記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年2月25日(火曜日)9時20分 於:官邸エントランスホール)
日韓関係
【NHK 渡辺記者】韓国の朴槿恵大統領が就任して1年になりますが,この間の日韓関係,韓国の対日本の政策,それから,この1年間を振り返って,今後どうしていきたいと考えていらっしゃるか,そのあたりをお伺いしたいと思います。
【岸田外務大臣】日韓関係は言うまでもなく我が国にとって大切な隣国関係です。また,両国の安定は地域や国際社会の平和や安定につながる大切な関係であると思っています。そういった考えに基づいてこれまで両国の間の関係,民間交流,あるいは議員交流はもちろんですが,政府の間においても様々な実務的な協力関係を積み上げ,そして,両国の間で高い政治のレベルへの対話につなげていきたいということで努力を続けてきました。 ただ,今日まで両国政府間のトップの会談,首脳会談が実現できていないことは残念に思っています。大切な両国関係に鑑みて,是非,これからも粘り強く努力していきたいと考えています。
【NHK 渡辺記者】韓国側には,日本に対して,どのような姿勢で臨んでもらいたというか,何かこう向こうの姿勢について考えていらっしゃることは,ございますでしょうか。
【岸田外務大臣】やはり意思疎通,話し合いが重要だと考えています。様々なレベルにおける意思疎通が重要ですが,とりわけ高い政治のレベルでの対話が重要だと考えています。個別の問題はあり,難しい局面にあるのは事実ですが,だからこそ両国のトップはしっかりと話し合い意思疎通を図ることが重要なのではないかと考えています。
是非,韓国側にもこうした考えを受け入れていただければと考えています。
【TBS 井本記者】外相会談に向けて,岸田外相として努力をしたいということですが,対話のドアはオープンだと言っても応じてくれていないのが現状だと思うのですが,外相会談に向けてご自分で努力をすることというのはどんなことでしょうか。
【岸田外務大臣】自分(大臣)がというか,外務省,さらには政府一体となって,こうした対話の重要性を訴えていかなければならないと思いますし,そのための環境整備を行っていかなければならないと思っています。そのために様々な実務的な協力関係を積み上げることが重要だということで努力をしています。引き続き,こうした努力を粘り強く続けなければならないのではないか考えています。
【TBS 井本記者】具体的なスケジュール感,外相会談はいつまでに開ければいいとのお考えはありますでしょうか。
【岸田外務大臣】今のところ具体的なスケジュールは何も決まっていません。しかしスケジュールの決定は努力の積み重ねの結果だと思っています。これからも努力を続けたいと思います。
日中韓FTA交渉
【テレビ朝日 藤川記者】日中韓のFTAの交渉に関して,来月交渉再開という一部報道がありますけれども,そういった動きについては,どのように思われますか。
【岸田外務大臣】日中韓FTAについては議論が続けられていると認識をしています。これは,FTAそのものの内容をしっかり議論した上で必要な日程が決まっていくものだと認識をしております。
武器貿易条約
【朝日新聞 菊地記者】本日閣議決定した条約・協定のうち武器貿易条約についてお伺いしたいのですけれども,この条約は日本が主導して成立した経緯がありますけれども,これまでの日本の取り組みと条約の意義について,まずお伺いしたいのと,米,中,露とまだ批准の見通しが立っていませんけれども,大臣のお考えと,日本としてどのように説得,取り組んでいくのかということをあわせてお伺いします。
【岸田外務大臣】ご指摘の条約については,通常兵器の国際貿易において基準を作る,また兵器の不正取引を防止する,こういった内容を含むものであり,大きな意義ある条約であると認識しています。日本政府としましては,今日までも,この条約の成立に向けて主導的な役割を果たしてきました。是非,今後とも,その役割を果たし続けていきたいと考えています。そして,ご指摘のように,この条約成立に向けては多くの国々の署名,そして,締結が必要となってきます。我が国においても署名を行い,本日,閣議決定を行って国会の承認をいただけるべく努力をしていくわけですが,是非,我が国自身も,そうした手続きをしっかり進めていかなければならないと思いますし,あわせて今日まで主導的な役割を果たしてきた経緯にも鑑みて関係国にも,こうした手続きを進めるよう働きかけていくことが,日本の立場として求められているのではないかと考えています。
【朝日新聞 菊地記者】主な武器輸出国の米はじめ中,露がまだ見通しが立っていないという現状については,大臣はどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】今,各国それぞれ事情は様々だと思います。ただ,こうした条約の意義については国際社会において理解は進んでいると感じています。是非,その中で一つ一つ関係国に手続きを進めてもらうべく働きかけを続けていきたいと思っています。