記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成25年10月18日(金曜日)9時38分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言-核兵器の人道的影響に関する共同ステートメント

【岸田外務大臣】先週私から日本として参加する旨発表した核兵器の人道的影響に関する共同ステートメントについて,昨17日,本ステートメントの取りまとめを行ったニュージーランドのマレー・マカリー外相と電話会談を行い,私から,マカリー外相の指導の下,ニュージーランドのリーダーシップにより,日本の立場からも支持し得る内容のステートメントとなったことにつきまして謝意を伝えさせていただきました。
 マカリー外相からは,本ステートメントが日本にとって重要であることをニュージーランドとしてもよく理解しており,今後も「戦略的協力パートナー」として本件の重要性を国際社会に示していきたいとの発言がありました。
 このステートメンは近く発出される見込みであると承知をしております。日本は唯一の戦争被爆国であり,核兵器使用の悲惨さを最もよく知る国として,これまでも広島と長崎の惨禍を国際社会に伝える努力を積み重ねて参りました。今後ともニュージーランドや関係各国とも協力し,核兵器使用の実相を国と世代を超えて語り継いでいく取組等を通じて,「核兵器のない世界」の実現に向け,引き続き国際社会の取組を主導していく考えであります。

秋の例大祭における靖国神社参拝

【NHK 渡辺記者】安倍総理大臣が靖国神社の真榊を奉納されましたけれども,こうした閣僚の参拝ではございませんが,こういった行動につきまして,どう考えていらっしゃいますでしょうか。

【岸田外務大臣】国の内外を問わず,国のために尊い命を犠牲にされた方々に対し冥福をお祈りし,そして,尊崇の念を表すること,これは当然のことと考えております。そして,総理の真榊の奉納につきましては,私人としての行動であり,政府として見解を申し上げる事柄ではないと認識をしております。

【NHK 渡辺記者】これに関して,韓国の外相を含めて,前と同じような批判がでております。この受け止めどうでしょうか。

【岸田外務大臣】今申し上げたように,私人としての行動であり,政府としてそれについて申し上げるものではないと思いますが,同時に中国,韓国,こういった国々は我が国にとりまして大切な隣国であり,こうした靖国の問題等を二国間関係全体に影響を及ぼさないようにしていくべきだと我々は思っております。
 是非,大局的な見地から,しっかりとこの二国間関係について推進,強化していきたいと考えております。

積極的平和主義

【共同通信 渡辺記者】安倍総理が外交の基本的理念として掲げた積極的平和主義について,中国や韓国からは,日本の再軍備に向けた動きだという批判の声も上がっています。 この積極的平和主義の具体的内容や意味について,中国や韓国に対して説明はしていらっしゃるのでしょうか。

【岸田外務大臣】中国,韓国をはじめ,国際社会,そして,多くの国々に対して我が国の安全保障政策については,様々な機会をとらえて説明をし続けております。
 積極的平和主義というのは,我が国としましても国際社会,あるいは地域の平和と安定のために積極的に貢献していきたいという思いを述べているものであります。そして,様々な対応につきましても国際法の範囲内で各国が行っているこうした行動の中で,日本としてどこまで対応していくのかということであり,平和国家としての根幹,これは全く不変であるということ,こういったことについて今後もしっかりと説明していきたいと考えております。

慰安婦問題

【朝日新聞 菊池記者】先日の産経新聞の報道で,元慰安婦への調査がずさんだったとして,河野談話の見直しにつながるのではないかという報道がありましたが,大臣のご所見と調査内容を公表するかどうかということについてのお考えをお聞かせください。

【岸田外務大臣】報道内容について,直接コメントすることは控えさせていただきます。この調査については,当時日本政府として聞き取り調査,そして,政府文書の包括的な調査等が行われたと承知をしております。
 いずれにしましても,安倍内閣として,この慰安婦問題について,筆舌に尽くしがたいつらい思いをされた方々のことを思い,総理も心を痛めておられます。この思いは歴代内閣,あるいは歴代総理と変わらないと考えております。こうしたことを政治問題化,あるいは外交問題化させるべきではないと考えております。

秘密保護法案

【テレビ朝日 藤川記者】この国会に出されます秘密保護法案の件なのですが,先般の2+2でも話題になったかと思うのですが,米からどのような要望があってこの法案の重要性ということを考えていらっしゃるかということと,日米の協力においてのこの法案の重要性について教えていただけますか。

【岸田外務大臣】先般の2+2でも我が国の安全保障政策,そして,我が国が安全保障政策において行おうとしていること,こういったことについては基本的に米側からも支持をいただいた,こういったことであります。そうした安全保障政策の中の一つとしてご指摘の法案もあります。しっかりとした信頼関係を関係各国と作っていく,そして,我が国の安全保障政策を進めていく,その中の一つの重要法案であると認識をしております。

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