記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成26年1月24日(金曜日)9時25分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-ハーグ条約の署名・受諾・公布の決定について

【岸田外務大臣】先ほどの閣議で,ハーグ条約の署名・受諾・公布が決定いたしました。これを受け,本日中にオランダ・ハーグで署名・受諾書を寄託し,本年4月1日に我が国について発効の予定になります。
 国際結婚・国際離婚が増加した現在,不法な子の連れ去りなどに対処する国際ルールであるハーグ条約の締結は我が国にとっても極めて重要だと考えています。外務省として,条約の適切な実施に取り組んでいきたいと考えています。

通常国会の開会

【日本テレビ 中村記者】本日から国会が始まりますけれども,外務大臣として,どのような課題があって,どのようなメッセージを発していきたいとお感じでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,この国会につきましては,経済問題中心に好循環実現国会と位置づけていると承知をしております。日本の国の経済中心に,日本の活力がしっかり確認されることは外交においても存在感を示す上で重要だと考えています。
 外務省としましても,経済外交等を展開するに当たりまして,この国会での議論は大変重要だと認識をしております。そして,外務省としてはこの国会に提出するべき法案,条約につきましては,まだ今現在では,最終的な調整,検討をしている段階ですが,是非しっかり吟味し,国会に審議をお願いした上で,丁寧に説明を申し上げ了解を得ていきたいと考えています。

バーンズ米国務副長官来日

【日本テレビ 中村記者】本日,バーンズ副長官とお会いされる予定だと思うのですけれども,その中で,どのようなお話をされたいのかということと,大臣ご自身が来月米国に行かれてケリー長官と会談をするというようなことも報じられておりますが,その事実関係についてお願いします。

【岸田外務大臣】バーンズ副長官の来日,そして,本日是非お会いさせていいただきたいと思っていますが,こうした要人往来,そして,意思疎通を図るということ,これは日米関係を引き続き重視し,そして,発展させていくために大変重要なことであると認識をしております。
 アジア太平洋地域の外交安全保障環境,不透明な中にありまして,引き続き,そしてより一層日米同盟の重要性は高まっていくと認識をしております。是非,安定したしっかりとした日米同盟を確認するためにも,本日の会談を重視しております。

【日本テレビ 中村記者】大臣ご自身が来月訪米されるというようなお話は。

【岸田外務大臣】訪米につきましては,昨年,確か私(大臣)は米国に4度ほど行っておりますので,こうした米国を訪問すること自体は大変重要だと思っておりますが,具体的な今年の訪米につきましては,今現在では,何も決まってはおりません。

【日本テレビ 中村記者】国会日程とかあると思うのですが,大臣ご自身のご希望としては,許せば行きたいということでしょうか。

【岸田外務大臣】こうした日米間の要人往来するといったこと,これは大変重要だと思っております。

核軍縮・不拡散政策スピーチ

【中国新聞 藤村記者】今週月曜日の長崎市での講演の反応について受け止めをお聞きしたいのですけれども,核兵器の使用について限定するよう宣言すべきだ,極限の状況を限定すべきだと宣言すべきだということについて,大臣は詳しい説明をしましたけれども,その後も参加者から,そういう発言をしないでいただきたいとか,また,被爆地から抗議の文書などが外務省に送られているようですけれども,その受け止めをお願いします。

【岸田外務大臣】今週,月曜日の長崎での私(大臣)の講演ですが,核軍縮,そして,不拡散について,おそらく外務大臣として,こうして体系的に我が国の政策について説明をしたということ,これは少なくとも最近ではないことではないかと思っております。私(大臣)自身としましても,外務大臣として初めて我が国の軍縮・不拡散につきまして体系的にお話をさせていただきました。
 この分野における議論,今年は4月にNPDIの外相会議が我が国で予定されております。こうした中にあって,基本的な議論に供するという意味でも重要であるというように思っております。
 我が国の外交政策につきましては,様々な具体的な点につきまして,様々な意見があることは承知をしています,しかし,我が国がこの分野におきまして,国際世論を主導していく,唯一の被爆国として議論をリードしていくために,我が国のこの分野における政策をしっかりと示しておくことは大変重要なことだと思っています。それを受けて,様々な意見があるということ,様々なお立場からいろいろな意見があるということ,これにつきましては,引き続き,謙虚に受け止めさせていただきまして,今後の議論に供させていただきたいと思っています。

【中国新聞 藤村記者】極限の状況というのは,大変抽象的な言い方なのですけれども,例えば核兵器の先制不使用というような具体的なものを提言としてステップアップさせていくようなお考えはあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】今申し上げましたように,我が国のこの分野における政策,そして,現状につきまして幅広く申し述べさせていただきました。様々な論点があります。また,我が国の取り組みとしましても,3つの阻止,3つの軍縮等,様々なものを提示させていただきました。その一つ一つについて,今ここで申し上げる時間はありませんが,大切なことは,全体を推し進めることによって国際世論を喚起していくことが重要だと思っています。一つ一つも大事でありますけれど,こうした我が国の取り組み全体を底上げすることによって国際世論をリードしていきたい,このように思っています。

日露関係

【北海道新聞 栗田記者】先日,ラヴロフ外相が記者会見で,第二次大戦の結果を受け入れること,認めることが双方の北方領土問題受け入れ可能な解決にとって,まず譲るべき第一歩だというように話しました。
 今月末に次官級協議も控えておりますが,ラヴロフ外相の発言についての大臣の見解,どのように対応していくかということをお聞かせください。

【岸田外務大臣】北方領土問題については,日本とロシアとの間で立場や考え方に隔たりがある事は事実であります。しかし,昨年来,日露関係につきましては4度の首脳会談をはじめ,様々な機会を通じまして意思疎通を図り,そして,全体を底上げすることによって北方領土問題についても,そして,平和条約問題につきましても弾みをつけていく,こうした考え方が確認をされています。
 直近には次官級協議も予定されています。また,昨年の2+2の際にも確認をされましたが,私(大臣)自身も春にもロシアを訪問させていただきたいとも考えています。
 今年も引き続きまして,様々な場を通じまして両国関係全体を底上げしていきたいと思いますし,そして,あわせて北方領土問題につきましても前進させていきたいと強く思っております。詳細につきましては,そうした会議等を通じまして努力をしていきたいと思っています。

【北海道新聞 栗田記者】第二次大戦の結果を受け止めるべきだというコメントについては,どのように思われますか。

【岸田外務大臣】ですから,こうした北方領土問題については,両国間において立場,考え方の違いはあるということは承知をしております。詳細につきましては,こうした会談を 通じまして確認し議論をしていきたいと思います。

総理の靖国参拝

【産経新聞 水内記者】先日,EUのアシュトン上級代表と大臣が会談されたときにも,総理が靖国を参拝をされた真意などをご説明されたというようなことも聞いたのですけれども,本日,バーンズ副長官が来られたときなどにも,ひょっとしたらそういうことが話題になるかと思うのですが。

【岸田外務大臣】EUのアシュトン上級代表とその話題は出たとは記憶しておりません。

【産経新聞 水内記者】今の靖国参拝の総理の真意など,そういうことというのは,大部国際社会の中でも浸透してきたというか,そういうような認識,大臣はありますでしょうか。

【岸田外務大臣】総理の真意につきましては,総理自身,そして,我々も含めて関係者が,それぞれの立場でそれぞれの機会において丁寧に説明をして来ております。引き続きまして,こういった説明につきましては,努力を続けたいと思っております。是非,理解されるべく引き続きしっかりと取り組んでいきたいと思います。

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