記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年11月19日(火曜日)8時48分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)OPCWへの自衛官派遣提案
【岸田外務大臣】シリアの化学兵器については,現在,廃棄に向けた国際的な努力が行われており,我が国としても可能な限りの協力を行っていきます。
この観点から,OPCW,化学兵器禁止機関に対し,査察官としての勤務経験をもつ陸上自衛官3名を派遣する用意がある旨,本日表明をいたします。今後,OPCWがこの3名を実際に採用することを期待したいと思います。
今後の状況を注視しつつ,シリアの化学兵器の廃棄と査察を支援するための措置につき,引き続き検討していきます。
(2)フィリピン台風被害
【岸田外務大臣】本19日からタクロバン市に在フィリピン大使館の臨時事務所を設置し,邦人保護と被災者支援の連絡・調整の体制を強化いたします。
邦人の安否は,レイテ島とサマール島の計五州で在留届を出していた邦人133名のうち,無事が確認された邦人が昨日から11名増えて113名になりました。今後も全力で確認作業を継続いたします。
昨18日,医療チーム二次隊の派遣を決定いたしました。明20日に本邦を出発する予定になっています。活動中の一次隊と交代し,医療活動を継続する予定にしております。
OPCWへの自衛官派遣提案
【テレビ朝日 藤川記者】OPCWへの査察経験のある方の派遣ということですけれども,提案という言葉がありましたけれども,今後,具体的にどのような手順で決定に至るのでしょうか。
【岸田外務大臣】本日,3名を派遣する用意があるということを表明する,OPCW側に伝えるということになりますが,今後OPCWとして,この3名を採用する,今後の体制に組入れるかどうか,それを判断することになると思います。是非,この3名を実際に採用することを我々としては期待をしたいと思っています。
【テレビ朝日 藤川記者】向こうから,日本に対して要請があったというわけではないのでしょうか。
【岸田外務大臣】日本に対して,協力の期待があるということは承知をしております。そういった状況を受けて我が国としては3名を派遣する用意がある,これを本日,表明しようということになりました。
フィリピンにおける台風被害
【テレビ朝日 藤川記者】フィリピンなのですけれども,臨時の事務所を設置されるということですが,具体的にどういった働きを期待されてなのでしょうか。
【岸田外務大臣】臨時事務所には,在フィリピン大使館の大森公使を所長として,数名がその事務所に張り付くことになると思います。邦人保護活動,現地入りしている国際緊急援助隊による医療活動の支援,こういったことを臨時事務所において行うことになると思います。
【テレビ朝日 藤川記者】当初,タクロバン周辺では治安の悪化が非常に懸念されていて,現地入り等にも時間がかかりましたけれども,そういった状況は今改善されているのでしょうか。
【岸田外務大臣】治安につきましては,引き続き細心の注意を払っています。フィリピン政府に対しまして,こうした医療チームの安全については万全の期していただくよう,しっかりと要請をしてきましたし,これからもしていきたいと思います。
【NHK 渡辺記者】OPCWの件ですけれども,OPCWはこれまでの経験というか,技術を持った方というのを要求していると思うのですけれども,その観点からしまして,今回3名の方というのは,どういう観点から選ばれたというように言えるのでしょうか。
【岸田外務大臣】その3名は既に査察官としての勤務経験を持っています。そうした過去の経験等も踏まえて,是非,派遣させていただきたい,こういったことを本日表明したいと思っています。
中国・広州における邦人拘束(麻薬所持)
【フジテレビ 山﨑記者】先日,広州の方で,覚醒剤と見られる薬物違反容疑で拘束された稲沢市議ですが,その後,中国との当局間とのやりとり,新たに向こうからの何か情報提供みたいなものはあったのでしょうか。
【岸田外務大臣】現在,中国の司法当局によって公判の手続きが進められていると承知をしております。外務省としても,それから現地大使館等においても,邦人保護の観点から情報収集を行って来ましたし,領事面会も行いました。
引き続き,邦人保護の観点から,情報収集ですとか,領事面会ですとか,あるいは家族への連絡ですとか,こういった点は努めていかなければいけないと考えています。
日米関係
【産経新聞 水内記者】普天間の話なのですけれども,自民党の石破幹事長が沖縄県連に,県外移設の撤回を求めて,県連側が近々,回答を出すということになりましたけれども,その経緯について大臣自体はどのように思っていらっしゃいますでしょうか。
【岸田外務大臣】そういった動きがるということについては,私(大臣)も聞いてはおりますが,昨日,午前中,私(大臣)も沖縄県連の会長ほか幹部の皆様方とお会いをさせていただきました。県連のこれまでの考え方についてご説明をいただきましたが,私(大臣)の方からは,従来どおり日米合意に基づいて,沖縄の負担の軽減をしていきたいという,従来からの政府の方針について改めて説明をさせていただきました。
昨日,そういうやりとりが私(大臣)の立場においてはありました。今後の行方をしっかり見守っていきたいと思っています。
いずれにせよ,この問題については,政府・与党一丸となって対応すべき問題だと認識をしております。