記者会見

岸田外務大臣臨時会見記録

(平成28年8月3日(水曜日)20時15分 於:本省会見室)

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冒頭発言

再任の挨拶

【岸田外務大臣】この度,第3次安倍内閣の第2次改造内閣において引き続き外務大臣を務めることになりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 2012年12月の就任以来,3年7か月の間に,外務大臣として延べ75か国・地域を訪問し,世界各国の外務大臣と信頼関係を築き上げ,様々な課題に取り組んで参りました。
 昨年12月には厳しい交渉の末,慰安婦に関する日韓合意にこぎつけ,未来志向の新たな日韓関係を築いていく土台を作ることができました。また,議長国としてG7外相会合では核のない世界に向けた力強いメッセージを発出したほか,G7伊勢志摩サミットも成功裡に終えることができました。オバマ米国大統領やG7外相の広島訪問も実現することができました。こうした一連の外交を進めてきた結果,国際社会における日本の存在感を高めることができたと感じております。
 こうした成果を踏まえつつ,引き続き,外交の三本柱,即ち,日米関係の強化,近隣諸国との関係強化,そして,日本経済の再生に資する経済外交の推進,この3つの柱を中心に外交に取り組んでいきたいと考えています。
 今月末にはアフリカの首脳・外相が一堂に会するTICAD VIが予定されています。また,年内には日中韓外相会議及びサミットを我が国は主催する予定になっています。また,日露関係においても適切な時期にプーチン大統領の訪日を実現するべく調整を行っています。まずは,これらの重要な外交日程を成功に導きたいと考えています。また,今年と来年は,我が国は国連安保理非常任理事国を務めることになります。引き続き,日本の国益を最大限追求し,そして,世界の平和と安定,そして繁栄にしっかり貢献するべく,戦略的に外交を進めていきたいと考えています。
 そして,今朝も北朝鮮による弾道ミサイルの発射が行われるなど,日本を取り巻く安全保障環境は誠に厳しいものがあると感じています。また,TPPですとか,或いは英国のEU離脱問題への対応ですとか,課題は山積をしています。各国のカウンターパートと築き上げてきた強固な信頼関係或いは絆を基に,今後とも,日本の国益確保のため,着実に外交成果を積み上げていきたいと考えています。

北朝鮮によるミサイル発射,拉致問題

【毎日新聞 小田中記者】北朝鮮問題についてお伺いします。先ほど大臣言及されたように,本日,朝ですが,弾道ミサイルの発射がありまして,日本のEEZ内に初めて弾道部分が落下するという事象が起きました。初めての出来事になるのですけれども,今回の事象によって北朝鮮による挑発行動のフェーズが増したというか,強まったというふうに認識されていますでしょうか。今後の対応についてもお伺いします。
 もう一点ですが,拉致問題についてお伺いします。大臣就任後,ストックホルム合意が行われましたが,北朝鮮の方は日本の独自制裁によって特別調査委員会の解体などを発表しており,状況が膠着していると思います。現状での取組,今後取組,どのように進めていくのか,あるいは目処等についてどのようにお考えであるのか,お聞かせ願えますでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,一点目のご質問についてはですね,一連のミサイル発射等の挑発行動が続いており,そして今朝も弾道ミサイルが発射され,初めて日本のEEZ内に弾頭が着弾するというような事態が発生をしました。こうした状況を考えますときに,更なる挑発行動が引き続き行われる可能性は否定することはできないと考えます。よって引き続き,米国,韓国等,関係国とも連携しながら緊張感を持って様々な情報収集・分析にも当たっていかなければなりませんし,我が国の平和と安全の確保に万全を期していかなければならない,このように考えます。引き続きこうした事態に対して適時適切な対応を行うべく,指示を出したところであります。
 そして拉致問題についてですが,拉致問題に関して,そして北朝鮮に対しての我が国の方針,拉致・核・ミサイル,諸懸案を包括的に解決するべく,「対話と圧力」,「行動対行動」の原則の下に取り組んでいく,この原則は全く変わることはありません。引き続きこの原則の下に取り組んでいかなければなりませんが,拉致問題に関しては,全ての拉致被害者の帰国を果たさなければならないということから,対話という要素を欠くことはできない,こうした課題でもあると認識をしています。我が国の方からストックホルム合意を破棄するというようなことはするつもりはありません。是非,北朝鮮に対して前向きな,建設的な行動を引き出すためにはどうあるべきか,こうした観点から具体的に,引き続きしっかり検討を続けていかなければならない,このように考えています。拉致問題は安倍政権にとりまして最重要課題の一つであるという認識の下に,引き続き全力で取り組んでいきたい,このように考えます。

