記者会見

吉田外務報道官会見記録

(令和2年12月23日(水曜日)15時47分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)英国からの入国者に対する水際対策措置の強化

【吉田外務報道官】冒頭、こちらの方から2点ご報告させていただきます。
 一つ目は、午前の官房長官の記者会見でも発表されましたけれども、英国における新型コロナの変異種に関連する水際措置の強化についてです。資料がお手元に渡っているかもしれませんので、ご確認いただきながら、お聞きいただければと思いますが、4点ございます。
 まず一点目ですが、現状、英国は入国拒否対象地域に指定されていますが、英国に過去14日以内に滞在歴がある外国人につきまして、人道上の配慮等、一部の例外を除いて、24日以降当分の間、新規入国が認められなくなります。これは、本年10月1日から認められている全世界からの新規入国に係る、日本側の措置の一時停止になるものです。
 二点目ですが、日本に居住する方の海外渡航についてです。11月1日から、滞在期間が7日以内であれば、防疫措置を確約できる受入企業・団体がいることを条件として、ビジネストラックと同様の待機緩和を認めてきましたが、この措置につきましても、過去14日以内に英国に滞在歴のある方につきましては、24日以降、当分の間、停止することにしました。帰国後の14日間の自宅待機等が必要になります。
 三点目ですが、これまで日本国籍保持者につきまして、滞在国出国前72時間以内に受けた検査の証明の提出を求めておりませんでした。しかし過去14日以内に英国に滞在歴のある方につきましては、27日以降、日本国籍保持者についても検疫所での事前検査証明の提出を求めることにしました。
 仮にこの事前検査証明が提出されない場合におきましては、空港検疫での検査が陰性判定であったとしても、自宅に帰宅することはできません。検疫所長が指定する施設で14日間の待機をしていただくことになります。英国に在留しておられる日本人の方々におかれては、この点十分ご注意をいただきたいと思います。英国からの家族や知人が帰国される方についても、皆様の方で周知にご協力いただけますとありがたいと思っています。
 また、日本人の帰国、及び在留資格保持者の再入国に当たっては、入国後14日間、これまでは求められておりませんでしたが、接触確認アプリのダウンロード、位置情報の記録もお願いすることになります。
 最後に、英国には現時点では感染症危険情報のレベル3が出ています。いくつかの入国の緩和措置は行われておりましたけれども、今、改めてレベル3が出ていること、これを十分ご留意いただきまして、日本への帰国、あるいは再入国を前提とするような、すなわち赴任のような、英国へ行きっぱなしになるような形ではない英国への短期渡航につきましては、当分の間、自粛していただきたいと思いますので、改めてご留意をお願いします。それが一点目です。

(2)山下真理氏の国連事務総長代表、国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIK)ベオグラード事務所長への任命

【吉田外務報道官】二点目は、全然違うトピックです。本日報道発表いたしましたが、国連のコソボ暫定行政ミッションのベオグラードの事務所長に日本人の方が指名されましたので、そのことについてご報告を申し上げます。
 12月23日付、現地時間では12月22日付になりますけれども、グテーレス国連事務総長が、山下真理(やました・まり)さんを、国連事務総長代表及び国連コソボ暫定行政ミッション・ベオグラード事務所長に指名されました。
 山下氏は、国連事務総長代表として、コソボの安定と人権尊重を促進する安保理決議1244号を履行するため、国連コソボ暫定行政ミッション(UNMIC)とセルビア政府との調整などを担当することになると承知しています。山下氏の今後のご活躍を心から祈念いたします。私からの報告は以上です。

英国からの入国者に対する水際対策措置の強化

【NHK 渡辺記者】今発表がございました、この水際対策の強化に関連なんですけれども、今回これ英国ということになっていますが、欧州域内の状況次第ではあると思うんですけど、現時点でどういうところまで、例えばこれが広がりそうと見ていらっしゃるのか、今後、場合によってはドーバー海峡でつながっている欧州本土の方に拡大した場合にも、こういう対応というのは随時取っていくことになるのか、その辺の、今どういうふうに構えているのかというのをちょっと知りたいと思いました。

