記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年11月26日(火曜日)8時50分 於:官邸エントランスホール)
中国による防空識別圏設定
【テレビ朝日 藤川記者】中国が防空識別圏を設定した問題について,安保会議などを開かれまして,政府を対応を協議されたと思いますが,政府の方針について改めてお願いします。
【岸田外務大臣】安保会議の中身について,私(大臣)の方から中国の防空識別圏設定について,現状外務省の対応について説明をさせていただきましたが,内容につきましては官房長官から発表があると存じます。従来から出席者が内容を明らかにすることは控えさせていただいていると存じます。官房長官の方からお聞きいただきたいと存じます。
【テレビ朝日 藤川記者】今後の政府の対処方針についてお願いいたします。
【岸田外務大臣】まず政府としましては中国側から発表が行われてから後,様々な外交ルートを通じて懸念を表明し,そして,抗議を行い,そして,措置の撤回を求めてきました。そして,外務大臣談話も発表させていただきました。今後は,関係各国,あるいはパートナと連携をしていかなければならいと考えていますし,国際社会にもしっかりと理解を求めていかなければならない,このように思います。
外務省としては,そういった努力をしていくことを考えております。そして,中国の動向を見ながら,更なる対応が必要なのかどうか検討していきたいと思います。
【テレビ朝日 藤川記者】昨日は,ケネディ大使と電話会談をされましたけれども,今後また外務大臣自ら外国の方と連絡を取り合うご予定はありますでしょうか。
【岸田外務大臣】同盟国である米国とは,今後も緊密に連携をしていかなければと思っておりますし,意思疎通をしっかり図っていきたいと思っております。
あわせて,今回,東シナ海における現状変更が一方的に行われたということで,公海上の飛行の自由が脅かされている,こういった事態になっていると考えます。このことによって影響を受ける国,パートナーは多く存在すると考えています。こういった国ともしっかりと意思疎通を図っていかなければならないと思います。
【テレビ朝日 藤川記者】昨日の段階では斎木次官が程永華大使に抗議をしましたが,大臣自らが抗議を行われるお考えはありますでしょうか。
【岸田外務大臣】昨日は,斎木次官から程永華大使に抗議,そして,措置の撤回を申し入れました。あわせて,中国におきましても,木寺大使から中国外交部に対して,同様に申し入れを行いました。
今後,中国の動向等を見ながら必要であれば,更なる措置も検討していきたいと思っております。
【産経新聞 水内記者】飛行の自由に関して,日本航空と全日空がもう既に飛行計画書を中国側に出しているとした報道がありました。政府側としては,原則そういう必要はないという立場だと思うのですが,今後,どういうように対処されるのでしょうか。
【岸田外務大臣】23日に航空識別圏を中国が設定して以降,本邦航空会社が乗客の安全等を考慮して自らの判断で中国当局に飛行計画を提出していること,このこはまず承知をしています。ただ,昨日25日,国土交通省から本邦航空会社に対して,中国側の措置は我が国に対して何ら効力を有するものではなく,当該空域に飛行する飛行機について,これまでのルールどおりの運用を行っていくという政府の方針を伝えさせていただきました。
本邦航空会社は,乗客の安全を考慮しつつ,政府の方針,及び諸般の状況等を総合的に勘案し,各社にとって最善の判断をするものと理解をしております。
いずれにしましても,政府としましては,今回の措置の撤回を中国にしっかりと求めていきたい,今後も,求めていきたいと考えています。
【日本テレビ 中村記者】最善の判断をするものと思われるというのは,政府としては民間ですけれども,そういった届け出をやめて欲しいという意図だと考えてよろしいのでしょうか。
【岸田外務大臣】やはり,こうした中国の対応に対してしっかりとした意思を示すためにも,官民の連携は重要だと考えています。いずれにせよ,我が国の立場について,説明をさせていただきました。今後とも,民間航空会社ともしっかりと意思疎通を図っていきたいと思っています。
【香港フェニックステレビ リー記者】中国は撤回することを拒否しましたが,しかも中国の外交部のスポークスマンが民間の飛行機は対象にならない,影響しないということを昨日言明いたしました。反応はいかがですか。
【岸田外務大臣】中国の措置は発表されましたが,実際にどういった運用が行われるか,しっかり判断しなければなりませんし,いずれにせよ,こうした措置は,公海上の飛行の自由という国際法の観点からも,これは問題があると考えています。そして,こうした中国の措置に対しまして,米国,あるいは韓国,あるいは台湾など懸念を表明しています。こうした懸念を表明している国,あるいはパートナ-ともしっかりと連携していかなければならないと考えています。