米国による核兵器先制不使用,核軍縮作業部会

【朝日新聞 武田記者】岸田大臣がライフワークとして取り組まれてきた核軍縮について2点お伺いしたいと思います。1つは核兵器の役割低減を巡る問題なんですが,岸田大臣は2014年長崎大で講演されて核兵器の役割の低減というのを提唱されました。今,ワシントン・ポストなどの報道によると,オバマ政権が,米国が核兵器の先制不使用を検討していると報じています。日本の拡大抑止にも影響が出る話だと思うのですが,大臣は米国の先制不使用についてどのようにお考えでしょうか。
 もう一つは,日本が参加して,ジュネーブで開かれている国連の核軍縮作業部会の件です。8月にも勧告というのが出されるのですが,その中で今の素案には過半数の国が来年からの核兵器の法的禁止交渉を求めていくという,そういった文言が入るようなんですが,これについて日本としてどう対応されるか,この2点を教えていただければと思います。

【岸田外務大臣】まず1点ですが,核兵器の役割低減という基本的な考え方,私(大臣)も今までいくつかの機会で申し上げてきました。基本的な考え方として,これは重要な考え方であると思います。ただ,これを具体的にどう進めるかという問題であります。その中にあって,核兵器の先制不使用の議論,アメリカの中でそういった議論があるという報道は承知をしております。ただ,具体的なことについては,もしそういった議論があるとしたならば,米国としっかり意思疎通を図っていくべき課題であると思います。そういった議論が実際に米国内で行われるかどうかも含めてですね,米国政府としっかりと意思疎通を図っていきたい,このように考えます。
 それから,ジュネーブにおける作業部会の議論でありますが,この議論については,当然のことながら,我が国も大きな関心を持って注視をしておりますし,我が国としてどう対応するべきなのか,真剣に考えていかなければならない訳ですが,これも前から申し上げていることですが,核兵器のない世界という大きな目標を実現するためには,核兵器国と非核兵器国の協力なくしては結果を出すことは出来ないということを考えます時に,そういった観点から,あるべき現実的な作業部会の成果あるいは,成果文書がどうあるべきなのか,これを考えていくべきなのではないか,このように考えます。こうした考え方に基づいて,この議論を注視していきたいと考えます。

内閣改造

【TBS 深井記者】宏池会会長としてお伺いしたいのですけれども,今回大臣が会長を務められてる宏池会からは山本幸三さんも入閣してポストが2つになりました。まず,これをどのように評価されているかという点が1点。
 それからもう一つ,今回,石破前大臣ですね,閣外に出て将来の総裁選に備えるということですけれども,ビジョンだということですけども,岸田大臣ご自身はこの総裁選に向けてこれからどうようなビジョンを求めていかれるのか,お考えがございましたら,教えてください。

【岸田外務大臣】まず1点目ですが,宏池会各分野に通じ,そして豊富な経験をもつ優秀な人材たくさんいると感じています。そして,そういったメンバー,是非,それぞれ適材適所で活躍してもらいたいと,我々同志一同思っているところです。ただ,現実の人事ということになりますと,定数もあり,色々なバランスもあり,いろいろな事情で全員が全員要職に就くということはできない,これが現実であります。その中にあって,今回宏池会にからは2名が入閣したということであります。是非,この2名として入閣したことの重みをしっかりと噛みしめて,安倍政権をしっかり支える,宏池会のメンバーとして恥ずかしくない,しっかりとした仕事をしていきたいと強く思っています。
 そして,石破大臣のお考え方については,いろいろ報道では承知はしておりますが,石破大臣のこのお考え,直接お伺いしたことがありませんので,私(大臣)は石破大臣がどういったお考えで今回の対応をされたのかというのは,承知しておりませんし,こういった場で私(大臣)から何か申し上げるのは控えるべきであると思っています。
 私(大臣)自身は,先ほど申し上げたように,宏池会としてしっかりと役割を果たし,責任を果たしていく,この思いを強くもって,新たな内閣において仕事をしていきたい,このように思っております。

【朝日新聞 安倍記者】関連して伺います。今の石破大臣のお話とも関係するのですけれども,岸田大臣,間もなく歴代3位という,外相としてですね,記録になるわけですけれども,石破さんもポスト安倍というふうに言われている中で,今回,閣僚入閣を固辞したというふうに伝えられていますけれども,岸田大臣として,あえて入閣しないという選択肢はなかったのでしょうか。