【吉田外務報道官】今回の、英国で発表されたこの新型コロナウイルスの変異種に関しては、英国政府からは、この変異型のウイルスを発見して、必要な科学的な情報であるとか、分析についても併せて提供されているような状況を踏まえまして、今回英国を対象として水際措置をとった次第であります。その英国からの水際措置を強化することで、今後、その他の国、各国の感染状況、出入国管理等を見きわめながら、いくつかそういったものが発見されたというような報告や報道はありますが、まずは、国民の健康と命、これを最優先に、新型コロナウイルス感染症の日本国内での蔓延、これを防止する観点から、必要な水際対策は今後とも機動的に講じていきたいと、このように考えています。

【毎日新聞 田所記者】2点ありまして、今の英国の関連ですが、最初の冒頭発言の後半で、行きっぱなしの赴任ではなくて、日本から出張などで行って帰ってくるような人たちに特に注意してほしいということは、こういう会見での注意喚起だけではなくて、何らかのスポット情報じゃないですけど、特に呼びかけをするご予定があるのかということをお尋ねします。

【吉田外務報道官】もう一点は。何か2点あるとおっしゃいましたね。

【毎日新聞 田所記者】もう一点は、中露の軍機の識別圏の話を。

【吉田外務報道官】先ほど冒頭の発言の中で、感染症危険情報レベル3が出ているということを改めて再認識していただいて、日本へ帰ってくることを前提とした英国への渡航は、当然控えてほしいというお願いをさせていただいていますけれども、同様のことにつきましては、当然英国にあります在外公館、それから外務省の各種のホームページであるとか、そういった日本人の方に周知する手段を、最大限講じて、要請をしていきたいと思っています。機会あるごとに、こういったことはきちんとお伝えをするという姿勢で臨みたいと思っています。

日本海・東シナ海における露中共同飛行

【毎日新聞 田所記者】中露の軍機の識別圏の飛行、日本海・東シナ海上空の飛行についてですが、官房長官会見で、外交ルートで関心を中露に対して表明したと明らかにされていますけれども、報道によると、韓国などは遺憾の意の表明のようで、遺憾には至らない関心表明になった理由みたいなことを、可能な範囲で教えていただきたいのと、その外交ルートでの関心表明のタイミングとルートの詳細、もし可能な範囲で教えていただければと思います。

【吉田外務報道官】今、お尋ねのありました、中国とロシアの爆撃機、事実関係としては12月22日、中国の爆撃機4機、それからロシアの爆撃機2機が、日本海から東シナ海までの長距離を共同飛行したということを確認しています。今回の中国とロシアが、こういった飛行を行ったことにつきましては、高い関心を持って注視をしています。
 それで、中国側とロシア側に対しての関心表明についてお尋ねがございましたけれども、今般の事案を受けまして、中国側、それからロシア側に対して、即日、22日の夕刻に、東京におきまして、それぞれの所管の課長から大使館側に対して、関心の表明を行っています。
 これ、なぜ関心を表明に留まるのかというお尋ねがございましたけれども、これまでのところ、今回の飛行につきまして、国際法上、何か問題があるといったことではなかったということですし、日本の領海とか領空を侵犯しているといったことも確認されておりませんので、抗議ということではなくて、関心を表明したという形で、我々が今回のような飛行に対しては、非常に高い関心を持って注視していることを認識させるという形をとった次第であります。

【NHK 渡辺記者】今の質問の関連なんですけれども、ロシアの爆撃機と中国の爆撃機の共同飛行についてなんですが、国防省、ロシアのですね、発表を見ますと、第2回目の訓練と言ってるんですね。つまり第1回目は前回あったやつだと思うんですけど、前回、竹島上空を飛んで、問題になったのを第1回と位置づけてるみたいで、今回は第2回と言っているんですけども、その意味で、これはある種の、もう計画通りというか、事前にそういう映像取材班まで乗っけて編隊飛行したところを撮ったりとかですね、そういった意味で、その深刻さからいくとどうなんでしょうか、あらかじめ計画通りにやってる話なのか。その辺はどう見ていらっしゃるんでしょうか。何か、2回目っていう位置づけなので、シリーズでやっていってるかとかですね、何かその辺の分析にかかわってくると思いますけども。その辺の意図を含めて、どう見ていらっしゃるのか。

【吉田外務報道官】今、ご指摘のあったような、ロシア側の発表内容であるとか、発表に伴うそれぞれの行為、いろいろな行為につきましては、引き続き重大な関心を持って、情報収集、それからそういったものの分析を行っていきたいと思います。まだ、そういう意味では、今回行われて間がないこともありますので、現時点で何らかの分析が進んでいるということではないのかもしれませんけれども、いずれしましても、そういったことについては、引き続き継続的に見ていきたいと思っています。
 こういった問題につきましては、様々な諸外国との間で情報交換、意見交換するような機会もありますので、そういった中で意図の分析はしていきますけれども、そういったものについて、我々がこうだとか、ああだとかと言うべき性格のものではないだろうと思いますので、そのようにご理解いただければと思います。

