記者会見

河野外務大臣会見記録

(平成29年10月3日(火曜日)10時23分 於:官邸エントランスホール)

冒頭発言

米国・ラスベガスにおける銃乱射事案

【河野外務大臣】アメリカのラスベガスで起きました乱射事件ですが,少なくとも59名がお亡くなりになり,500名以上が怪我をされているという状況でございます。総理からトランプ大統領宛て,私(大臣)からティラソン国務長官宛てにお見舞いのメッセージを出しました。
 サンフランシスコ総領事館から館員がラスベガスへ向かいまして,情報収集,その他の対応に当たっておりますが,現時点で邦人被害は確認されておりません。お亡くなりになった方々に心からお悔やみを申し上げたいと思います。

米国・ラスベガスにおける銃乱射事案

【記者】この事件に関して,イスラム国が既に関与を認める声明を出していますけれども,このことについて日本政府としてはどう受け止めていらっしゃいますか。
 
【河野外務大臣】アメリカでまだ捜査中でございますから,日本政府としてまだ申し上げる状況にはございません。
 
【記者】この事件がですね,今後,また被害が拡大していくというような可能性はあるのでしょうか。
 
【河野外務大臣】現時点で少なくとも59名がお亡くなりになっている,500名を超える方が被害に遭われているということでございますので,今後の推移を見守ると同時に,邦人でもし被害に遭われている方がいらっしゃれば,しっかり対応してまいりたいと思います。

北朝鮮情勢

【記者】北朝鮮に関するアメリカの対応ですけれども,先日,ティラソン国務長官が中国を訪問していました。そこでですね,北朝鮮との対話のチャンネルに言及をされていまして,対話を模索するというような発言がありましたけれども,一方でトランプ大統領はですね,それは時間の無駄だとはっきりコメントされました。このお二人の間での温度差がありますけれども,こういったアメリカの状況についてどのようにお考えですか。
 
【河野外務大臣】アメリカ政府内のことに日本政府として,いちいちコメントすることは差し控えたいと思いますが,北朝鮮が核とミサイルの開発をやめ,査察を受け入れて交渉のテーブルに着かない限り,北朝鮮に明るい未来は開けないということを,我々も北京の大使館ルートを通じて,あるいは北朝鮮が参加する国際会議の場を通じて,北朝鮮にそうしたメッセージは繰り返し伝えているところでございます。
アメリカ側からもそういう前提で交渉のテーブルに着けというメッセージを出すということは,我々,緊密に連携しながらやっておりますので,北朝鮮にしっかりと置かれた立場を認識をしてもらって,核・ミサイルを放棄し,査察を受け入れて交渉のテーブルに着くということをしっかりこれからも国際社会で求めていきたいと思います。
 
【記者】ティラソン国務長官が,今の時点での対話の模索というのは,正しい考え方ではなかったということですか。
 
【河野外務大臣】対話というのは,対話のための対話ではなくて,核・ミサイルを放棄して,査察を受け入れた上で交渉のテーブルに着くということは,日米だけでなく,日米韓中露一致して,朝鮮半島の非核化というゴールを目指してやっているところですので,我々もアメリカ政府とそこは緊密に連絡をしながらやっております。
ティラソン国務長官が北朝鮮に対して同じようなメッセージを出すという,我々も国際会議や北京の大使館ルートを通じて同じようなメッセージを出しておりますので,そこは各国足並みをそろえてやっているところであります。

衆議院選挙戦

【記者】選挙戦ですけれども,昨日,民進党の中でですね一部分裂して,新党を立ち上げるという表明が枝野代表代行の方からありました。こうした混沌とする選挙戦の状況についてどうお考えでいらっしゃるかということと,さらにですね,ここに来て内閣支持率と不支持率が再び逆転をしてしまいましたけれども,こういった中での選挙戦をどのように戦っていかれるお覚悟ですか。
 
【河野外務大臣】私(大臣)としては,日米同盟を基軸とする安全保障体制の中で,今の北朝鮮情勢をマネージしておりますので,ここについてしっかり国民の皆様のご理解を得たいと思っております。
 民進党で平和安全法制に反対をされて,9月末まで反対をされていて,希望の党の公認を取るために賛成とおっしゃって,希望の党の公認を得られなかった方は,それじゃ平和安全法制に賛成なのか,反対なのか,非常に大きな疑問ですし,希望の党の親分が変わって,やっぱり平和安全法制に反対だと言うと,移られた方はまた反対になってしまうのか,これは諸外国から見て日本の安全保障体制はどういうことになってしまうんだろうかという疑問を持たれる,そうなりますと特定秘密保護法の取扱いも,そういう政党はどうなるのか分からないという中で,日本と北朝鮮の機密情報をシェアできるのかどうかという疑念を各国に抱かれるようなことになってしまっては,情勢分析ができなくなりますので,我々としては,平和安全法制あるいは特定秘密保護法,そして日米同盟に基づいた現在の安全保障体制をしっかり堅持して,この危機に当たっていくという自民党・公明党連立政権のあり方をきちんと海外にも発信すると同時に,国民の皆様にもご理解いただきたいと思います。

東シナ海情勢

【記者】アメリカのCSISが,東シナ海の船に関して,今年に入って3つの新しい採掘施設を作っているというような発表をしておりますけれども,政府として把握はされているのでしょうか。
 
【河野外務大臣】新しい話ではなくて,政府としては既に中国に対して抗議をしております。それはこの夏の末前の話ですので,特に新しい話ではありません。

北朝鮮情勢

【記者】北朝鮮に関してなんですけれども,今度の選挙で国民の安全を守る取り組みについても争点になると思うんですが,成立当時に,今も批判のある安全保障関連法が,今の北朝鮮情勢への対応でどのような効果を発揮しているとお考えでしょうか。
 
【河野外務大臣】今,この北朝鮮の危機の中で,日本の平和と安全を守るために日本の周辺に展開している米軍に対して,平時から補給活動,支援活動ができるようになりました。これ平和安全法制がなければ,いざ危機的事態が発生してからということになります。そうすると日本の平和と安全を守るために展開をしている米軍で,明らかに北朝鮮が核実験をし,ミサイルを発射している中で,日本が米軍に平時は補給ができないということになってしまいます。そうすると日米同盟,日米が100%共にあると,米軍が果たして言ってくれるのかどうか,日米,平仄をしっかり合わせて北朝鮮に今当たっていますけれども,日本側が本当にやるべきことをきちんとやっているのかという疑念を恐らく米軍が,あるいはアメリカ政府が抱くことになっていたかもしれません。
 そういう意味で平和安全法制があったからこそ,今,米軍に対する補給活動,支援活動について,法律的な神学論争なしに,きちんと行うことができるようになっている,というのはアメリカ側から見ても日本はしっかりと自ら汗をかいてやるべきことをやった上で,この日米同盟に基づいて日本を守ろうとしているというのがはっきり見えると思います。これ,非常に大事なことだと思っています。
 
【記者】日米両国,あと国際社会が賢明に呼掛けはしているものの,まだ挑発活動は止まる気配がないというのが現状だと思うのですが,安倍政権が取り組んできた日米同盟の強化というのが,北朝鮮に対する抑止力として機能しているとお考えでしょうか。
 
【河野外務大臣】北朝鮮が様々なことを言っていますが,現実,そうしたことを行っていないというのは,日米の抑止力,日米同盟による抑止力の成果だと思いますし,国連の安保理決議に基づいた制裁は,これは経済的な制裁ですから,効果が一日二日で出てくるというものではないということはご理解いただきたいと思います。
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