記者会見
岸田外務大臣会見記録
(平成25年10月22日(火曜日)8時44分 於:官邸エントランスホール)
冒頭発言-核兵器の人道的結末に関する共同ステートメントについて
【岸田外務大臣】10月22日6時20分(ニューヨーク時間21日17時20分),国連総会第一委員会において,我が国を含む117か国を代表してニュージーランドが,「核兵器の人道的結末」に関する共同ステートメントを行いました。
本ステートメントは,核兵器に関する人類の願望から発想されたものであり,この問題に対する政治的意志を示すものです。同ステートメント全体の趣旨が,我が国の安全保障政策や核軍縮アプローチとも整合的な内容に修正されたことを踏まえ,今般,同ステートメントに参加することとしました。
特に,本ステートメントにおいて,核兵器による壊滅的な結末が,人類の生存,環境,社会・経済的な発展,経済,将来世代の健康に深く影響すること,核兵器による壊滅的な結末への意識が,核軍縮に向けた全てのアプローチ及び努力を支えなければならないと堅く信じることが述べられており,この考えを,唯一の戦争被爆国であり,核兵器使用の悲惨さを最もよく知る我が国として支持するものです。
我が国として,核兵器使用の悲惨さを国と世代を超えて語り継いでいく取組等を通じ,「核兵器のない世界」の実現に向け,引き続き国際社会の取組を主導していく考えです。
核兵器の人道的結末に関する共同ステートメント
【テレビ朝日 藤川記者】今回の共同声明の中には,いかなる状況においても核兵器が二度と使用されないことが人類の生存そのものにとって利益であるという文言が盛り込まれていますが,これは米の核の傘の下という状況の日本の安全保障政策との矛盾点はないのでしょうか。
【岸田外務大臣】ご指摘の文書と併せて今回のステートメントには,全ての核軍縮に向けたアプローチ,これを認める,こうした文書が盛り込まれています。
全体を精査した結果,我が国の現実的かつ漸進的な核軍縮に向けてのアプローチ,安全保障政策とも整合性があると判断をして,今回,参加を決めた,こういったことです。
【テレビ朝日 藤川記者】では,今まで署名をしてこられなかったかつての声明案とそこについて大きく違うとお考えですか。
【岸田外務大臣】今回,関係国ともよく話し合い,そして,ステートメント自体もいくつかの重要な修正が行われ,そういったことを確認した上で,今回共同ステートメントの参加を決断したということです。
国家安全保障戦略原案
【テレビ朝日 藤川記者】昨日,国家安全保障戦略の原案がまとめられましたけれども,その中に武器輸出三原則の見直しということが盛り込まれています。この点について,大臣はどのようにお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】昨日,国家安全保障戦略の有識者の皆さま方のご意見,そして,その概略を承らせていただきました。それぞれ,大変有意義な良い事をしていただいたと感じています。今後,国家安全保障戦略そのものは,これを参考にしながら政府として決定していくことになると承知をしております。
【テレビ朝日 藤川記者】武器輸出三原則の見直しという点についてはどうでしょうか。
【岸田外務大臣】こういったご指摘も参考にさせていただきながら,政府として最終的な戦略をまとめていくことになると思います。
【テレビ朝日 藤川記者】周辺諸国,中国,韓国を中心にそういったアジアの国々の懸念とかには,どのように対応するのでしょうか。
【岸田外務大臣】こうした国家安全保障戦略を含めて,安倍総理が訴えている積極的平和主義については,関係各国にしっかりと説明をし始めておりますし,いくつかの国からは歓迎や支持もいただいております。今後とも,周辺国,関係国に対して,しっかりとしたこうした我が国の安全保障政策の内容について説明する努力は続けていかなければいけないと思っています。
【朝日新聞 菊池記者】核問題について国際社会で主導的に取組むということですけれども,現在イランで進められている核協議について,日本としてどのように関与されていくお考えか,お願いします。
【岸田外務大臣】イランに対しては,従来から対話と圧力の方針の下に関係国とも連携しながら対応してきた次第ですが,元々,イランと日本,歴史的な友好関係が存在いたします。こうした関係もあり,先の国連総会の際に,日・イランの間で首脳会談も行い,外相会談も行い,そして,是非柔軟性を示すべきであると,対話を行い,そして,具体的な行動でそれを示すべきであると,こうした働きかけを行ったということです。
是非,今後も我が国として国際社会と連携しながら働きかけを続けていきたいとは考えています。