英国からの入国者に対する水際対策措置の強化

【朝日新聞 北見記者】話を戻して恐縮ですが、英国の感染状況に関連してお伺いします。菅総理がですね、21日のテレビ番組で、英国から日本への入国状況について聞かれてですね、例えば日本人で英国に住んでいらっしゃる方は、1日1人か2人というふうにご発言をされました。これは、必ずしも正確ではないのではないかという指摘が出ていると思いますが、外務省として把握している入国状況に関して教えてください。あと、正確ではないという指摘に関しての受け止めを教えてください。

【吉田外務報道官】英国からの入国者については、確か午前中の記者会見で官房長官にもお尋ねがあったかと思います。基本的には入国者数の把握は、出入国管理庁の方で行われておりますので、外務省の方からお答えするのは適当ではないのですけれども、その時、長官もおっしゃったように、目安として言えば、例えば11月は1日平均約50名。うち日本人は約40名。それから12月は1日平均約150名、うち日本人が約140名となっていると伺っています。
 それから、今ご質問のあった、菅総理のご発言につきましても、確か午前中の会見で長官にご質問があったかと思いますけれども、長官の方から、その時にご説明があった内容以上のことは、私どもとしては承知をしておりません。

日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用

【朝日新聞 北見記者】別件で恐縮なんですけれども、先日のバイデン次期大統領との電話会談に関連してなんですが、尖閣諸島に対しては、日米安保条約5条の適用を、バイデンさんがおっしゃったことに関してですね、菅総理は講演等で、正直、想定もしていなかったというふうにご発言をされることが、ここ数日で2回ほどございました。
 この発言に関して、識者の中からですね、従来、これを表明してもらうために、入念な外交努力が行われてきたことを明示することは、対中抑止のメッセージングとしてマイナス効果があるというような批判が出ております。こうした批判への受け止めをお願いいたします。

【吉田外務報道官】菅総理が、番組でおっしゃったことについて、私は報道を通じて承知しておりますけれども、具体的に発言されているところを拝見したわけではありません。いずれにしましても、尖閣諸島に対する日米安保条約第5条の適用につきましては、これまでも、米国政府の大統領、それから国務長官から、そのような認識が表明されてきておりますし、私どもとしては、日本政府としては、この問題に対する米国政府のコミットメントを明確に示すものということで、大変高く評価をしています。
 有識者の方々から、そういった日米間のやり取り、あるいは日本の外交努力に対して評価をいただいているのは、大変ありがたいとは思いますけれども、そういったことについての発言がどういう影響を与えるかというのは、簡単には、一概には評価できないのかなと思いますし、政府としては引き続きこういった考え方を、米国との新政権との間で確認していくという形で、外交努力を継続していきたいというふうに思います。

ベラルーシにおける邦人の拘束

【NHK 渡辺記者】すみません。テーマ変わるんですけども、ちょっともう年も迫ってきましたが、依然としてベラルーシで拘束されている日本国籍保持者の方のですね、情報が全然入ってこないと、解放されたかどうかも分からないと。これは、今どういう状況なのか、健康状態とかだけじゃなくて、どういう交渉をして、日本としてですね、ルカシェンコ政権に対して、ルカシェンコ政権、国民からも結構反発されていますし、そういった中で、どういう交渉をされているのか。未だに身柄拘束されたままになっている状況について、今後、どういうふうに対応していかれるのか、その辺をちょっとお願いします。

【吉田外務報道官】度々お尋ねいただいている件と認識しておりますけれども、ベラルーシにおける拘束されている邦人の方、政府としては、邦人保護の観点から領事面会等、当局との間でも状況を確認するようなことは継続的にやっております。
 この方の状況が今後どうなるか、これはベラルーシ側の判断がどうなるかということにもよりますし、その中身については、やはりこの方の安全もありますので、対外的には言及するのは適切ではないかなと思います。
我々としては、この方が引き続き健康状態が万全であると、それから本人のご希望であるとか、そういったことについては、領事面会等を通じて、あるいはベラルーシ側とのやり取りを通じて、きちんとフォローしていきたいと思っております。
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