記者会見

丸山外務報道官会見記録

(平成29年10月11日(水曜日)16時33分 於:本省会見室)

冒頭発言

衆議院議員総選挙に伴う在外公館投票の実施

【丸山外務報道官】第48回衆議院議員総選挙の実施に伴い,本日から,在外公館投票が開始されています。
今回の在外公館投票は,1999年の制度導入から13回目となり,223の在外公館において実施されます。在外公館投票の締切日は,在外公館毎に定められており,最も投票期間が長い公館は16日まで実施します。
外務省及び在外公館は,海外在住邦人に対して,今次選挙に関する適切な情報を得られるよう,主要邦字紙衛星版あるいは現地邦字紙,ホームページ等を通じた広報に努めています。

ユネスコ関連

【朝日新聞 松井記者】今,パリでユネスコの執行委員会が開かれていますが,世界の記憶,いわゆるかつての記憶遺産ですけれども,これの制度改革について日本政府としてはどうあるべきだというふうにお考えか,政府の立場を教えてください。
 
【丸山外務報道官】制度改革と申しますか,ユネスコの世界遺産に係る諮問委員会,これが24日から27日まで開催されますが,そこで,議論が行われるわけですけれども,ここで議論される様々な事業が,加盟国間の友好と相互理解の促進,これはユネスコ設立の本来の趣旨と目的,これを推進するものとなるように我々としては取り組んできておりまして,こうした観点から関連の動向を見ながら適切に対応していくべきだと考えております。
 
【朝日新聞 松井記者】今回申請しているものの中には,例えば,慰安婦に関する資料ですとか,過去の南京のもののように若干,歴史的にいろんな立場がある政治的な案件も含まれていますが,慰安婦の資料については,日本政府としてはどのように見ていらっしゃるのでしょうか。
 
【丸山外務報道官】今回において,いろんな申請案件,審議される見込みだということを承知しています。その登録の可否については,国際諮問委員会の会合での審議を踏まえて,最終判断がなされるものと承知しています。その上で申し上げれば,登録申請,いろいろありますが,加盟国間の友好と相互理解の促進というユネスコ設立の本来の趣旨と目的にこういったものは反しかねないという認識を持っております。ご指摘の案件のことです。いずれにしても我が国としては,関連の動向を注視しながら適切に対応していきたいと考えております。

ノーベル平和賞

【朝日新聞 小野記者】先日,ノーベル平和賞ですね,核兵器禁止条約の署名に貢献したということでNGOのICANが受賞したんですけれども,これについての外務省の報道官談話が出ましたが,これ,受賞から48時間以上たって発出されたと,恐らく核兵器禁止条約というのは,日本政府とはですね,目的は一緒だがアプローチは違うという趣旨で書かれていましたけれども,なぜ,それだけ時間がかかったのかというところと,それからICANの受賞,そのものについての報道官ご自身の受け止めについて伺えますか。
 
【丸山外務報道官】まず,後者の方からご説明しますと,ICANの行ってきた活動というのは,日本政府のアプローチとは異なりますが,核廃絶というゴールは共有しています。今回の受賞を契機として,国際社会で核軍縮・不拡散に向けた認識が広がることは喜ばしいと思っております。
ノーベル委員会は受賞発表の中で,北朝鮮の核開発に言及しています。北朝鮮の核・ミサイル問題というのは,これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり,国際社会と連携してあらゆる手段によって,圧力を最大限まで高め,北朝鮮の政策を変えさせる必要があります。我が国は核兵器の非人道性に対する正確な認識とともに,こうした厳しい安全保障環境に対する冷静な認識に基づいて,非核兵器国のみならず,核兵器国の協力も得て,現実的かつ実践的,そうした核軍縮・不拡散の取組を進めていくことこそが,真に「核兵器のない世界」を目指す上で必要であると考えています。
また広島・長崎の被爆者の方々は,「核兵器のない世界」の実現に向けて,被爆の実相を世界に伝えてこられました。核兵器廃絶に向けた被害者,被爆地の長年の努力に対しては,この機会に改めて敬意を表したいと思います。
 それから,なぜ,このタイミングでということですが,我々としましては必要な検討を行って,その結果として今回の談話を発出した,そういう認識でおります。
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