記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和3年1月27日(水曜日)15時47分 於:本省会見室)

日米外相電話会談

【NHK 山本記者】今朝の日米の外相電話会談ですけれども、ブリンケンさんが就任されて本当にすぐだったと思うんですけれども、米国側から「すぐやりましょう」という話だったのでしょうか。それと、茂木大臣の訪米の話が出ていましたけれども、具体的にいつ頃とか、いつまでにとか、そういった時期的な話も出ていたんでしょうか。2点お願いします。

【吉田外務報道官】今朝は皆さんにも、急遽ご連絡を差し上げて、朝早くから、ぶら下がりということでお集まりいただきましたけれども、まさにそういうことにありましたように、ブリンケン長官の米国上院での承認が行われて、その承認から時間をおかず行われたということで、そういう次第になったわけですが、今回の電話会談そのものは、そういったプロセス以前から、日米間で、承認されたらすぐやりましょうという形で調整をさせていただいておりましたので、今回の上院での本会議での承認が決まって直ちに実施するということで、双方の連絡が整ったという次第です。
 今後の茂木大臣の訪米については、コロナの感染状況等を見ながら、できる限り早期に調整しましょうということでやり取りがありましたけれども、今申し上げた内容ですので、今後具体的なことについては、調整していく形になります。

査証制限措置の厳格化

【NHK 渡辺記者】昨日の夜あたりから、いろいろツイッター上とかで結構話題になっておりまして、水際対策の関係ですが、「特段の事情」として、現時点でも入国が認められている外国人、日本人の配偶者の外国人の方の、ビザの発給が何か行われていないとか、ビザの発給が停止されているとか、そういったいろいろな情報が飛び交っていて話題になっているのですけれども、実際のところ、何らかのビザ発給条件の厳格化といったことが行われたのかどうか、そこを知りたいと思います。あと、いつからそのような措置が始まったのかというところです。

【吉田外務報道官】お尋ねいただきました査証の発給についてですが、まず順を追ってお話しいたしますと、緊急事態宣言期間中における査証の発給の在り方につきまして、政府による新型コロナウイルス感染症に関する水際対策、これを強化するという措置が、年末12月26日、それから年が明けてから1月13日に意思決定がされたということはご承知だろうと思います。
 外務省では、元々は昨年9月25日の新型コロナウイルス感染症対策本部の決定に基づいて許可されていた、全ての国・地域からの新規入国、それから今回の年が明けてからの措置の対象になっていました、個別の国との間の「ビジネストラック」、それから「レジデンストラック」の利用、こういったもののために査証の発給をやっていたのですが、これらの効力を水際対策強化に伴って緊急事態の解除宣言が発せられるまでの間停止し、新しい新たな査証の発給をしておりません。
 今お尋ねのあった、特段の事情の認められる外国人の方々への査証の発給についてですが、緊急事態解除の宣言が発せられるまでの間は、いわゆる特段の事情性、その期間に来日が本当に必要なのかどうか、ということの判断について、真に緊急で入国する必要がある方なのかどうか、個別の事情を慎重に検討することにしています。
 具体的には、例えば、親族の方が日本におられて、重篤な状態にあるということで、日本に来る必要がありますという人道上の配慮を必要とする場合ですとか、様々、公益性の観点からその方がその時期に来なければ、公益を害されるといったような事情があるような方、そういったものについては、個別の事情を踏まえて、例外的に入国をしていただく特段の事情があるということで、査証の発給は行うという方針です。
 今お尋ねのあった、いつからやっているのかということですが、これは基本的には査証業務の運用上の詳細、具体的な運用の仕方ということですが、日本時間の1月26日から実施をさせていただいています。

【NHK 渡辺記者】関連ですけれども、これまでは特段の事情ということは、日本人の配偶者とか永住者の配偶者といった場合は、その立場をもって特段の事情ということで認められたと思うんですけれども、それだけでは駄目で、そこから更に、本当に今来る必要があるのかと、そういったことも含めてビザを申請した場合の審査を厳しくしたという理解でよろしいのかということと、それはあくまでも新規に来る方ということでいいかという、その点お願いします。

