き来がない中で,こういった接点が持たれることをどう評価されるのでしょうか。

【岸田外務大臣】こうした会談が行われることについては,ここで取り上げられる人道的な課題,これは大変重要な課題であると考えておりますので,会談自体は前向きにとらえたいと思っています。ただ,現状ではそこまでしか決まっていないということです。

慰安婦追悼公園造成(韓国国会における決議採択)

【朝日新聞 菊地記者】韓国の国会が慰安婦の追悼公園を造るという決議を全会一致で採択したということですけれども,日本政府として,何らか対応するお考えはありますでしょうか。また,それに対する大臣のお考えをお聞かせいただけますか。

【岸田外務大臣】日本政府の慰安婦をはじめとする,いわゆる歴史問題に関する立場とか,今日までの対応や努力につきましては,従来から説明を続けて来たところであります。韓国側に理解を求めるべく努力を続けてきました。今回の決議等に関しましては,内容において一部,我が国の公式な謝罪がない等,我々の今日までの対応とは食い違う部分があります。そういったことについては残念であると考えています。

日中韓首脳会談

【共同通信 高木記者】日中韓の首脳会談について,まだ目処がたっていないのですが,現状から脱却するために具体的に何かされるおつもりはございますか。

【岸田外務大臣】おっしゃるように日中韓の首脳会談については,現状何もきまっておりません。ただ,こうした日本と中国,日本と韓国,こういった国々の関係,大切な隣国関係だと認識をしております。
 是非,実務協力等,様々な具体的な分野において意思疎通を図り,それを積み重ねることによって,高い政治のレベルの対話につなげていくべく引き続き努力をしていきたいと考えています。そういった働きかけは続けていきたいと考えています。

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