記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年11月29日(金曜日)8時42分 於:官邸エントランスホール)

中国による防空識別圏設定

【フジテレビ 山崎記者】中国の防空識別圏の問題ですけれども,自衛隊機は通常の活動をする一方で,中国としては依然撤回する様子はないという中で,今後外務省として具体的にどういう対応,措置を取られるか,お願いします。

【岸田外務大臣】今回の中国による空域の設定は,現状を一方的に変更し,また事態をエスカレートさせ,不足の事態を招きかねない危険なものだと認識をしております。中国側に対しましては,引き続き公海上空における飛行の自由を妨げるような措置の撤回を求めつつ,特に民間航空機の安全が確保されることは当然のことであり,また民間航空機に不当な義務を課すことがないよう求めていきたいと思います。
 そして,本件につきましては同盟国である米国とも緊密に連携,協議をしています。2日にはバイデン副大統領が訪日する予定になっていますが,その際にもこの案件は取り上げられることになると存じます。
 また,新しい動きとして昨28日ですが,EUも今回の事態に懸念を表明したと承知をしています。今後とも,地域の安定に関心を有する関係国,あるいはパートナーとしっかりと協力していきたいと考えています。
 政府としましては,引き続き中国による力を背景とした現状変更の試みには,我が国の領土,領海,領空は断固として守り抜くという決意で,毅然かつ冷静に対処していきたいと考えています。同時に対話のドアは常にオープンであるという態度は変わりません。逆にこういった時こそ対話が重要なのではないかと考えています。

バイデン米副大統領の来日

【産経新聞 水内記者】バイデン米副大統領の来日ですけれども,日本の後,中国,韓国を訪問されるという日程もありますけれども,改めて防空識別圏の問題で,どういうことを,この会談で期待されますか。

【岸田外務大臣】まずは,今回の中国の防空識別圏設定について我が国の考え方,そして実態をしっかり説明させていただかなければいけないと思っていますし,これまでも日米の間でしっかりと意思疎通を図り,協議をし連携をしてきました。それをしっかり確認をする,こういったことが行われるものと考えています。
 そうした我が国の考え方,それから我が国との連携を確認した上で,日本の後,中国,韓国に行かれると聞いております。各国の訪問の際にもしっかりと参考にしていただく,こういった点も重要なのではないかと思っています。

日韓関係

【朝日新聞 菊地記者】この件については,韓国とも具体的に協議するお考えがあるのかということと,尹炳世外相が,日韓関係について韓国側の努力も必要だという旨の発言をしておられますし,大臣は本日,夕方には日韓議連に参加されますけれども,今後の日韓関係について,大臣はどうお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】今回の案件のみならず韓国との対話は従来から重要であると,我が国の対話のドアはいつもオープンであるということをずっと申し上げ続けてきました。
 是非,様々な機会を通じて意思疎通を図っていくことは重要なことだと思いますし,そして,意思疎通のレベルをしっかり上げていくべく努力をしていきたいと思っております。

【NHK 渡辺記者】防空識別圏の関連で,偶発的な事態を避けるために中国側との何か協議というのでしょうか,そういったものを行うとか,何か話し合うという,そういう連絡する回路を作るという,そういった考えは今のところあるのでしょうか。

【岸田外務大臣】いまのところ,具体的な動きについては聞いてはおりませんが,先ほども申し上げたように,対話,こういった時だからこそ対話が重要だという姿勢が我が国の姿勢であります。是非,こうした基本的な姿勢はこれからもしっかり守っていきたいと思います。

在コンゴ民主共和国日本大使館事務所における火災

【NHK 渡辺記者】一部報道で,コンゴの日本大使館で火災があった件について,捜査当局の日本の警視庁の方で,放火と断定したという報道があるのですけれども,このことについての事実関係について,どういう報告が上がっているかお願いします。

【岸田外務大臣】この火災については,外務省において調査を行ってきております。そして,あわせて警察にも相談し警察でも捜査を進めていると承知をしております。外務省としましては,こうした警察の捜査にはしっかりと協力をしていきたいと思っていますが,現時点において相談の中身とか,あるいは捜査の状況を申し上げるのは,捜査そのものに影響しかねませんので,直接,具体的に申し上げるのは控えたいと存じます。捜査の行方をしっかりと注視していきたいと思っています。

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