【吉田外務報道官】今回の、そういった緊急事態宣言下における査証発給の運用の在り方につきましては、基本的にはまず査証の申請に来られた方に、要するに解除されるまでお待ちいただけないのかとまずお尋ねをして、できればちょっと先延ばしをしていただけないかというお話をさせていただくことになります。
 他方、それを待っていることができませんという方については、全てその事情について詳しいことをご説明いただいて、それを個別に判断させていただくということで、今現在、全体として新しい外国人の方に入国をご遠慮いただいている中での一環として、今回そのような運用をさせていただくということです。これは基本的には、新規に査証の申請をしてこられる方を念頭に置いたものです。

【NHK 渡辺記者】そうしますと、ネット上で、かなりいろいろ書かれているのを見ると、ビザの発給を停止したとか、そういった誤解というか間違った情報とか、個別に問い合わせした人が、いろいろ解釈して書いた情報が広がってしまっている状況があると思うんですけれども、外務省としては、ホームページ上にそれをきちんと載せるとかですね、あるいは法務省も関係するかもしれませんが、政府のどこかの機関の中で、そういった情報としてきちんと提示するということは考えていらっしゃるのでしょうか。

【吉田外務報道官】今申し上げたことにつきましては、基本的には特段の事情というのは元々特段の事情でありますので、ではその特段の事情にどういう方があるのかということを、カテゴリカルに明らかにしてきているということでは必ずしもない部分もありますので、状況に応じて、そのようなやり方をさせていただいている状況にあります。
 恐らく、特に日本人の配偶者であるとか、子であるといったような方で、新しく査証申請される方は、そんなに多くはないのかなと考えますので、どの程度そういったことをホームページ上でご説明させていただく必要があるのか、あるいは個別に査証申請の窓口でそういったお話をしていただいた方がより明確になるのか、そういった点は十分頭に入れながら、どのような形にするのがいいのかというのは、担当部局で検討していると思います。

日米外相電話会談

【朝日新聞 北見記者】日米外相電話会談に関連してお伺いいたします。その会談に関する、米国側国務省の発表したプレスリリースであったりとか、先日の日米の防衛相会談で、その後にオースティン氏がツイッターで呟いた内容で、それぞれFOIPという表現が使われているかと思います。政権が変わることによって、この名称がどうなるかという懸念も一部であったと思うんですけれども、現状、この状況で日本政府として、この表現を米国政府が使い続ける意思表示とみているのか、その受け止めをお願いします。

【吉田外務報道官】従前から、この「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」について、その表現の仕方についてご議論があって、この場でも何度かご質問いただいたかもしれません。
 今ご指摘あったように、本日の日米外相会談においては、ブリンケン国務長官との間で「自由で開かれたインド太平洋」の重要性についてやり取りがなされ、それが国務省の発表された報道発表において、言及されているということだと認識をしています。
 私どもとしては、このFOIPの構想であるとかビジョンにつきましては、米国側とは、これまでも幾度もやり取りをしてきていますので、その内容については、十分認識、ご理解をいただいていると、このように思っています。

米露の新START延長合意

【共同通信 浅田記者】先ほどの日米外相会談の訪米というのがあったんですけれども、総理のバイデン大統領との電話会談ですか、これがバイデン氏就任後ですね、隣国や欧州と既にもう実施していますが、同盟国では日本とはまだ実施されてませんと、調整の状況とですね、あと昨日、米国とロシアが電話会談、首脳電話会談をしています。これは新STARTという延長のこともあったと思うんですけれど、同盟国である日本より先にですね、ロシアと電話会談したこと、これについての受け止めを併せてお願いします。

【吉田外務報道官】首脳間の電話会談につきましては、バイデン大統領に政権発足の祝意を伝達する機会になるものと認識しておりまして、鋭意調整しています。調整されたら、また然るべく、電話会談については発表されることになると思います。
 お尋ねのありましたロシアとの電話会談についてですけれども、プーチン大統領との間で、懸案である新核兵器削減条約・新STARTの延長問題について議論をされたと認識をしております。既に、官房長官からも言及しておりますけれども、新STARTそのものは、核弾頭、その運搬手段の削減を規定した、核軍縮における重要な進展を示すものでありますし、米国とロシアの戦略的安定性に資するものでもあります。更に、本年8月に予定されているNPT運用検討会議に資する内容でもありますので、日本政府としてこれを歓迎をしております。そういった意味では非常に重要な電話首脳会談であったかと思います。
 どういう順番で、どういう国とやるかというのは、米国新政権のいろいろなご判断、あるいは日程上の諸事情ということで、そういうことになっているということだろうと思いますので、私どもとしては、日米間においても早期に電話会談が行われるだろうと、このように期待しております。
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