記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年11月5日(火曜日)8時43分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言
(1)核軍縮決議の採択
【岸田外務大臣】11月5日1時20分,NY時間4日11時20分ですが,我が国が提出した核軍縮決議案が採択されました。
この決議案は,賛成164という圧倒的多数の賛成で採択されました。我が国は1994年以降同様の決議を提出してきたが,共同提案国が100を超えるのは今回が初めてです。今後,12月初旬に国連総会本会議で票決の予定になっています。
この決議案には,2010年5月のNPT運用検討会議における合意事項の着実な実施,そして,核兵器使用による人道上の壊滅的な結末への言及,そして,本年2月の北朝鮮による核実験に対する強い非難等の内容が含まれており,我が国として「核兵器のない世界」の実現に向けた国際的機運をさらに高めることに貢献するものだと考えています。
我が国は,このような取組等を引き続き積極的に行っていくことを通じて,「核兵器のない世界」の実現に向け,国際社会の取組を主導していく考えでいます。
(2)バイデン米副大統領の来日
【岸田外務大臣】12月2日から4日まで,バイデン米副大統領が来日いたします。
バイデン副大統領は,滞在中,安倍総理への表敬を行うほか,日本側関係者との間で日米関係やアジア太平洋地域情勢等について意見交換を行う予定にしています。
日中韓協議
【日本テレビ 中村記者】日本と中国,韓国の次官級協議がソウルで今週行われるようですけれども,今,韓国が議長国で,今年もあと,2ヶ月弱ですけれども,首脳会議が開かれる見通しというのはいかがでしょうか。
【岸田外務大臣】首脳会議が開かれる予定は,まだ何も決まっておりません。
【日本テレビ 中村記者】朴槿恵大統領が外国のメディアに対して,日本の歴史問題,特に従軍慰安婦のことだと思うのですけれども,その認識が変わらない限りは首脳会談をしなくてもいいというような趣旨のご発言をされていますけれども,いかがでしょうか。
【岸田外務大臣】報道は承知しております。この慰安婦問題に考え方についての我が国の立場考え方については,これまでも様々な形で説明をしてきています。立場,あるいは我が国の努力,こういったものについて,丁寧に丁寧に説明を続けてきたわけですが,まだ現時点で,そうした懸念が表明されていることは大変残念なことだと思っております。
引き続き,しっかりと説明を続けていきたいと考えております。
【日本テレビ 中村記者】従軍慰安婦に関しては,歴代政府の立場を踏襲するというのが政府のスタンスだと思うのですけれども,ここには「河野談話」というのが含まれているというご認識でしょうか。
【岸田外務大臣】すべての歴代政府の立場を踏襲しているというのが,安倍内閣の立場です。
6者協議
【日本テレビ 中村記者】日米韓で,6者協議が今,担当者のアジア局長などが米国に出張されていると思うのですが,中国側も再開に向けて活発な動きをしているというように報じられていますけれども,この6者協議に向けての日本政府のスタンスというのを教えていただけますでしょうか。
【岸田外務大臣】6日に行われるのは,日米韓の首席代表者の会合ですが,そういった会議が予定をされています。我が国としては,北朝鮮に対して,これまでの国連決議,あるいは6者会合における決定を誠実に履行するべく,しっかり働きかけていかなければならないと考えています。
6者会合は,もちろん有効な枠組みだと思いますが,北朝鮮が非核化に向けて真摯な態度を示すことが,まず重要だと考えています。
【日本テレビ 中村記者】現状ですと,北朝鮮が具体的な行動といいますか,真摯な態度を取っているというようにお思いでしょうか。
【岸田外務大臣】現状を見て,真摯な態度が必要だと我々は考えています。
【日本テレビ 中村記者】現状はそうじゃない状況だというご認識ということでしょうか。
【岸田外務大臣】是非,具体的な真摯な態度を示してもらわなければならないと考えています。
米国による盗聴疑惑
【産経新聞 水内記者】米国の盗聴疑惑ですけれども,あの後もまた日本が盗聴されていたという報道がありましたけれども,その事実確認と日本側として根本的に盗聴を防ぐためのセキュリティをどういうことを今しているかということをお願いします。
【岸田外務大臣】報道は承知しています。報道を前提としてコメントすることは控えたいと思いますが,日米間においては,引き続き意思疎通を,これまで図ってきましたし,これからもしっかり図っていきたいと存じます。本件につきましても,日米間の意思疎通をしっかり図っていき,我が国として実態を把握していかなければならないと思っています。そして,実態把握と併せて,ご指摘のように我が国として情報保全のためにしっかりと努力をしていかなければならない,こうした大きな課題があります。
様々な技術の進歩等,現状を踏まえて我が国としてやるべき情報保全の努力をしっかりと行っていきたいと存じます。具体的に何をするかということについては,ことがらの性質上,控えさせていただきます。
【NHK 渡辺記者】今の盗聴の関連ですが,秘密保護法案が今議論されていますけれども,その法案との関わりをどう考えていらっしゃいますでしょうか。情報が盗聴されているということと,政府として出さないという情報を今線引きをいろいろされていると思うのですけれども,政府の方がそういうようにやっているという問題だと思うのですけれども。
【岸田外務大臣】何よりも,我が国自体の情報管理・情報保全を徹底するということは我が国自身の信頼を高めるということにつながるわけですし,このことは我が国が様々な国々と情報を共有するにあたって,質においても量においても幅を広げることになるのではないかと考えてはいます。