記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年12月13日(金曜日)10時14分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)日・ASEAN特別首脳会議
【岸田外務大臣】本日より,日・ASEAN関係40周年を記念した日・ASEAN特別首脳会議を開催いたします。特別首脳会議では,日・ASEAN協力の未来を方向付ける中長期ビジョン,そして,地域,国際社会の諸問題に関する日・ASEAN協力等について議論を行う予定であり,様々な分野の日・ASEAN関係の一層の強化につなげていきたいと考えています。
(2)第3回日本・アラブ経済フォーラムの開催
【岸田外務大臣】16日から17日にかけまして,日本,アラブ連盟,および連盟加盟国約20カ国の関係閣僚と日アラブ双方の民間企業関係者の参加を得て,第3回日本・アラブ経済フォーラムを開催いたします。
日アラブ経済関係の強化について,幅広く意見交換を行うことを通じ,アラブ地域における日本の発言力を高め,日本の経済外交,特に資源外交の強化につなげたいと考えています。
(3)「岸田外務大臣と語る」の開催
【岸田外務大臣】諸般の事情が許せば,明年,1月20日(月)長崎大学との共催で長崎市において「外務大臣と語る」を開催します。
今回のテーマは「核軍縮・不拡散」です。私(大臣)は広島出身の外務大臣として,核軍縮には特に力を入れて取り組んでおります。就任一年の節目の機会に核軍縮・不拡散分野の外交政策について,国民の皆様の意見をお伺いしたいと考えています。
日・ASEAN特別首脳会議
【テレビ朝日 藤川記者】今,冒頭の発言の中にありました日・ASEANですけれども,ASEAN10カ国の中には,日本と友好関係や中国との友好関係,それぞれ濃淡ありますけれども,中国の防空識別圏設定の件につきましては,日・ASEANとしてどのようなメッセージを出していきたいとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】日・ASEAN関係については,今日までの様々な歩みを踏まえて,未来に向けたしっかりとしたメッセージを発信していきたいと思っています。ただ,個別,具体的にどんな内容を盛り込むかとか,どんな議論をするかというのは,首脳会談でもありますし,これから会議を行うわけですから,私(大臣)の立場から何か具体的なものを申し上げるのは控えさせていただきたいと存じます。是非,様々な分野にわたって率直な意見交換が首脳会談で行われて,未来に向けてしっかりとしたメッセージが発信されることを期待したいと思っています。
張成澤国防副委員長の処刑
【テレビ朝日 藤川記者】北朝鮮の張成澤氏が失脚のあと処刑されたということが発表されていますけれども,この件について受け止めと,今後の北朝鮮情勢,国際情勢に与える影響についてお聞かせください。
【岸田外務大臣】北朝鮮のこうした国内における動向については,たいへん大きな関心を持ち,引き続き情報収集に努めています。こうした北朝鮮の国内での動きが対外政策にどういった影響がでてくるか等,我が国としては大きな関心を持っています。 情報収集,分析には努めていますが,今の段階で,それについて具体的に申し上げるのは控えたいと存じます。引き続き注視していきます。
【テレビ朝日 藤川記者】国際的に関心の高い6者協議,そして日本として安倍政権として熱心に取り組んでいる拉致問題,こういったことについて,今回のこの件が,どういった影響を与えるとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】情報収集・分析には,しっかり努めたいと思いますが,少なくとも現時点で我が国の北朝鮮問題に対する基本的な立場,要は対話と圧力の下で日朝平壌宣言に基づいて拉致,核,ミサイル諸懸案を包括的に解決していく,こうした方針は変わってはおりません,基本的な方針は従来どおりであります。
バイデン米副大統領と安倍総理の電話会談
【テレビ朝日 藤川記者】昨夜,安倍総理と米国のバイデン副大統領との間で電話会談が行われましたけれども,改めて,電話会談について内容と日本政府としてどのように受け止めていらっしゃるかということをお願いします。
