記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成26年1月17日(金曜日)10時05分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)岸田大臣のシリアに関する国際会議(「ジュネーブ2」)出席
【岸田外務大臣】1月22日にスイスのモントルーで開催される予定のシリアに関する国際会議(「ジュネーブ2」)に出席をする予定にしております。
シリア情勢の今後を左右する極めて重要な会議だと認識しています。我が国も,シリアと周辺国への人道支援に取り組み,事態の打開に向けた政治プロセスにも積極的に貢献することで,シリア情勢の改善と中東地域の安定につなげていきたいと考えております。
(2)アルジェリアでのテロ事件発生後1年
【岸田外務大臣】昨年1月の事件から昨日で1年が経過をいたしました。改めて犠牲者とご家族の皆様方に対しましてお悔やみを申し上げたいと存じます。
外務省は,事件を受けて「在留邦人及び在外企業の安全確保策」として,即応体制の強化,官民連携の強化,情報収集・発信能力の強化等に取り組んでまいりました。同時に打ち出した外交の3本柱,即ち,「国際テロ対策の強化」,「サヘル・北アフリカ・中東地域の安定化支援」,そして,3つ目として,「イスラム諸国・アラブ諸国との対話・交流の促進」について外交重点施策として取り組んでまいりました。特に,外国での日本人や企業活動の安全に直結する,官民集中セミナーの実施,あるいは,いわゆるERT,現地に迅速に赴く海外緊急展開チームの編成,それから,在留届制度の運用改善,更には海外安全に関する情報発信の改善・強化などの施策を実施してまいりました。
外務省は,一層の改善策・強化策を講じるべく,本年度補正予算,あるいは来年度予算におきましては,官民連携や即応体制強化のための新規予算を含む15億円等関連予算約293億円を計上しております。また,この機会に,在外公館に対し官民の連携及び情報共有の徹底,現地治安機関等との連携強化について再度指示をいたしました。
引き続き,情報収集能力・分析の強化や海外の日本人の皆様と進出企業の安全確保のための対策強化に向けて努力を継続していきたいと考えています。
日米関係(岸副大臣の訪米,谷内NSC局長の訪米)
【TBS 井本記者】岸副大臣が米国を訪問され,NSCの谷内局長も本日から米国などを歴訪されます。
大臣の言葉を借りれば,日米関係は地域の安定と平和に欠かせない最も重要な二国間関係であって,かつてなく日米同盟が強固だということですけれども,岸副大臣の報告をどのように受け,かつ,谷内さんにどのようなことを期待しますか。
【岸田外務大臣】岸副大臣とは,昨日,電話でこの話をし,報告を受けました。様々な米側の要人と会談,接触する中で,改めて日米同盟の重要性を確認し,今後とも日米同盟強化のために努力をしていく,こういった方針を確認している,こういった状況が報告されました。引き続き最後まで,こうした方針を確認するべく努力をしてもらいたいと思っています。
そして,谷内局長の訪米は,基本的には,この度NSCの局長に就任したということで挨拶を行い,そして,今後,密接に連携していくためにしっかりしたネットワークを作らなければいけない,こういった趣旨でコンタクトを行うということで訪米するということであります。しっかりとした,今後につながる訪米としてもらいたいと思います。
【TBS 井本記者】総理の靖国参拝は日米関係に影響を与えていないということでしょうか。
【岸田外務大臣】総理の靖国参拝につきましては,これまでも日米間,様々なルートを通じまして,総理の真意について説明をさせていただいております。今後も必要であれば丁寧に説明は続けたいと思いますが,岸副大臣の訪米の報告などを聞く中にあっては,日米とも,これから前向きに日米同盟の重要性を確認し,強化に向けて努力をしていく,こういった方針が確認をされていると認識をしております。是非,これからも,こうした日米同盟の重要性に鑑み,しっかり努力をしていきたいと考えています。
アントニオ猪木議員の訪朝