【岸田外務大臣】まず,石破大臣のお考えについては,私(大臣)はコメントは控えます。そして私(大臣)自身としては,人事の過程について何か申し上げることは適切ではないと思います。いずれにせよ結論として,今回,入閣することになりました。その責任はしっかり果たさなければならないと思いますし,その責任を果たす中で,しっかりと評価される,宏池会の一員として恥ずかしくない仕事をするべく,努力をしたい,このように思っております。

二階幹事長の自民党の総裁任期延長発言

【読売新聞 森藤記者】自民党の総裁任期について伺います。本日,二階幹事長が自民党の総裁の任期について何か機関を設けて議論する場を作ることが大事だと発言されています。宏池会会長でもある岸田大臣から見て議論する場を設けるということについてどのようにお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】これは以前もお答えしたことでありますが,総裁任期は昨年の秋に始まって3年間ということであります。まだ、3年間の任期まだ一年も経っていない段階にあります。その3年間の任期の更に先のことを今から話すのはまだ随分,気の早い話ではないかなと,これが率直な感想であります。今のところはそこまでです。

日露関係,核軍縮

【北海道新聞 細川記者】先ほど,ちょっと冒頭にも言及があったんですけれども,日露関係についてですね,9月にウラジオストクでの首脳会談があって,まさに適切な時期のプーチン大統領の訪日などがあるわけですけれども,ただ,日露関係,一筋縄ではいかないところがあると思うんですけれども,今後,どういったステップで進んでいくかというところの見通し感みたいなものをお聞かせいただきたいのと,あと,改めて,日露関係の交渉を進めていく上での大臣の意気込みをお聞かせください。
 もし,可能であればもう一つ。先ほど,核の話で,2点ありましたけれども,広い意味で,8月6日と9日が間もなくやってくるので,改めて,大臣,広い意味で,核軍縮,世界の核軍縮に,日本としてどういうふうに取り組んでいくかをお聞かせいただければと思います。

【岸田外務大臣】まず,1点目の日露関係ですが,ロシアは重要な隣国であります。ロシアとの関係においては,政治・経済のみならず,様々な分野で日露関係全体を盛り上げていく,進めていく,こうした取組が重要であると思っています。あわせて,日露関係においては,ロシアが,国際社会が直面する問題において建設的に関与をしていくことを促していく,こうした点においてロシアと対話を続けていく,これも重要な取組ではないか,このように思っています。そして,日露関係における最大の懸案事項は北方領土問題であります。この北方領土問題を解決するためには,首脳,あるいは外相といった政治レベルでのやり取り,対話,これが不可欠であると認識をしています。政治的な対話,これをしっかりと積み重ねながら,4島帰属の問題を解決して,平和条約を締結すべく,粘り強く交渉を行っていかなければならない,このように思っています。そして,その中にあって,5月,行われました日露首脳会談において,プーチン大統領訪日の時期,この適切な時期を探っていく,こういった点で一致をしています。是非,この首脳間での一致した事項をしっかりと具体化していかなければなりません。今後,ご指摘のように,日露間の首脳対話も予定されています。こういった機会を通じて,プーチン大統領の訪日の時期をしっかりと調整していく,こうしたことになると考えています。そういった思いで日露関係を進めていきたいと思います。
 そして,もう一つ,8月6日,9日を前にして,核軍縮・不拡散の考え方についてどうかということですが,まず,我が国は,唯一の戦争被爆国として,核兵器のない世界を作るべく,しっかり努力をしなければならない大きな責任を担っていると思っています。国際社会において,しっかりと汗をかいていかなければならないと思いますが,その際に,先ほど申し上げたように「核兵器のない世界」を作っていくための具体的な結果を出すためには,核兵器国,非核兵器国,それぞれが自分達の立場を主張しているという状況が続いているうちは,具体的な結果を出すということにはなかなか至らない。やはり,両方が協力することによって初めて結果が出てくるんだという点を,私(大臣)は外相就任以来大事にしてきました。こうした観点から,核兵器国と非核兵器国の橋渡し役としても日本は汗をかいていかなければならないと思いますし,核兵器国と非核兵器国が協力する環境整備のために日本は汗をかいていかなければならない,このように考えます。こうした観点から日本として具体的な一つ一つの国際会議ですとか,様々な課題において,どう対応するのか,行動するのか,適切に考えていかなければならないと思います。道のりはまだまだ厳しい,遠いものがあるとは感じていますが,日本はこの核兵器のない世界に向けて,これからもしっかりと大きな覚悟を持って前進するべく取組を続けていきたいと考えています。

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