【岸田外務大臣】電話会談につきましては,まずバイデン副大統領の方から先日の訪日に当たっての歓待について謝意が表されました。あわせて我が国に続いて中国,韓国を訪問されたわけですが,その際の様々な情報につきまして共有をしていただいた。こういった内容でありました。我が国としましては,引き続き米国としっかり連携をし意思疎通を図りながら地域の安定や繁栄のために努力をしていきたいと考えています。
【テレビ朝日 藤川記者】TPPについても,改めて言及があったようですが。
【岸田外務大臣】TPPについても言及があり意見交換は行われたと聞いております。
【テレビ朝日 藤川記者】やはり会談された時のように農産品や自動車ということについてのお話があったのでしょうか。
【岸田外務大臣】TPPについて意見交換が行われましたが,詳細については先方との関係もありますので,控えさせていただきます。
中国の防空識別圏関連
【朝日新聞 菊地記者】中国の防空識別圏についてお伺いします。韓国政府も自国の国内の航空会社に対して,事前の飛行計画の提出を容認する考えを示しまして,これで米国と韓国と同じ対応になったわけですけれども,今後,日本政府としての対応に変化はありますでしょうか。
【岸田外務大臣】まず,飛行計画の提出については,米国も韓国も飛行計画を提出するように民間航空会社に指示を出したというようなことはないと承知をしております。そして,我が国の方針については従来どおりであります。変わりはありません。
【朝日新聞 菊地記者】そのことで,日本の航空会社は政府の求めに応じて自制している段階ですけれども,仮に不測の事態が起こった場合,日本政府としてどこまで国内航空会社に対応できるのか,大臣のお考えは。
【岸田外務大臣】我が国の民間航空機は自らの便数ですとか位置情報等,容易に識別が可能になるような必要な措置をとっております。双方向の無線通信ですとか,あるいは自動応答装置ですとか,こうして装備を持ち,いつでも通信ができる,連絡がとれる状況にあります。よって我が国の民間航空機が中国軍機に追尾される等,不測の事態は生じえないと考えていますし,これは発生してはならないことだと思っております。
中国側も,民間航空機の安全ということにつきましては,民間航空機の安全には影響を与えない旨,繰り返し言及しています。こうした不測の事態が発生することはありえないと思っていますし,そうした事態が発生してはならないと考えています。
【香港フェニックステレビ リー記者】中国の防空識別圏ですけれども,今回の日・ASEAN首脳会議ではなくて,日本政府としては,どのようにASEAN諸国と連携をしていく予定でしょうか。
【岸田外務大臣】今回の中国の防空識別圏につきましては,国際法上の一般原則であります公海上の飛行の自由,こうした原則を侵害する措置だと認識をしております。
これは,国際社会共通の懸念だと思っています。こういった点につきましては関係国としっかり意思疎通をはかり,そして連携し,そして対応していく,こうした努力はしていきたいと存じます。この点についてはASEAN諸国においても同じであると認識をしています。
日米地位協定
【NHK 渡辺記者】日米地位協定の改定作業が行われているという一部報道があるのですけれども,実際の問題として,今,どういう状況になっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】全くそういった事実はありません。我が国は,今日までも地位協定の改定は行っておりませんが,さまざまな努力を日米間で続けてきました。具体的に実質的に中身のある努力をこれからも続けていきたいと考えております。
張成澤国防副委員長の処刑
【NHK 渡辺記者】張成澤氏の処刑についてですけれども,一国のそれなりの立場にいた方が,ああいった形で,映像,写真も含めて公開されて処刑されてしまうという,一連の北朝鮮の対外的なPR,今回の状況を説明するこの方法とかについて,率直にどういうようにお考えになるでしょうか,感想も含めてお願いできますか。
【岸田外務大臣】北朝鮮の国内での動き,また,その意図等については,私(大臣)は確たるものはありませんが,引き続き大きな関心は持っております。
しっかり注視していきたいと思いますし,情報収集・分析には努めたいと思っております。