【TBS 井本記者】アントニオ猪木議員が北朝鮮から帰国されました。今回の訪朝で,古屋拉致担当相に来てほしいとか,いろいろ言っているのですが,それを外務省としては,どのように受け止めて,どのように対応されるおつもりでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,一議員の訪朝について,政府として直接コメントすることは控えたいと思いますが,いずれにしましても,政府としましては,拉致問題の解決なくして日朝間の国交正常化はありえないという基本方針の下に,今後とも拉致被害者の安全確保,そして即時帰国,そして拉致事件の真相解明,拉致実行犯の引き渡し,こういった点をしっかりと求めていきたいと考えています。
我が国の方針は変わってはおりません。
中国・海南省「中華人民共和国漁業法」実施規則の修正
【共同通信 高木記者】中国の海南省が南シナ海で操業する外国漁船に対しての漁業規制に乗り出して,米国,フィリピンなどは反発しています。これに対しての大臣の受け止め,外務省の対応をお願いします。
【岸田外務大臣】海南省においてそういった方針が発表されたことは,承知をしております。まずは実態をしっかり把握した上で,海洋の自由,航海の自由,こういったものに関わる問題であるならば,これは関係諸国ともしっかり連携しながら,中国に対してしっかりとしたメッセージを送っていかなければならないと考えております。そうした方針で臨んでいきたいと思います。
安倍総理大臣のソチ・オリンピック出席
【日本テレビ 中村記者】安倍総理は,ロシア側からソチ五輪の開会式に出席して欲しいと要請を受けていると思いますけれども,現在,状況はどうなっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】まだ,総理の日程については,現時点では確定はしておりません。今,まだ調整中ということです。
【日本テレビ 中村記者】北方領土の日に当たる2月7日に,そういったところに出席することはどうかと思うのですけれども,もし,仮に出席するとしたらどうでしょうか。
【岸田外務大臣】2月7日,北方領土の日の全国大会につきましては,毎年総理が出席をされておられます。この全国大会については,総理が出席するべく,今調整をしております。
【日本テレビ 中村記者】そういう時にソチ五輪の開会式に行くとしたらですけれども,,どのような影響があると思われますか。
【岸田外務大臣】まず,全国大会は,総理が出席することが大切なことだと思います。一方で,ソチ五輪への出席,これは日露関係全体を底上げすることによって,北方領土問題の議論においても,前向きな結果をもたらすことになると期待したいと思います。
【日本テレビ 中村記者】総理が訪問されるかどうかは,まだ調整中の段階でしょうか。
【岸田外務大臣】日程は,今調整中です。
岸田大臣のシリアに関する国際会議(「ジュネーブ2」)出席
【共同通信 高木記者】ジュネーブ2出席の件ですが,シリアに対する人道支援ということですけれども,日本としてはどのような国家戦略でシリアに支援を打ち出そうとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,ジュネーブ2につきましては,政治対話として大変重要な会議だと認識をしています。従来から申し上げてきたように,シリアは大変悲惨な状況が続いてます。一刻も早く暴力の停止か行われ,そして政治の対話が行われ,そして人道的な状況が改善される,これが大事だということを従来から申し上げてきました。その中にあっての政治対話,ジュネーブ2,大変重要な会議だと認識をしております。そして,我が国もこのジュネーブ2にあたりまして,国連事務総長から招聘を受けるということで,是非,私(大臣)も日程が許せば出席をさせていただきたいと考えております。
こうした政治対話がスタートすることは大変重要だと思いますが,先行きにつきましては,まだまだ多くの努力が必要ですし,見通しは不透明なものがあります。
我が国は従来から人道的な支援は続けてきました。ぜひ,そうした方向性の中で,我が国として何ができるのか,国際社会とも,しっかり協調しながら中東の平和と安定に大きな影響があるシリア問題について,しっかりと貢献をしていきたいと考えています。我が国の外交政策においても,大変重要な課題だと考えております。