記者会見

岸田外務大臣会見記録

(平成29年1月17日(火曜日)10時20分 於:官邸エントランスホール)

慰安婦像問題関連

【記者】今日,総理が外遊から帰国されるのですけれども,長嶺大使が帰国されてから一通りの説明等は終わっているかと思うんですけれども,帰任のタイミングというのは見通しは立っているのでしょうか。

岸田外務大臣】今現在,帰任のタイミングについては何も決定はしておりません。引き続き,総理も含めて政府全体として,総合的な判断に基づいて決定したいと考えています。

【記者】大使は,既に総理に説明は済んでいるかと思うんですけれども,今後更に総理と打ち合わせする予定等はありますでしょうか。

【岸田外務大臣】最終的には総理も含めて,政府全体としての判断になると思います。総合的に判断をいたします。

【記者】韓国のですね,尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が釜山総領事館前の少女像の撤去を促すような発言を国会でされたんですけれども,これについての受け止めを。どのような受け止めでしょうか。

【岸田外務大臣】尹炳世長官の発言については承知しております。そもそも一昨年の日韓合意ですが,慰安婦問題について最終的,不可逆的にこの問題を解決するということで,日韓両政府の間で合意をいたしました。その中で,釜山の我が国総領事館前に慰安婦像が設置されるということは,日韓関係において好ましいものではありませんし,そして領事問題に関するウィーン条約との関係においても問題があると考えています。
日韓合意は世界の多くの国々が高く評価した合意であり,日韓両国はこの合意を履行する責任を負っていると考えています。そして韓国政府もこの日韓合意を履行していくという立場には変わらないと承知をしております。ご指摘の尹長官の発言は,こうした韓国政府の立場に沿ったものであると考えます。

【記者】前向きに受け止めているということでしょうか。

【岸田外務大臣】今,申し上げたとおりです。

【記者】竹島に新しく少女像を設置しようという動きが,韓国に今,出ているんですけれども,この動きはどのように受け止めていますでしょうか。

【岸田外務大臣】竹島は,そもそも国際法上も歴史的にも我が国固有の領土である,これが我が国の立場であります。この立場に照らしても,ご指摘の点は受け入れられない,これが我が国の立場です。

米国次期大統領関連

【記者】トランプ新政権が20日に誕生することになるのですけれども,今後の日米関係,どのような関係を構築していきたいか,お考えを聞かせてください。

【岸田外務大臣】日米関係については,戦後71年,長きにわたりまして基本的な価値を共有しながら協力を積み重ねてきました。我が国の外交・安全保障にとって日米同盟は基軸であると考えます。そして今,アジアの安全保障環境の厳しさを考えますときに,日米同盟の重要性,ますます高まっていると考えます。
トランプ新政権との間においても,今申し上げたような長年築き上げてきた揺るぎない日米同盟を基礎とし,その上に新政権との間でしっかりとした関係を築き上げていかなければならないと思います。是非,新政権との間においてもしっかりとした信頼関係を築いて日米同盟を深化・発展させていきたいと考えます。

フランスにおける邦人留学生行方不明事案

【記者】筑波大生の行方不明事件のことなんですが,薗浦副大臣がチリを訪問されたと思うんですが,チリ政府当局からどのような説明があり,日本政府として今後の対応を改めて教えてください。

【岸田外務大臣】現地時間の16日ですが,薗浦副大臣がチリにおきましてムニョス外務大臣,そしてアボット国家検察庁長官と会談し,本件につきまして協力の要請を行いました。
薗浦副大臣からは日本政府として黒﨑さんの捜索や本件の全容解明を重視し,チリ及びフランス両国に対し,これまでも協力要請をしてきていること,また事前に訪問したフランスで,内務省の責任者からインターポールを含め,あらゆる国際的手段を取るとの考えが示されたことを伝えつつ,チリに継続した協力を要請いたしました。これに対し,アボット長官からは,二国間関係を踏まえた全面的な協力,また引き渡しに関する全てのプロセスにおける全面的な協力と,日本及びフランスとの緊密な協力を約束する,こうした発言がありました。またムニョス外務大臣からも可能な全ての協力を約束する,こうした発言があったと報告を受けております。

米国次期大統領関連

【記者】先ほどのトランプ次期政権に関連してなんですけれども,昨日,総理はですね,会見の中で次期大統領との間での会談,できるだけ早い時期にやりたいというご発言ありました。この辺り,現状どのような調整状況,見通しになっていますでしょうか。

【岸田外務大臣】総理もご指摘のような発言をされておられますが,日米同盟の重要性を考えたときに,両国首脳間での意思疎通を図っていくということ,信頼関係を更に深めていくということ,これは重要なことであると認識をしております。早期に会談することは重要だと認識していますが,ただ,今現在,具体的な日程については決まってはいないと承知をしています。調整を続けたいと思います。
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