記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年11月15日(金曜日)8時42分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)「攻めの地球温暖化外交戦略」の策定
【岸田外務大臣】地球温暖化対策推進本部におきまして,安倍総理より指示がありました「攻めの地球温暖化外交戦略-Actions for Cool Earth,」頭文字 A・C・Eをとりまして,ACEを策定し報告をいたしました。
この戦略は3つの柱から成ります。第一に気候変動対策への取組を加速化させる革新的技術の開発,第二に日本の技術の海外展開,第三に,2013年より3年間で官民合わせて1兆6000億円の途上国支援の資金コミットメントです。
今後,各国や民間企業など様々な関係者と連携して,地球温暖化対策に取り組んでいく考えであります。
(2)フィリピンの台風被害
【岸田外務大臣】今般のフィリピンの台風被害に関して,現地の状況は引き続き極めて厳しい状況です。我が国は,既に人,資金,物資等あらゆる面での支援を進めていますが,東日本大震災の時にフィリピンから差し伸べられた温かい支援に応えるためにも,今後も可能な限りの支援を行っていきたいと考えています。
このため,12日に発表した1000万ドルに加え,今般新たに2000万ドルの追加的な緊急無償資金協力を行うことを決定いたしました。また,日本がアジア開発銀行に設置している基金からも,2000万ドルの緊急無償支援を実施することを新たに決定いたしました。これまでの日本からの支援は総額で約52億円となった。一人でも多くの方々を救援できるよう,関係機関とも協力しつつ早急にこれらの支援を進めていきたいと考えています。
邦人の安否確認につきましては,レイテ島及びサマール島の在留邦人133名のうち,無事が確認された人が昨日より5名増えて54名となりました。在フィリピン大使館館員を被災地入りさせており,今後も全力で確認作業を継続していきます。
フィリピンの台風被害
【テレビ東京 山口記者】フィリピンですけれども,今,経済支援の話しがでましたけれども,日本政府として今,検討されている今後の活動支援,JICA,自衛隊の活動支援について,今の検討状況をお願いします。
【岸田外務大臣】既に国際緊急援助隊の医療チーム,JICAがコーディネートしたチームにつきましては現地入りをし,そして,被災地においても活動を始めております。そして,自衛隊の医療チーム等につきましても,既にフィリピン入りをし,その活動をするべく現地調査等を始めている,こういった状況であります。
現地の治安状況などをしっかり確認をしながら,こうした人的支援につきましても,しっかり拡充していきたいと考えております。自衛隊につきましては,今後とも更なる支援を検討していると承知をしおります。
ケネディ駐日米国大使の着任
【テレビ東京 山口記者】キャロライン・ケネディ新大使ですが,本日,来日されますが,日本政府として,大臣としてどのような期待をお持ちか,お願いします。
【岸田外務大臣】キャロライン・ケネディ新大使につきましては,各分野において日米関係を強化する,緊密化する,こういった意味で大変大きな活躍をご期待申し上げたいと思っています。大きな注目を集めておられることから,日米同盟,日米関係につきましても注目が集まるのではないか,こういったことも期待をいたします。
「攻めの地球温暖化外交戦略」の策定
【朝日新聞 菊地記者】冒頭で温室効果ガスの政府の目標の話しがありましたが,05年3,8%削減という指針がありますけれども,一方の90年と比べると増加しているというとらえ方もありますが,大臣としての見解をお願いします。
【岸田外務大臣】この数字については,現状における我が国の一つの目標数値であると認識をしています。なぜならば,今,我が国は今後のエネルギー政策を検討中ですし,我が国の今後のエネルギーバランスについても,まだ検討している最中ですので,このあたりの作業が続いている最中での数値であります。今後,我が国のエネルギー政策の調整,検討の結果によって,またこの数字についても考えていかなければいけない,こういったことになるのかと思います。ただ,国際社会において我が国の現状における対応を示すという意味はあるのではないかと思っております。
【NHK 新井記者】今回のCOPで3,8%減ということを表現されたと思うのですが,あえて国際社会の理解を得るために数字を持っていく必要があるのでしょうか。
【岸田外務大臣】我が国だけ,何も数字を出していないという状況の中で,我が国として現状の説明をするということは意味があるのではないかと思っています。そして,あわせて我が国は新しいエネルギー政策を進めている,エネルギーバランスについて今検討している,こういったことも説明しなければならないと思いますし,あわせて攻めの外交戦略,攻めの環境外交戦略ということで,我が国は国際社会において,どう貢献しいくのか,こういった部分においても我々は取りまとめたわけですから,これをしっかり国際社会に説明していく,こうしたものを全部あわせた上での,我が国が国際的に環境分野において,どう貢献していくのか,これを示していく,こういった姿勢は重要な事ではないかと認識しています。
中国・広州における邦人拘束(麻薬所持)
【テレビ東京 山口記者】中国で邦人が,麻薬所持か何かで,事実関係をお願いします。
【岸田外務大臣】在広州日本国総領事館からの報告によれば,現地時間10月31日夜,中国の広州の白雲国際空港において安全検査を受けていた邦人男性一名が覚醒剤と思われる違法薬物を所持していた容疑で刑事拘留されたということであります。本件事案については現在,現地公安当局により裁判に向け司法手続き中と承知をしております。