記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年10月25日(金曜日)9時52分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

(1)太平洋・島サミット第2回中間閣僚会合

【岸田外務大臣】明日26日(土曜日)から27日(日曜日)に,東京と仙台で太平洋・島サミット第2回中間閣僚会合を開催いたします。私とムラー・マーシャル諸島外相が共同議長を務めることになります。
 今回の中間閣僚会合では,昨年の第6回太平洋・島サミットの成果の進捗を確認し,2015年に開催予定の次回サミットに向けた議論を行う予定です。具体的には,海洋を巡る諸課題,貿易・投資・観光の促進や地域情勢等について意見交換を行います。日本と太平洋島嶼国は,島国として太平洋に囲まれた「共に働く仲間」です。自然災害や気候変動等の地域の共通課題解決と,太平洋島嶼地域の発展と域内の連帯の強化に共に貢献していく方策を打ち出す考えです。

(2)アシュトン欧州委員会外務・安全保障上級代表の来日

【岸田外務大臣】EUのキャサリン・アシュトン上級代表と週明け28日(月曜日)に会談を行います。
 11月に予定されている,日・EU定期会議に向けた準備の一環として,国際社会の安定と繁栄の実現に向けた日・EUの協力のあり方やシリア,イラン等の中東情勢等について幅広く意見交換を行う予定です。

太平洋・島サミット第2回中間閣僚会合

【TBS 井本記者】太平洋・島サミットに向けて,総理も開催地について被災地で行いたい等の発言をされていますが,候補地等について,今のところ,どのようなお考えがおありでしょうか。

【岸田外務大臣】候補地等につきましては,それぞれの候補地からの要望等を受けて,政府としても様々な観点から検討して参りました。今,最終調整の段階に入っています。その上で,中間閣僚会合の場で正式に発表したいと思っています。

米国による盗聴疑惑

【TBS 井本記者】メルケル首相の電話を米側が盗聴していたとして抗議する異例の事態となっておりますけれども,この件についての外務大臣としてのご所見とEU首脳会議で,このことが主要な議題として扱われそうですが,来週,アシュトン氏に会った場合,そういったことも話し合われるのでしょうか。

【岸田外務大臣】情報収集活動につきましては,平素から様々な形で各国とやりとりをしております。その中身については詳細を明らかにするのは控えさせていただきたいと思いますが,一般論として申し上げれば,公館等に対する情報収集活動は,こうした使節団等の通信の自由・秘密を保障している外交関係に関するウィーン条約の観点といった点から問題はある,このようには思っております。あくまでも,一般論では,そういうことだと考えています。

特定秘密保護法案

【NHK 徳橋記者】本日の閣議で,特定秘密保護法案が閣議決定されたと思いますが,この法案について,特に外交上の観点からどのような重要性があるというように,大臣の見解を改めてお願いします。

【岸田外務大臣】我が国を巡る外交環境,大変厳しいものがあると考えています。アジア太平洋地域の戦略環境を考えます時に,厳しい状況を痛感していますが,こうした環境の中で,やはり情報の共有というのは大変重要になってきます。より関係各国と情報を共有し,しっかりとした情報を我が国として把握する,こういったことの大切さは強く感じるところです。そうした情報を共有する際にあたって,各国との信頼関係というものが,しっかり基盤としてなければならないと思います。
 こうした信頼関係に基づく情報共有を行う上で,今回の法案は意味があると私(大臣)は思っております。

【東京新聞 中根記者】そういう外交的な,機密的なところで,各国との情報共有出来るメリットはあるというご主張の一方で,情報公開の面で政府の方が,国民にとって本当は知るべき情報なのに恣意的に不都合な情報を特定秘密に指定して非公開になってしまうという懸念も出ているのですが,その点についてはどういうご所見でしょうか。

【岸田外務大臣】国民の知る権利,さらには報道の自由,こうした権利は大変重要な権利だと認識をしております。法案自体につきましては,ただいま,申し上げたような意味で重要だと認識はしておりますが,国民の大切な権利との兼ね合いについて,しっかりとした法案であるよう,運用等も含めて取り扱っていかなければならないと思っています。

領土保全に関する発信資料

【共同通信 武井記者】外務省がホームページに載せた竹島に関するビデオですけれども,ビデオの中で竹島は韓国に不法に占拠されているという日本政府の立場を示しておられますけれども,大臣ご自身が竹島は不法占拠されているとのお考えを持っておられるかということと,もう一点,韓国政府が削除を求めておりますけれども,これに対する対応というのは何かお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】動画の中身につきましては,我が国の立場をしっかりと説明した内容だと認識をしております。各国から様々な反応がでていますが,こうした動画の中において説明している我が国の立場は今後とも各国に対して,しっかりと説明して行く,丁寧に説明していく,これに尽きると思います。

【日本テレビ 中村記者】北方領土に関して掲載する方針は。

【岸田外務大臣】今後,今掲載している動画につきましても使用言語を増やしていくなど拡充する予定になっています。そして,これはテーマを限ったものではありません。今後とも我が国の立場を国際社会にしっかり説明していく上で必要な課題,あるいはその内容については今後も拡充するよう検討はしていきたいと思っています。

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